の絵本をご紹介させてください。
英語圏で絶大な存在感を持つ Gruffalo は、第1作目こそ男性しか出てこなかったのですが、第2作 Gruffalo’s Child では、グラッファローの娘が主人公になっています。
私がこの作品で良いな、と思うのは『グラファロのこども』というタイトルです。日本語訳は『グラファロのおじょうちゃん』となっていますが、英語版ではあえて性別がわからない「こども」で統一されています。
「男の子だから」「女の子だから」というのではなく、子どもならではの好奇心にそそのかされて、ちょっとした冒険をするチビのグラファロ、チビグラが「たまたま女の子」なのです。
疲れて寝ているお父さんと、そわそわしている子どもの組み合わせに、妙なリアリティがあると私は思っています。英語のよみきかせ動画をご紹介しますので、英語版を読むときは参考にしてください。
父親が出てくる書籍として、人気が高い絵本をもう1冊ご紹介しましょう。『どんなにきみがすきだかあててごらん』( Guess How much I love you )。
大きなうさぎと小さなうさぎが、お互いにどれだけ相手の事を好きだか伝え合っているだけの物語です。
シンプルな言葉でつづられる、優しい「パパとぼく」の絵本です。
こちらも、英語のよみきかせ動画をご紹介しましょう。
幼い子どもたちが大人になっていくにしたがって、男女の関係は、どんどん変わっていくでしょう。ましてや、世界が狭くなっていく今、やがて国を超えて活躍するような子どもたちのためには、より多様性のある物語が本棚にそろっていてほしい。
優れた児童書は数多く出版されています。それが実際に子どもたちの手に届くところにあってほしいと、心から願っています。
(参考)
森 はるな(2005),『白雪姫(ディズニーゴールド絵本)』,講談社.
森 はるな(2005),『シンデレラ(ディズニーゴールド絵本)』,講談社.
アストリッド・リンドグレーン 著, いしいとしこ 訳(2004),『こんにちは、長くつ下のピッピ』,徳間書店.
パトリシア・C. リーデ 著, 田中 亜希子 訳(2008),『囚われちゃったお姫さま』,東京創元社.
ロバート マンチ 著, 加島 葵 訳(1999),『紙ぶくろの王女さま』,カワイ出版.
うさぎ出版(2017)