子育ては、驚きと戸惑いの連続です。初めての場合なら、なおのことでしょう。我が子が急に静かになり…?2022年4月、フランス人のパートナーであるガイックさんとの間に、赤ちゃんが誕生した、しばひろ(@hirokokokoron)さん。赤ちゃんをあやすガイックさんの発言を漫画にし紹介したところ、多くの人の笑いを誘いました。壊した pic.twitter.com/FNPX89i6hn — しばひろ (@hirokokokoron) May 20, 2022 ガイックさんがあやすと、ピタリと泣き止んだ赤ちゃん。急に静かになった赤ちゃんに、ガイックさんは戸惑いを隠せなかったのかもしれません…。「壊れたかな」そんなクスッと笑ってしまう発言が、ガイックさんから飛び出したのです!これには漫画を読んだ人も笑ってしまったようで「言葉のチョイスが最高」「壊さないで!」とさまざまなコメントが寄せられました。赤ちゃんをあやすのがうまいガイックさんですが、まだまだ子育ては知らないことだらけ。子育てをする中で、これからもガイックさんの『珍発言』が飛び出しそうですね。[文・構成/grape編集部]
2022年05月21日まだ発語できない年齢の子供は、泣くことで意思を伝えようとします。しかし、その意味を理解するのは、親でも至難の業。何が原因で泣いているのかが分からず、頭を抱えてしまうのです。赤ちゃんが泣く理由に「なるほど…!」フランス人のパートナーであるガイックさんとの日常を描いている、しばひろ(@hirokokokoron)さん。2022年4月に、しばひろさんは赤ちゃんを出産しました。まだ小さい我が子を見守り、ガイックさんとともに子育てに奮闘しているといいます。そんなある日、授乳後に我が子のオムツを替えようとした、しばひろさん。しかし、赤ちゃんは大声で泣き始めてしまいます。想像して pic.twitter.com/oYNOhTt06Q — しばひろ (@hirokokokoron) May 14, 2022 大人からすると、オムツが汚れたままのほうが気持ち悪く、泣き出したくなるはず。では、なぜ替えようとすると泣き出すのでしょうか。疑問を覚えるしばひろさんに対し、ガイックさんは「食事後にいきなり脱がされたら嫌じゃん!」とズバリ!ガイックさんで表現されたイラストはじわじわきますが、確かに「なんてことをするんだ!」と不快になる気持ちも理解できます。子供の目線で考えたガイックさんの言葉に、多くの人が納得しつつも笑ってしまったようです!・確かに、これをやられたら俺も泣くわ…。・イメージ画像がシュールすぎて爆笑した。・説得力がすごい。今後はおむつ替え前に「失礼いたします」っていおうかな…。我が子がどうして泣くのかが分からない時は、自分に置き換えて考えてみると、答えが導き出せるかもしれません![文・構成/grape編集部]
2022年05月16日この春も話題作がひしめき合っていますが、今回は映画好きにオススメしたい1本をご紹介します。それは、スティーヴン・スピルバーグやマーティン・スコセッシといった名監督たちに多大な影響を与えたとされる“20世紀最大の巨匠”イングマール・ベルイマン監督にまつわる注目作です。『ベルイマン島にて』【映画、ときどき私】 vol. 473アメリカからスウェーデンのフォーレ島へとやって来たのは、映画監督カップルのクリスとトニー。創作活動にも互いの関係にも停滞感を抱いていた2人は、敬愛するベルイマン監督が数々の傑作を撮ったこの島でひと夏を過ごすことで、新作へのインスピレーションを得ようと考えたのだ。やがて島の魔力がクリスに作用し、彼女は自身の“1度目の出会いは早すぎて2度目は遅すぎた”ために実らなかった初恋を投影した脚本を書き始める。その後、どうしても結末が思いつかず、悩んでいたクリスだったが、思いがけない出会いが彼女の心を変えていくことに……。第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、高い評価を得た本作。そこで、こちらの方に作品の背景などについて、お話をうかがってきました。ミア・ハンセン=ラブ監督@Judicaël Perrin2007年に26歳という若さで長編映画監督デビューを果たすと、類まれなセンスと才能でフランスを代表する女性監督のひとりとなったミア・ハンセン=ラブ監督。今回は、自身も敬愛するベルイマン監督の魅力や日本での思い出、そして女性に伝えたいメッセージについて語っていただきました。―10年ほど前から、ベルイマン監督の作品や人生に傾倒するようになったということですが、どういったところに惹かれているのでしょうか。監督これは非常に難しい質問ですね。お答えするのに、数時間はかかってしまうかもしれません(笑)。なぜなら、ベルイマンの魅力を短い時間で語り尽くすことは私にとっては不可能なことですから。具体的に彼のどの部分がいいとか、どの作品が好きということではなく、彼の人生も作品も生き方も、さらには息遣いまで、すべてが魅力的だと思っています。有名な作品のなかには、人工的なところがある作品もあるかもしれません。でも、『不良少女モニカ』(53)や『ある結婚の風景』(73)、『ファニーとアレクサンデル』(82)のような作品では、彼のキャパシティの広さや創作力の大きさ、そしてエロティシズムまでもがあると感じています。ベルイマンに惹かれるのは、自分に忠実だから―そういったことすべてから監督も影響を受けていらっしゃるのですね。監督そのほかに私が一番惹かれているのは、彼が自分に対してとても忠実であるところです。つまりそれは、自分を裏切ることなく、一切の妥協も許さないという意味でもありますが、そういった部分があるからこそ、ベルイマンがベルイマン以外の何者でもない理由かなと。だから、私は彼の作品を観ていると、彼とコミュニケーションを取れているような気がするのです。ほかにも同じようなコミュニケーションを感じられる監督は何名かいますが、ベルイマンほどそれを直接的に感じられる人はいないと思っています。そういうところが、私から見たベルイマンの魅力です。―なるほど。監督は「この映画の大きなテーマは“解放”である」とお話されていますが、それはいまでも多くの女性が男性から解放されていないと感じていらっしゃるところがあったからでしょうか。