有名な星付きレストランで「食育」! 美食の国・フランスの仰天教育プラン
「大人になってからでいいじゃない」と“本物の味”から遠ざけるのではなく、有名店の本格的な味覚に触れることを推奨する、というのがなんともフランスらしいですよね。
フランスの学校は食堂も学びの場
日本のように給食がないフランスでは、子どもたちは昼休みに自宅に戻って昼食をとっていました。しかし近年では共働きの家庭が増え、ほとんどの子どもたちは食堂(cantine:カンチーヌ)でランチをいただきます。
フランスは学校食堂を「食育の場」として考えています。そのため、生徒にきちんと座りきちんと食べることを体験させ、食のバリエーションを伝えることを大切にしているのです。さらに、教育省や経済・財政・産業省、農業・水産省といった関係各省の大臣が連名で「学校食堂での食事と食の安全」と題する指令を出し、あらゆる方面から学校食堂をサポートしています。
たとえば、推奨される摂取エネルギーの配分を
【朝食2割、昼食4割、4時の間食1割、夕食3割】
とし、「昼食はこの割合に従って用意すること」と定めるなど、かなり細かく制定されています。
どうしてここまで細かいかというと、しっかりとした理念に基づいたうえで学校食堂を「食育の場」としているからです。
この学校食堂に関する指令では、次のような点を教育活動の軸として掲げています。
1.生徒の味覚を育て、伝統の料理を評価し、質の良い農産物を推奨すること
2.味覚をはっきりと表現できない生徒に対し、味覚に関する正確な言葉遣いや表現力を養わせること
3.食品製造の方法や食物の成分について説明すること
4.その土地の特産物を賞味すること
5.香り、香辛料、エキスを発見すること
(引用元:国立国会図書館|ISSUE BRIEF NUMBER 450|欧米の食育事情)
香辛料やエキスを自分の舌や鼻で感じ取ることは、繊細な味覚を養ううえで非常に重要です。フランス人のグルメな舌は、こうやって小さいうちから鍛えられているのかもしれませんね。ここで注目すべきは「2」の項目について。味覚と言語能力や表現能力の関係性について、次で詳しく説明しましょう。
味覚を言語化する→味覚が研ぎ澄まされる→さらに言語表現が豊かになる!
フランスでは食育の要である『味覚教育』と『栄養教育』の授業に多くの時間を割いています。独自のメソッドに基づいたその内容は、基本的なことを子どもにもわかりやすく教えるだけはなく、食を通じて五感を研ぎ澄まし、言語表現にまでつなげることを目的としています。