子育て情報『【精神科医・田中康雄】「怒る」「ルールを守らない」はどうして?特性の理解から、その子の唯一無二の「思い」を探して』

2023年10月30日 14:15

【精神科医・田中康雄】「怒る」「ルールを守らない」はどうして?特性の理解から、その子の唯一無二の「思い」を探して


脳のタイプ

僕は、人間はさまざまな「脳のタイプ」をもっていると思っています。つまりいろいろなタイプの人がいる、ということです。当たり前だよと、言われるかと思いますが、すでに知られている「発達障害」って、そのいろいろな人のなかのあるタイプ(特性)を言っているのです。

すでに1977年にトーマスとチェスは子どもの気質を研究し、平均的な子以外に、育てやすい子、気難しい子、順応の遅い子が一定の割合で存在しているという結果を出しています。子どもはあるいは人間は十人十色というわけです。

でも、そのなかで、現代社会を生きていく中で、「生きづらさ」を抱えてしまう子どもがいます。その子どもたちの行動や感情表現、あるいは物の見方、感じ方、考え方や気づき方などから、いくつかのタイプ分けをして、そこに名前をつけたものが「発達障害」となりました。

個性とも言えるのですが、この名前がついた脳のタイプをもつ人は、現代社会でよく理解していただき、適切な関わりをしていただくことで、生活のしにくさが、ある程度安定すると思われます。
脳のタイプを理解することは、その方の生活を安定させる一歩になります。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」というように、まずは相手をよく知ることです。

ただし、脳のタイプといっても、きちんと分別できるものではなく、ここにも十人十色の混合色が混じり合います。どれほど似た者同士であっても、まさに一人ひとり異なる世界を持っています。


特性としての理解

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Upload By 田中 康雄

かといって、千差万別、いろいろだねとなると、あまりにも漠然としていて、理解と適切な対応の基本形が見えてきません。何事も基礎は大切です。そこでそれぞれの「発達障害」のタイプについての理解は重要です。

このタイプは、こだわりや対人関係が苦手で、特定の感覚が鋭すぎたり鈍かったりするようです。
このタイプの子どもたちと出会うと、僕は彼らの心にあるいいようのない不安感を感じてしまいます。こだわりは不安を軽くする自分の世界観であり、対人関係になじまないのも、状況が見えない不安からであり、感覚の鋭さは不安の強い自分を守る諸刃の刃のようなものと、僕は仮に理解しています。とても繊細で慎重な子どもと思うことで、こちらも無理に関わろうとか、急に距離を詰めるような関わりを控えることで、少なくとも不安を強めないようにします。

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