監督夫婦生活や社会において叫ばれているような、いわゆる女性解放というのとは少し意味が違いますが、私はクリスを通して自分自身を解き放って自由にする姿を表現したいと考えました。とはいえ、私が映画を作る際、最初に何かをテーマとして掲げているわけではないので、出来上がった作品に対して観る方が興味を持ってくださればいいと思っています。つまり、私が先に何かを意図しているわけではありません。劇中では、クリスがトニーと会話をしていくなかで徐々に変化し、芸術的な面において自分を解き放っていくようなところがありますが、初めは弱さのある女性だった彼女がだんだん強さを身に着けていく過程を感じていただいたらと。この作品を映画化するまではかなり時間がかかりましたが、こういう形で作り上げることができてよかったです。日本を理解するために、次回は長く滞在してみたい―話は変わりますが、日本についても少しお聞かせください。監督はこれまでに何度か来日されたことがあると思いますが、日本での印象深いエピソードなどはありますか?監督日本は大好きなんですが、いつも仕事で行くので、滞在日数が毎回3~4日ほど。あまりにも短すぎるので、私にとってはそれがすごくフラストレーションです。実際、初めて日本に行ったときには、ちょうど子どもが生後数か月のときだったので、1日中インタビューを受けながら授乳もしていて、ゾンビみたいになってしまった強烈な思い出もありますよ(笑)。2度目はもう少し余裕がありましたが、地方まで行けなかったのは残念でした。特に、香川の直島は島全体が美術館のような場所だと聞いていたので、そこで安藤忠雄さんの作品を見たり、芸術に触れたりしたかったですね。私にとって異文化を理解するのはとても重要なことですが、本当の意味で経験するには、やはり1か月程度は必要だと思います。次回こそは訪れてみたいです。過去にこだわらず、未来の力に変えてほしい―ぜひ、お待ちしております。それでは最後に、ananweb読者へのメッセージをいただきたいですが、なかには劇中のクリスのように自分を弱くて依存的だと考えているような女性たちもいると思いますので、この作品から感じてほしいことなどを教えてください。監督実は、私も長い間、クリスのように女性特有の弱さを抱え、家族の問題などに悩んでいた時期がありました。そのときは過去ばかりを振り返り、過去の傷に痛みを感じたりしていましたが、少しずつ弱さを強さに変えていくことができたのです。私の場合は、弱さを創作のツールとして利用しましたが、そんなふうに弱さを“武器”にすることもできるのだということは伝えられたらと。過去のことばかりにこだわるのではなく、それを未来に向けたひとつの力に変換することも可能なんだということをクリスの姿を通して知っていただきたいですし、みなさんにもそうなっていただけることを願っています。柔らかな日差しに包まれながら、自分の心に問いかけるインスピレーションを刺激する美しい景色が広がる “映画ファンの聖地”スウェーデンのフォーレ島を舞台に、女性の繊細な心の機微を見事に映し出した本作。静かな波のように観る者の感情に入り込み、ときには激しい雨のように心を揺さぶる必見作です。取材、文・志村昌美目を奪われる予告編はこちら!作品情報『ベルイマン島にて』4月22日(金)、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開配給:キノフィルムズ© 2020 CG Cinéma ‒ Neue Bioskop Film ‒ Scope Pictures ‒ Plattform Produktion ‒ Arte France Cinéma
2022年04月20日重厚感とモダンさを兼ね備えた上質な空間日本とフランスの食材が見事に融合落ち着いた個室で極上のワインを重厚感とモダンさを兼ね備えた上質な空間【フランス料理 レ セゾン】は帝国ホテルが誇るメインダイニングJR有楽町駅から徒歩5分の地に立つ、帝国ホテル。超一流のレストランが集うホテル内で、随一の品格を誇るメインダイニングが【フランス料理 レ セゾン】です。フランスの伝統に日本らしさを取り入れた、現代のフランス料理が味わえる至福の空間。大切な人との語らいや、素敵な思い出を紡ぐ場にふさわしいお店です。さまざまなシーンを華やかに演出するモダンな店内2005年にフランソワ・ル・グリによって内装が一新され、上品な華やかさが光る洗練された空間に。重厚感とモダンさを兼ね備えながらもリラックスできる雰囲気は、接待や記念日など、どんなシーンでも間違いなく特別な時間を演出してくれます。日本とフランスの食材が見事に融合フランス・シャンパーニュ地方の三つ星レストラン【レ クレイエール】で料理長を務めたティエリー・ヴォワザン氏が来日し、2005年から【フランス料理 レ セゾン】のシェフに就任。クラシックなレシピをもとに、日本ならではの季節感や食材を融合させ、ここでしか味わえない新しいフランス料理を生み出しています。その中から、【フランス料理 レ セゾン】を代表する3品をご紹介します!『鱧とジロール すだち』日本の食材・ハモを使った新感覚の一皿『鱧とジロール すだち』フランス料理のクラシックな組み合わせ“魚ときのこ”を、日本ならではの食材・ハモで表現した一皿。ハモは日本料理同様に骨切りし、皮目から焼いてふっくらと仕上げています。ハモときのこのだしをベースに、すだちの果汁を加えたほどよい酸味のソースとのハーモニーも絶妙です。(※季節により提供のない時期があります)『トリュフのパイ包み焼き』ナイフを入れた瞬間立ち上る香りがたまらない『トリュフのパイ包み焼き』シェフのヴォワザン氏が師事したフランスの三つ星シェフ、ジェラール・ボワイエ氏直伝の贅沢な一品。フォアグラを塗ったトリュフを丸ごとパイで包み、軽く焼き上げています。黒トリュフをたっぷり加えたソースペリグーとともにいただくと、さらに幸せな気分になれるでしょう。ぜひ、アラカルトでご注文を。『マスのアラミニッツ』富士のマスを使ったオリジナルメニュー『マスのアラミニッツ』フランス・シャンパーニュ地方の三つ星レストラン【レ クレイエール】のスペシャリテ、『スモークサーモンのアラミニッツ』を日本風にアレンジ。サーモンを富士のマスに置き換え、1分ほどさっと燻してスモークし、キャビアクリーム、みかんのチャツネ、クミンのビネグレッドを添えました。