サヴァン症候群とギフテッドは共に現在の日本では正式な定義がなく似ているように見えますが、言葉が指している状態像は異なります。
サヴァン症候群とギフテッドとの大きな違いは、サヴァン症候群は知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害がある人が、ある特定の分野において特異的な能力を有している場合を指す点です。一方ギフテッドは発達特性の有無については前提としていません。
また、サヴァン症候群における「特異的な能力」とは必ずしも世間一般から見た並外れた能力を指すわけではなく、本人の全体的なIQと比較したときにある能力のみ突出しているといった状態を指すこともあります。
サヴァン症候群に診断基準はある?
精神科分野における国際的な診断基準となっているアメリカの精神医学会が発行している『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)や、世界保健機関(WHO)が発行している『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)などにおいて、サヴァン症候群は明確な分類として示されておらず、診断基準はありません。
しかし、サヴァン症候群の多くは自閉スペクトラム症(ASD)の方に見られることから、医学的には「自閉スペクトラム症」と診断されることが多いといいます。
自閉スペクトラム症自体が女性に比べて男性の診断が多いことから、母数の関係でサヴァン症候群とされる人は男性が多くなる傾向があるようです。
また、サヴァン症候群は、自閉スペクトラム症のほかにも知的障害、それ以外の発達障害の診断をされるケースもあります。
https://cir.nii.ac.jp/crid/1050564288880494976
参考:有路憲一ら「サヴァン症候群の実態調査とその実践的価値」
サヴァン症候群のある子どもの困りごととは?
ここではサヴァン症候群のある子どもの困りごとを紹介します。
突出した能力を示す分野がある一方で、一桁の計算が困難であったり、ひもを自分で結べないなどの報告もされています。このことからも、サヴァン症候群のある子どもたちの中には、日常生活で必要とされる活動自体に難しさを感じている場合があります。
これはサヴァン症候群であること以前に、自閉スペクトラム症を含む発達障害や知的障害があることから、それらの障害に起因した困りごとが生じていることが考えられます。また、サヴァン症候群は自閉スペクトラム症の人に多く見られることから、自閉スペクトラム症の障害特性である、人との関わりにおいて困難さが見られたり、感覚鈍麻(かんかくどんま)