2023年7月2日 14:15
「普通に見えるね」「なんでできないの?」悪気のない言動が、発達障害当事者への差別・社会的孤立につながる――「オールマイノリティ・プロジェクト」代表大島教授インタビュー
と言い返せればいいのですが、そういうことができる人はほんの一部だと思います。あとは、「違うよね」とディスカッションできる理解者、仲間が近くにいると、認知的変容ができるかもしれません。ですが、いない場合は難しいでしょう。
セクハラやパワハラと一緒で、マイクロアグレッションを受けた側はメンタルヘルスが阻害されて、落ち込んだり傷ついてしまいます。また、権力を持っている学校の先生や支援者といったマジョリティの方を、発達障害の人は上に見てしまいます。そうすると、パワーがある人たちが言っていることは正しいし逆らえないと思ってしまい、彼らから言われた言葉を「私はそうなんだ」と信じてしまいます。
ですので、やはりマイクロアグレッションがないことが1番ですね。
――オールマイノリティ・プロジェクトのホームページにある”COMIC”というコンテンツの中にマイクロアグレッションをテーマにしたマンガがありますよね。
この中で、発達障害があることを告白した方が、悪意のないマイクロアグレッションを受けていますが、先生だったら、発達障害だと告白された場合、どのように答えるのが適切だと思われますか。
大島先生:そうですね。「そうだったんだ、知らなかった」とか「言ってくれて ありがとうね。なにか気をつけることあったら教えてね」という感じがいいでしょうか。相手との関係性によってかける言葉も違いますので、あまり親しくない人か言われたらちょっと慌ててしまう人が多いと思います。 どう答えるかは難しいですね。
このマンガにあるように、悪気のない行動でも、マイクロアグレッションとして成立してしまいます。このように起こりうるものだと自覚すること、悪気はなくても当事者にはすごくダメージがあることを知識として社会が意識していけるようにしたいですね。
――ありがとうございます。障害は当事者ではなく、周りの方にあるというお話につながっていくと思いました。
相手に合わせる「社会的カモフラージュ」で、発達障害のある方たちは疲弊している
――2023年4月23日(日)に開催された本プロジェクトのシンポジウム「マイノリティに対して、社会の認知や行動は変容するか?」では、発達障害のある方たちが取る社会的カモフラージュに触れていらっしゃいました。こちらについても教えていただけますか?
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大島先生:社会的カモフラージュとは、自閉スペクトラム症の方たちが定型の社会に馴染むために取るような、 普通の人のような振る舞いのことを指します。