(※季節により提供のない時期があります)落ち着いた個室で極上のワインを13カ国600種類のワインを最高の状態で提供600種のワインのうち、422種がフランス産。なかでも87銘柄から選べる、シャンパーニュの品揃えは圧巻です。ワインに詳しくなくても、ソムリエが料理や好みに合うワインを提案してくれるのでご安心を。グラス一杯から頼めるので、気軽に相談してください。どんなシーンでも安心して使える個室も完備より落ち着いて食事を楽しめるよう、2~12人まで利用できる個室を完備。通常のコースメニューはもちろん、杉本東京料理長が一日一組をもてなすオートクチュールコース「アンティミテ」も開催されます。家族のお祝い事や、大切な接待などにもオススメです。店名が示す通り、季節感を大切にしている【フランス料理 レ セゾン】。季節ごとの素材がもつおいしさを最大限に引き出すため、トリュフなどフランスから取り寄せるものもあれば、日本ならではの食材を用いることも。600種類を超えるワインと合わせ、これぞフランス料理という極上の味を、存分に堪能してください。料理人プロフィール:ティエリー・ヴォワザンさんフランス・シャンパーニュ地方の名店【ボワイエ・レ・クレイエール】のオーナー、ジェラール・ボワイエ氏に師事し、その後【レ クレイエール】のシェフに就任。2005年1月より、帝国ホテル 東京【フランス料理 レセゾン】のシェフを務める。食材の四季を大切にし、卓越したセンスで織り成す料理は高い評価を得ている。フランス料理レセゾン【エリア】新橋/汐留【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】8500円【ディナー平均予算】21000円【アクセス】有楽町駅 徒歩5分※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
2022年04月14日グルメイベント「2022 伊勢丹フランス展」が、2022年4月6日(水)から4月11日(月)まで、伊勢丹新宿店 本館6階 催物場にて限定開催される。フランスのおいしいグルメ集結「伊勢丹フランス展」「伊勢丹フランス展」は、フランスのおいしいパンやスイーツが勢ぞろいするグルメイベント。産地の個性が楽しめるワインや、手土産にもぴったりな焼き菓子、自宅ごはんをレベルアップさせてくれる調味料など、フランスの魅力がいっぱい詰まったアイテムが展開される。イートインで味わう出来立てスイーツ中でもイチオシは、会場でしか味わえないイートインの出来立てグルメ。イートインコーナーには、<ラボラトワール ローブ ショウコ ヒラセ><エンメ><スフレ コウジ オオサワ><セイスト>の店舗が参加し、各店自慢のデザートを提案する。<ラボラトワールローブ ショウコ ヒラセ>の「柑橘とハーブのバシュラン」は、ハーブソルベと軽やかな味わいのクレームダンジュを合わせたデザート。さまざまな柑橘を散りばめることで、風味豊かに仕上げている。<スフレ コウジ オオサワ>からは、山椒でアクセントを効かせた「山椒とショコラのスフ」が登場。ショコラのソースや実山椒のエスプーマなどを添えているので、自分好みに“味変”して楽しめる。日本初上陸<ミトロンベーカリー>のレモンパネトーネまた、販売コーナーでは、日本初上陸スイーツを含む、こだわりのメニューを展開。ミシュラン3つ星のレストラン「ミラズール」が手掛ける、ミトロンベーカリーの「レモンパネトーネ」は、中でも日本初登場の注目品。上質なレモンピールを贅沢に練り込んで焼き上げた、“しっとりふわふわ”の焼き菓子・パネトーネは、一度味わうとやみつきに。店舗を持たない<セイスト>のクッキー缶店舗を持たないチョコレートブランドと知られる<セイスト>からは、アマゾンカカオ、フランス産小麦、マダガスカル産のバニラなど、厳選食材を使用した「クッキー缶」が数量限定で発売される。他にも、<レ・ジニシエ>のパンやフランス菓子、<セイスト>と日本酒ブランド・鷹の目(TAKANOME)がコラボレーションしたボンボンショコラや和テイストパフェなどがラインナップする。【詳細】「2022 伊勢丹フランス展」開催期間:2022年4月6日(水)~4月11日(月) 10:00~20:00※イートイン営業時間:10:30~、イートインラストオーダー 各⽇終了30分前。※最終日18:00終了。会場:伊勢丹新宿店 本館6階 催物場住所:東京都新宿区新宿3-14-1<メニュー例>■イートイン「サロン・デュ・デセール」・<ラボラトワールローブ ショウコ ヒラセ>柑橘とハーブのバシュラン 各日30点限り1,870円・<スフレ コウジ オオサワ>山椒とショコラのスフレ 各日40点限り2,420円※4月6日(水)〜4月8日(金)・<セイスト×鷹の目>苺とTAKANOME 4,400円※2022年4月9日(土)~11日(月)■販売アイテム・<ミトロンベーカリー>レモンパネトーネ 100点限り 9,396円・<セイスト>Journey 200点限り 3,240円※4月6日(水)〜4月8日(金)
2022年04月04日おなら…それは、生理現象ではあるものの、人前では話題にあげることすら、ためらわれるもの。例え相手と親密な関係であろうと、我慢できずにしてしまったが最後、最悪の場合、今後の付き合いに支障をきたす恐れもあるほどです。しかし、おならをきっかけに、愛情を確かめ合える場合も。信じたのに…!フランス人のパートナー、ガイックさんと暮らす、しばひろ(@hirokokokoron)さんは、ある日、異臭に気付きます。ガイックさんに疑いの目を向けたしばひろさんですが、本人はショックを受けたような表情を浮かべていました。!? pic.twitter.com/KjEwfLJq0m — しばひろ (@hirokokokoron) April 1, 2022 やっぱり、してたんかーい!しかし考えてみれば、ガイックさんは「おならをしていない」とはひと言もいっていません。「なぜ、そんなことをいうの」と、どちらともとれる返事をしただけなのです。とはいえ、ガイックさんの返事を受け、すぐに疑いの目を向けることをやめた、しばひろさん。それはパートナーであるガイックさんを信頼していたからこそ。…結局、おならはしていましたが。漫画に対して「したんかい!」と多くのツッコミが寄せられましたが、誰よりも驚いたのは、しばひろさんのはずです…!日本と同じく、相手と親しい関係にあろうとも、人前でおならはあまりよろしくないとされるフランス。しかし、ガイックさんがおならをしたことを、最後にはちゃんと認めたのも、しばひろさんを信頼しているからなのでしょう…![文・構成/grape編集部]
