子育て情報『「普通に見えるね」「なんでできないの?」悪気のない言動が、発達障害当事者への差別・社会的孤立につながる――「オールマイノリティ・プロジェクト」代表大島教授インタビュー』

2023年7月2日 14:15

「普通に見えるね」「なんでできないの?」悪気のない言動が、発達障害当事者への差別・社会的孤立につながる――「オールマイノリティ・プロジェクト」代表大島教授インタビュー

例えば 、大して興味はない流行りのものをみんながいいねと言っていたら「そうだね」と合わせる、といったことです。仲間づくりをしたいとか、嫌われたくない、印象良くしたいという思いは誰でもあります。普通でないもの、つまり異質なものは世間から排除されてしまいがちですので、その異質さを消すように印象を管理し、周りに合わせて振る舞う。自分に対する批判や攻撃を避けるための行動ですね。

――定型発達と言われる人も、そのような行動をとることはもちろんあると思います。ですが、やはり発達障害のある方たちの場合は、心身への負担感が違うのでしょうか。

大島先生:そうですね。調査の結果、発達障害のある方の社会的カモフラージュは定型発達の方より非常に多く、長時間行っていることが分かっています。
また、特性的にも、やりたくないことをやることに苦痛に感じる方たちです。このカモフラージュ行動自体非常にストレスです。よくも悪くも柔軟な定型発達の人であったら、まあいいやと本心では違うと思っていても、周りに合わせたりできますが、自閉スペクトラム症のある人が無理をしてそのような行動をとると、嫌だったという感じがずっと残ったり、過剰な負荷によってメンタルヘルスに非常に悪影響を与えてしまいます。つくり笑い一つとっても、意識して顔の筋肉を動かし、一生懸命笑顔をつくることはとても疲れると教えてもらったこともあります。

マイクロアグレッションの概念が出てきたのは、10年ぐらい前です。社会的カモフラージュはここ5、6年ですね。海外のコンテンツですとマイクロアグレッションの動画や解説は結構ありますが、日本にはほとんどありません。日本では当事者の人権をどう守るかという視点が遅れていますので、このプロジェクトで多くの人にこれらのことを知っていただきたいと思っています。


――日本もこういう知識をきちんと得て、マイノリティを含むすべての人々が生きやすい社会をつくっていくっていくことがとても大切だと思います。最後に、LITALICO発達ナビの読者へ、メッセージをお願いします。大島先生:現在の日本の一般的な公教育は、定型発達、マジョリティの人にとっても画一的で非常に厳しい面があると思います。私は、発達障害のある方たちがこの公教育に適応しなければいけないとは到底思いません。たとえ頑張って適応できたとしても、ストレスが溜まってしまい、幸せで楽しく、自発的に好きなことに取り込むという日々から遠ざかってしまうからです。

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