2022年04月02日フランス人の男子大学生とLINEでやり取りをしている、うえはらけいた(@ueharakeita)さん。うえはらさんは、この大学生と日本語でやりとりを行っています。大学生は、日本語の勉強に熱心なようで、礼儀正しい言葉を使い、うえはらさんと会話をしていました。ある日、この大学生から「日本語をもっと勉強したいので、日常的な言葉でもいいですか」と提案が。うえはらさんが、「いいよ!」と提案を快諾すると…。フランス人の男子大学生(フランス在住)と日本語でLINEしてるんだけど「日本語の勉強したいので、もう少し日常的な話し言葉でもいいですか」って言われて「いいよ!」って返したら、それ以降めちゃフランクになった pic.twitter.com/aYnXEl4VsY — うえはらけいた|漫画家 (@ueharakeita) March 30, 2022 大学生は、「うえはら、元気?」と、親友に声をかけるような言葉で、話しかけてくれたのです!その後も、大学生はフランクな言葉で会話を続けてくれているとのこと。クスッと笑ってしまう、大学生のメッセージにさまざまな声が寄せられています。・なんか、心をわしづかみにされた!すごく嬉しいですね!・日本語って、敬語から友達同士の会話まで、かなり細かいグラデーションがあるんだなと改めて思った!・笑った!『友達』と『知り合い』の間の微妙なニュアンスって、確かに難しいよな。・漢字も正しく使っていて、純粋にすごいわ。勉強する姿勢に尊敬!ちなみに、その後「けいたでいいよ!」と伝えた、うえはらさん。大学生は「けいた」と名前で呼んでくれるようになったそうです。うえはらさんとのやりとりによって、大学生の日本語力はメキメキと上がっていくでしょうね![文・構成/grape編集部]
2022年04月01日4月6日~4月11日 、「2022 伊勢丹フランス展」を開催します。パティシエによるアシェットデセールの競演。世界で活躍する日本人によるフレンチやパン。ご自宅での食事やおやつの時間を格上げしてくれる惣菜や食材、調味料、お菓子、産地の個性が楽しめるワイン。そしてお洒落な生活雑貨たち。この春もフランスの魅力がいっぱいの一週間がやってきます。「2022 伊勢丹フランス展」一般会期:4月6日(水)~4月11日(月) 各日午前10時~午後8時[最終日午後6時終了]イートイン営業時間:午前10時30分~ イートインラストオーダー:各日終了30分前会場:伊勢丹新宿店 本館6階 催物場目の前で作られる芸術的皿盛りデザート「アシェットデセール」を愉しめる大型集合イートイン「サロン・デュ・デセール」<ラボラトワール ローブ ショウコ ヒラセ>、<エンメ>、<スフレ コウジ オオサワ>(4月6日(水)~4月8日(金))、<セイスト>(4月9日(土)~4月11日(月))、大人気の4店のアシェットデセールやパフェが競演する集合イートインが初登場。フルオープンキッチンでのパティシエたちの技にも魅了されます。■<ラボラトワール ローブ ショウコ ヒラセ>【イートイン】<ラボラトワールローブ ショウコ ヒラセ>柑橘とハーブのバシュラン 各日30点限り 1,870円(1人前/日本製)メレンゲのカップの中には、清々しく豊かな香りのハーブソルベと、軽やかな味わいのクレームダンジュを合わせました。オレンジワインの2種類のジュレと、旬のさまざまな柑橘を散りばめた、爽やかな味わいの一品です。■4月6日(水)~4月8日(金)限定<スフレ コウジ オオサワ>【イートイン】<スフレ コウジ オオサワ>山椒とショコラのスフレ 各日40点限り 2,420円(1人前/日本製)ショコラのスフレに山椒を加え、アクセントのある味に仕上げました。ショコラのソースやアングレーズソース、実山椒のエスプーマで、いろいろな味の変化を。花わさびのアイスとともに。フランス・ボルドーで活躍する実力派シェフの技が光るイートイン<レクスキ>ボルドーワインとともに、和の要素を取り入れたフランス料理と、世界に誇る日本のサービス「おもてなし」を提供している<レクスキ>のイートインが登場します。【イートイン】<レクスキ>「ボルドーの春を味わう」レクスキシェフおすすめコース 5,500円(前菜:白アスパラとコンテチーズのパートブリック包み、メイン:バザス牛サーロインステーキ フリットメゾン/1人前/日本製)フランス・ボルドーで活躍する実力派シェフの技が光るスペシャルコース。ボルドーの豊かな食材の魅力を余すところなく引き出した料理を会場で再現。本場ボルドーの味をご堪能いただけます。フランスで活躍するパティシエールとブーランジェのパンやフランス伝統菓子 <レ・ジニシエ>品田麻衣×<Mei Narusawa>成澤芽衣フランスで活躍するパティシエ・品田麻衣氏とブーランジェ・成澤芽衣氏が、フランスで出会ったことをきっかけに誕生した<レ・ジニシエ>。2017年、フランスで最も権威のあるバゲットトラディションコンクールで、日本人として、また女性として、初優勝を飾った成澤氏のレシピを忠実に再現し、品田氏がていねいに粉から仕込み、焼き上げています。<レ・ジニシエ>×<Mei Narusawa>上:バゲットトラディション 各日200点限り 371円(1個/日本製)左:クロワッサン・オ・ブール 各日100点限り 368円(1個/日本製)右:サンドイッチ・ジャンボン・カマンベール・アブリコ 各日30点限り 1,210円(1個/日本製)2017年フランスのバゲットトラディションコンクールで優勝したレシピそのままに、小麦・塩・水などのすべての材料をフランス産にこだわり、伝統的な製法で作っている「バゲットトラディション」に、ノルマンディ製の香り高いバターをたっぷり使用し、幾重にも折り込んだ「クロワッサン・オ・ブール」。フランス産小麦100%使用のバゲットに、カマンベールチーズ、御茶ノ水のワインビストロ「レピック」の佐藤紘子シェフ特製ロースハムを挟み、アクセントにドライアプリコットを入れて、優しい味に仕上げた「サンドイッチ・ジャンボン・カマンベール・アブリコ」。品田氏と成澤氏のお互いを信頼し、深いリスペクトから生まれた美味しさです。<ミトロンベーカリー>の日本初上陸のレモンパネトーネイタリアとフランスの国境に位置する、レモンが名産のコートダジュールの小さな町マントンにあるレストラン「Mirazur(ミラズール)」。世界各国のガストロノミストたちが世界最高峰と称賛するレストランで、フランス版「ミシュラン2019」で三つ星、2019年版「世界のベストレストラン50」で1位、2020年版「世界のベストシェフ100」で1位と、世界のガストロノミー界の三冠を獲得。2019年~2020年に行われた「COOK JAPAN PROJECT」にも参加。<ミトロンベーカリー>は、その「ミラズール」が2020年にオープンしたベーカリーです。<ミトロンベーカリー>レモンパネトーネ 100点限り 9,396円(500g/フランス製)<ミトロンベーカリー>のシェフブーランジェ・福田大輔氏が、2021年フランスパネトーネ選手権クリエイティブ部門で優勝した際の受賞作品。新鮮で上質なレモンピールを贅沢に使用した、爽やかな味わいのレモンコンフィをふんだんに練り込んだ、しっとりふわふわのパネトーネです。店舗を持たないチョコレートブランド<セイスト>のクッキー缶世界大会優勝ショコラティエで、アルノーラエール日本初出展店舗のシェフを務めた瀧島誠士氏が2021年に立ち上げた店舗を持たないブランド<セイスト>。日本の食材にフォーカスした風味豊かなショコラをお届けしています。<セイスト>Journey 200点限り 3,240円(日本製) ※4月6日(水)~4月8日(金)限りの販売※4月9日(土)~4月11日(月)はイートイン出店になります。奇をてらわずに美味しさを突き詰めたクッキーは、静岡の朝霧乳業で大切に作られたバターをはじめ、風味豊かなアマゾンカカオ、フランス産小麦、マダガスカル産のバニラなど、選びぬいた食材を使い、丁寧に作りあげています。会場では、ワイン銘醸地の多彩なワインも豊富にご紹介いたします。また、ソムリエによるワインセミナー(有料/予約制)や 毎日異なるテーマで楽しめるバーカウンターご用意。日替わりで地方ごとのワインが楽しめる有料試飲バーで、産地ごとの個性を存分に味わっていただけます。特設サイトで詳細をチェック!※価格はすべて税込です。※イベントの内容は、都合により変更または中止となる場合がございます。予めご了承ください。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2022年03月31日第40回”ダイエット中もデザート必須”なフランス人達の「置き換えデザート」3月はダイエット・チャンス?クリスマスや大晦日のご馳走を食べ、その後も1月はガレット・ド・ロワ、2月初旬にはシャンドルール(聖母マリアのお清めの日)でクレープ。2月末はマルディ・グラ(カーニバル)で揚げ菓子……と、どうしても、祝い菓子を食べ続けてしまうフランス人。しかも4月初旬からは復活祭。どこもかしこもチョコレートで溢れる。唯一、祝い菓子がないのが3月。つまり「薄着になる春夏に向けてダイエットしておくには3月が最適!?」ということで、多くのフランス人達が3月になると大慌てで節制に挑む。でも和食と違い、料理に砂糖や味醂といった甘味がないフランスでは、食事の最後にデザートを食べることでバランスをとり、締めくくる習慣がついている。そこがフランス人にとってのダイエット難関ポイント!それを克服するために、近年人気なのが、卵やバター、砂糖の代わりに他の食品で作る「置き換えデザート」。日本にも生クリームの代わりに豆腐を使うヘルシー・スイーツなどがありますが、フランスでは何を使うのか。今回はそのフランス版をお楽しみください(左上)1月はガレット・ド・ロワ。(左下)2月初旬のシャンドルールにはクレープ。(右上)2月下旬(今年は3月1日)はマルディ・グラ(カーニバル)で揚げ菓子やワッフル(地方による)。(右下)4月初旬は復活祭チョコ・・・と、キリスト教のカレーム(節食時期)風習により、3月だけ、菓子を食べる祝事がない。ダイエット中、精神安定のためにも、ショコラ(チョコ)は必須!ダイエット中に限らず、健康上&味覚上も最も推奨されているのが、カカオ分70%&85%のチョコ。90%以上になると苦味が強く精神的にも満足感を得られなくなってしまうといわれている。ダイエット中の「置き換えデザート」にはチョコ系レシピが多いが、その際にも一般の菓子用板チョコ(カカオ分50%前後)ではなく、70%や85%が勧められている。「チョコに含まれるポリフェノールやマグネシウムは健康にいい」は、日本でも周知のこと。でも栄養効果よりも何よりも、フランス人にとってチョコは「欠かせぬもの」。コーヒーにもブラックチョコが添えられ、それをかじりながら飲み、「食後にチョコをひとくち食べるだけで落ち着く」という人も多い。「気をつけるべきはカカオの含有量。カカオ分が高ければ糖分は少なく、害はない」ともいわれ、スーパーでも写真のようにカカオ分の高い板チョコを気軽な値段で、自分の好きな%を選んで買うことができる。卵アレルギーにも重宝。「卵白」の代わりに、ヒヨコ豆の煮汁日本でも最近、ベジタリアン料理に最適として注目されている「アクア・ファバ(乾燥豆の煮汁)」。プロテインやファイバー(繊維)も多く含むので腸内環境を整えられ、悪玉コレステロールを下げ、良玉コレステロールを上げるなど健康効果も謳われているが、フランスでも「ヒヨコ豆」の煮汁が人気。煮汁は冷えると化学反応が起き、泡立てるとメレンゲのようになるので、卵アレルギーやヴィーガンの人達もケーキ作りに愛用。ヒヨコ豆の缶1つで、前菜&メイン&デザートヒヨコ豆は、フランス人の大好物。健康食としても知られているけれど、何よりもホクホクと甘く、ボリューム感があり、満足できるのが魅力。ヒヨコ豆の水煮缶を常備している家庭はとても多い。その水煮缶は「中身すべてを使えて捨てるものなし!」の優れモノ。缶1つで、おつまみからメイン料理、デザートまで、簡単に作れてしまう。ポイントは、煮汁をメレンゲに使用するためには事前に冷やすことが必要なので、「ヒヨコ豆の水煮缶は買ったら冷蔵庫で保管してしまう」こと。ヒヨコ豆1缶で作る3つの料理※ボールとザルを用意。豆と煮汁を分け、まずはデザートから着手【ムース・オ・ショコラ】ボールに入れた煮汁に塩を少々。泡立て器でメレンゲ状に泡立てる。卵白メレンゲほど固くはならないが、それでOK。板チョコ200gに水50gをふりかけ、電子レンジで溶かす(一気に溶かさず、10秒ごとに止めて焦げないように確認。徐々に溶かす)溶けたチョコにを少しずつ加え混ぜていくそのままでも、1人分ずつ小さな器に分けても。冷蔵庫で2時間以上冷やせば出来上がり卵白自体は低カロリー。でも通常のムース・オ・ショコラには卵黄も入れるので、結果的にはこのひよこ豆の煮汁・使用の方が、かなりカロリーカットになる。卵アレルギーやコレステロール調整には便利なレシピ。卵使用との味の違いを感じないのが魅力。【フムス】好みの量の豆に水少々、オリーブオイル、ごま油、練りごま(なくてもいい。好みで)、クミンやカレーパウダーなどスパイスを加える。マッシャーや電動ブレンダー、ミキサーなどでミックスする。好みの滑らかさにオイルなどは調整。そのままでも、キュウリやニンジン、セロリなどスティック野菜を添えても。【ヒヨコ豆のカレー風味】フライパンでオリーブオイルとニンニクのスライスを熱し、そこに豆を加え、胡椒やクミン、カレーパウダーなどスパイスを加え炒める。好みでパセリのみじん切りもふりかける。ビールにも合い、ライスにもパンにも合うので、大人も子どもも楽しめる。「バター」の代わりに、ズッキーニ山芋が手に入らない海外在住の日本人達からは「お好み焼きに、山芋の代わりに入れるとフワフワになる!」と愛用されているズッキーニ。ダイエット中やヴィーガンのフランス人達には、バターの代わりに使われている。バターの代わりには、他にもアボカドやサツマ芋もOK。でも95%が水でありながら、ファイバー(繊維)が多いズッキーニが、値段の安さもあってダントツの人気らしい。ズッキーニの風味は皆無。水分が多いお陰で、バターのしっとり感は出る。ただしバター使用より全体の濃厚さは減り、物足りなさはある。【バターなし! ズッキーニの「ガトー・ショコラ」】チョコ200gに50gの水を加え、電子レンジで溶かす(ムース・オ・ショコラと同様、一気に加熱せず、10秒ごとに様子を見ながら)ズッキーニの皮を取り除き、おろす(フランスには大根おろしはないのでチーズ用おろしで以下の写真のような形。日本では大根おろしのようにおろしても、または刺身のツマ状におろしても)溶かしたチョコにズッキーニを混ぜる。卵2個を加える。小麦粉80g(更にライトにしたければコーンスターチでも)とベーキングパウダー10gを加える。味見をして、甘味が足りなすぎれば好みで砂糖を加える。型にクッキングシートを置き、生地を流し込み、160℃のオーブンで40分焼く。「砂糖&バター」の代わりに、熟れすぎ真っ黒バナナ「バナナを長持ちさせる保存法」などがよくSNSでもテーマになっているけれど「置き換えデザート」には黒くなってしまったバナナこそが重宝。砂糖もバターも不要のケーキを作れるからだ。バナナが熟れすぎてしまったり、黒いバナナが安売りになっていたりしたら、作ってみてもいいかも!?【熟れ熟れバナナのガトー・ショコラ】鍋にバナナ3本を入れ、フォークで潰しながら温める。そこに板チョコ200gを加える。ボールに小麦粉80gとコーンスターチ80gとベーキングパウダー10gを混ぜる。に、卵1個を加えて混ぜる。型にクッキングシートを置き、を流し込み、180℃のオーブンで25分焼く。温かい出来立てと、冷やした後の味の違いも楽しい日本女性は「スリムで綺麗」?!「痩せメソッド〜スリムで綺麗な日本女性の秘訣」などという本があったり、「日本人が痩せているのは、ワカメを食べているから。脂肪を燃やし、空腹感を抑える海藻サプリがオススメ!」などという広告もあったりする。サプリではなく、ワカメがフランスにも普及して、お醤油のように、どこのスーパーでも手軽に買える日が来るのかもしれませんね(最近は自然食品店などでは見かけるようになってきているけれど、まだ少量で高値)。
2022年02月22日「プライドが高く、絶対に謝らない」と、世界でも悪名高きフランス人達。でも「絶対に」は、ちょっと言い過ぎ。本当に悪いと思えば、彼らもちゃんと謝る。ただ、「とりあえず謝っておこう」や「負けるが勝ち」的な考えや教育はないので、私達日本人に比べると謝る頻度はとても少なく、それで「滅多に謝らない」ように思われるのかもしれない。そして子ども達には「パルドン(ごめんなさい)は?」と幼少期から謝ることを教えるので、その辺は日本と同じ。そんなフランスが、2020年、初等&中等教育で新しく「ケンカ仲裁法」プロジェクトをスタートさせた。小学校勤務の私も習い、実践する度に「ナルホド。これって効果あるかも」と感じることが多いので、今回はそれについてリポート。家庭での兄弟喧嘩にも効果あるかどうか、ご興味ある方は是非、試してみてください第39回イジメ(ハラスメント)が46%減少!新「ケンカ仲裁法」プロジェクトNonviolent Communication「非暴力コミュニケーション」新しい「ケンカ仲裁法」プロジェクト作成の前に、まずフランスが参考にしたのは、1960年にアメリカが導入したという「非暴力コミュニケーション・メソッド」。子どもに限らず、大人でも、人間関係にトラブルが生じた時、まずは何が起こったのか、状況を把握しなおそう。自分の気持ち(怒りや悲しみ、嘆きや憤りなどの感情)に気づき、見つめよう。相手のせいにする前に、まずは自分がそれら感情を抱いたという事実を確認、認めよう。その上で、その感情を抑え込んだり我慢するのではなく、解消するために、相手にして欲しいことを率直に、ただし訴えたり非難するのではなく、できるだけポジティブに、クリアに伝えられるように言葉を選んで表現しよう。というもの。要は「覚えていること(起こったこと)の明確化」そして「できるだけ乱暴ではないポジティブな言葉に言い換える」その訓練を奨励するメソッドだ。とはいえ「こんなことができれば世話は要らない」「綺麗ごとだよね」というのが、辛辣なフランス人達による見解。そこでフランス教育界は、これを参考に独自の新たなプロジェクトを2019年に作成。それが「Médiateur à l’Ecole(学校での仲介者)」メソッドだ。「Médiateur à l’Ecole(学校での仲介者)」メソッド(写真上)日本の小学校同様、フランスでもクラスの日直制度(「朝、黒板に日時を書く」係、「出席の点呼」係、「プリントの配布&回収」係など)がある。(写真下)そこに2020年から「ケンカの仲介」係も加わった。SNSの普及により、近年、フランスでも中高生の間でのハラスメント(いじめ)が増えていて、社会問題になっている(いじめの90%はSNSによるもの。 France Mediation2021)。その対策として2020年、全国255の中学に、プロとして養成されたMédiateur (調停者。仲介者)130人が派遣され、7万7000人の中学生を対象に活動。とりわけ、中学では最年少学年という弱い立場であり、小学校とは異なる大規模な集団生活にもまだ不慣れな中学1年生の男子を対象にアンケートをとったところ、「身の回りでのハラスメント(いじめ)が明らかに減ったように感じる」と43%が回答。わずか1年で好成果が得られたという(France Mediation2021)。国の予算上、小学校へのプロ派遣はされていないが、教師&補助職員の希望者は研修を受けられるので、私も受けてみた。「非暴力コミュニケーション」よりも、実際に何をどうしたらいいかが明確。実用的なメソッドだ。「ケンカ仲介者」メソッド例えば、2人の子どもがケンカをしたとする。その場合、写真のように2人を背中合わせに座らせ、間に「仲介者」を立たせる(「仲介者」は教師や補助職員、家では親でもいい)。そして「仲介者」はあくまでも「聴き役」であること。善悪のジャッジ(判断)はせず、例えば「1人が一方的に殴った」など、明らかにどちらかが間違っている時でも、それを責めず、まずはひたすら双方の話を聴くことから始めることを肝に銘じる。そして最初に「何があったか」。状況を双方から聴く。食い違いがあってもいい。(それぞれ言い分があるので、ほとんどの場合、食い違う)できるだけ詳細を述べさせ、何度でも、双方、言い尽くすまで発言させる。そうすることにより、どこが食い違っているのかを言っている当人達も次第に把握していく。(しかし自分が正しいと思っているので、把握はするが理解はせず、自分の非は認めない。それでも構わず、双方、事情説明について言い尽くしたら、食い違いはそのままにしてに進む)次に怒りや悲しみ、憤り、不満など、抱いている感情も、それぞれから聴く。「そっちが悪い!」「嘘だ!」「私はそんなこと言っていない(していない)」など言い合いにもなるが、それを極力、激しい口論にさせず、どちらからも交互に述べさせるのが仲介者の役目。とにかく宥めながら、しかし押さえ込まず、それぞれの不満をすべて言葉で表現させる。相手が喋っている時には、それを中断させず、1人ずつに順次喋らせることも仲介者の重要な役目。続けているうちに次第にトーンダウンしていくはず。激しさが残っているうちは「まだ言い尽くしていない。不満を出しきれていない」と仲介者は解釈。根気強く聞き出し続ける。もう言い尽くし、言うことがなくなった状態まで来たところで「では、どうしたらいいと思う?」と、これも仲介者の意見は一切入れずに、それぞれに希望や願望、あるいは仲直りへのアイデアなど、各自の考えを尋ねる。「とにかく、どちらからも言い分をすべて聴く。思っていることをすべて言ってみて!」と説得し、どちらの言葉にもきちんと耳を傾ける「仲介者の態度」が最も重要。最初の頃は激して叫んだり、罵声を発している子どもも、思いを外に放出し続けてるうちに次第に落ち着いてきて、の頃には、当人達がもうくたびれていたり、面倒くさい様相になったりしてくる。「くたびれたり、面倒くさかったりするからもういいや、となるのなら、解決にならないのでは?」と思われるかもしれないが、小学生の日々の小さなケンカは「他愛のない」「どちらにも非がある」ものがほとんど。解決よりも大切なのは「後腐れ」や「わだかまり」「ヒガミ」や「ねたみ」などを内心に宿させないこと。解決のためにジャッジされれば「どうして自分ばかりが責められたり、叱られなければいけないのか?」など納得がいかず、恨んだり根にもったりしてしまいがち。不満の根を心の深い部分に残してしまう。この方法は親の呼び出しにまで発展したケンカの場合も採用。教師と親達が「仲介者」となり、決して意見を挟まずジャッジもせず、当事者である子ども達の聴き役に徹するのだが、親達にも「事情や感情の詳細を知ることができる」と好評。親が謝る必要がないことでも、「滅多に謝りたくないフランス人」にとっては好ましいやり方なのかもしれない。近年の「叱り方」メソッド補助職員用に教わった「叱り方」の新メソッドというのもあるので触れてみますね。「それ、やっちゃダメ!」と叱ったり、集合の時「すぐ来なさい! 急いで!」と召集したり、「3数えるまでにやらなかったら、罰を与える!」などは、これまで教師も職員も親達も口にしてきた叱り方。しかし近年「それらは逆効果」とされ、フランスの小学校では、新メソッドが提唱されている。まず、やってはいけないことを子どもがしている時、「ノン!」や「ダメ!」は口にせず、遠方からでも上の写真のように手で「ストップ!」を明示。同時にその子どもの名前を呼ぶ。そうした後で子どもに近寄り、「〇〇してはいけない」「それは危険」などと説明する。名前を呼ばれることで、叱られている対象が自分であることを「即座に耳で」、そして手のジェスチャーで「ノン!」や「ダメ!」を「瞬時に目で」、子どもは察知。従来のようにまず「ノン!」を言えば、名前を呼ぶのは、その後になるので、誰に向かっての注意なのかの伝達がその分、遅れる。いち早く、行為をストップさせたければ、まず名前とジェスチャーで伝えることが先決。実践してみると、確かにその通り! と実感。シンプルで簡単なことなのに、私にとってはかなり「目からウロコ」の新メソッドだった小学校のポスターも変化そういった叱り方への変化は、小学校の校内の壁に貼られるポスターにもあらわれ始めている。例えば「電気のつけっ放し禁止!」だったポスターは「ここの電気は消さなければいけないって、知ってる?」になった。ゴミの分別用ポスターも「ここに紙を捨ててはダメ!」が「僕(ゴミ箱)は紙以外を食べるよ。リサイクルするんだ」に。
2022年02月06日お正月明けに七草粥を食べる日本とは違い、1月初旬の「エピファニー(カトリックの祭日。今年は1月6日)」にも、ダメ押しのようにバターがたっぷり「ガレット・ド・ロワ」を食べるフランス。「クリスマスと大晦日で太ってしまった。ダイエットを始めなければ!」と言いつつ、大人達もガレットを我慢することは不可能。しかもガレットは、エピファニー当日だけではなく、家庭、給食、学校のクラス、職場でと、1月末まで何度も食べる機会に恵まれてしまう。そんな風に年の初め1月から、お菓子でスタートするフランス人達の「普段のおやつ」について、今回はリポートします第38回フランスのおやつ事情午後4時半〜5時半がおやつ・タイムある日の学童のオヤツ。牛乳&コンポート(煮りんご)&マドレーヌ共働き家庭が9割以上を占めるフランス。でも残業率は低く、子どもの夜間の塾通いなどもない。習い事があっても、大抵、夜7時頃までには帰宅するので、平日も夕食を家族揃って食べることが、ごく普通のこと。ただし全員が揃うまで待つので、夕食は夜8時過ぎという家が大半。昼食から夕食までの間隔が長く、間食は大人にとっても必須。夕方、勤務中や帰宅途中に、りんごやチョコ、シリアル・バーなどをかじっている人がとても多い。幼稚園児や小学生のおやつ・タイムは、終業後すぐの午後4時半頃。夕食に差し障らないように「小腹が空いたらあげる」のではなく「おやつは毎日、時間を決めて、遅くとも5時半までに与え、それ以降は間食させないように」ともいわれている。おやつにも「バランス」が大切学童保育に貼られているポスター。毎日から1つずつ。計3種の おやつ を学童では出している。1️⃣(乳製品)牛乳orチーズorヨーグルト2️⃣(果物)フルーツジュースor果物orコンポート3️⃣(穀物)バゲットorビスコット(トースト型のラスクに似た甘くない保存食。下の写真参照)orビスケット給食メニューや雑誌の料理レシピなどでも、フランスは「バランス」重視。糖分や脂肪分の摂取しすぎへの注意はするけれど、カロリーへの関心度は日本やアメリカほど高くない。そして おやつ についても、バランス面での指導やアドバイスをよく聴く。もっとも言われているのは、「整腸作用のために繊維質(ファイバー)摂取穀物類」「成長のためにカルシウム&プロテイン摂取乳製品」「免疫力のためにビタミン&ミネラル&マグネシウム摂取果物」この3種をおやつでもバランスよく補給すること。私が子どもの頃、駄菓子といえば「かっぱエビセン」や「カール」「とんがりコーン」などだったけれど、そういった油脂が多いスナック類がおやつになることは、フランスではほとんどない。ポテトチップスや、近年フランスでも人気の日本のあられやおかきなども、間食ではなくアペリティフ(食前酒用のおつまみ)にされている。ある日の学童の おやつ 。牛乳(1️⃣(乳製品))ドライバナナ&(2️⃣(果物))&パウンドケーキ(3️⃣(穀物))フランスといえば、美味しいバゲットやクロワッサンのイメージも強いけれど、皆が毎日、焼き立てのパンを買って食べているわけではない。忙しい平日の朝食には、この「ビスコット」と呼ばれる甘くないラスクのような保存食にバターやジャムを塗って食べている家が多い。代表的おやつ日本の「卵ボーロ」に当たるのが、ティラミスにも使用される「ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール」。卵ボーロと同様、口にした途端にホロホロと溶け、しかも手で掴みやすい形なので、赤ちゃんのおやつに与える人が多い。おばあちゃんの家のブリキ缶の中に常備されている おやつ といえば、市販のマドレーヌとバタービスケット。これらを牛乳やココアに浸しては口にし、浸しては口にし、その日、学校であったことなどを喋りながら子ども達はモグモグ食べる。バゲットやビスコットにジャムやヌテラ(ヘーゼルナッツのペースト)などを塗って食べるのも定番おやつ 。フランスには日本のようなゼリー菓子はほとんどない。代わりに多いのはリンゴなど果物を煮詰めた「コンポート」。おばあちゃんの家では自家製も多いけれど、子育て中の親が買い置きしているのは、こういう市販品。スプーンですくうタイプと吸うタイプがあり、どちらも給食のデザートや学童の おやつでもよく登場する。市販 おやつ のロングセラーたち。(左上)ビスケットにイチゴやアンズのジャムをのせたもの(左下)ビスケットの上にミルクチョコレート・バーがのったもの(右上)チョコペースト入りミルクパン(右下)チョコサンド・ビスケット。いずれも1人1つ。左上だけ小さいので2つだけ。幾つも与えたりはしない(夕食と経済への考慮から)子どもに限らず大人も大好きなボンボン(飴)。でも糖分が多く、肥満や虫歯、また血糖値の上昇から癇癪(いわゆるキレやすい子)の原因にもなるので「避けたいおやつ」の代表ともいわれている。パン屋で購入する おやつ の筆頭といえば「パン・オ・ショコラ」。でもバターたっぷりのデニッシュ生地なので、頻繁に与えれば肥満につながる。値段も1個でバゲット1本分するので、フランス人にとっては、ちょっと贅沢な おやつ 。そのため子どもには休日の朝食やバカンス中だけ与えるという家も多い。スーパー・フード・オヤツ子どもだけではなく、大人にも推奨されている健康的 おやつ 用食材が「チョコレート」と「ハチミツ」チョコレートポリフェノールの効能(身体の酸化防止など)だけではなく、チョコレートには他にもファイバー(食物繊維)、精神安定や頭の回転をよくすると言われるセロトニンも多く含まれ、同時に「歓びを与える食品」として疲労回復やストレス解消にも「 おやつ には最適」といわれている。ただしカカオ分70%以上のブラックチョコ。そしてパーム油や香料を使用していないものを選ぶことが大切らしい。子どもには、写真のようにバゲットに板チョコをはさんで「パン・オ・ショコラ」にして与える家も多く、移住したての頃、その大胆さには驚いたけれど、パン屋のパン・オ・ショコラより経済的で名案!と感心もした。ハチミツ1歳以上の子ども、そして大人にとっても、 おやつ に最適なスーパー・フードとされているのが「ハチミツ」。ビタミンBやCで免疫力もつけられ、ミネラルも豊富なので、塩分の取りすぎの調整や悪性コレステロールの抑制、整腸作用にも効果がある。なにより血糖値の上昇が緩やかなので、癇癪(キレる子ども)防止には、砂糖よりもハチミツで糖分を摂る方が好ましく、幼い頃からハチミツに慣れさせておくと「自然体の味覚が育ちやすい」ともいわれている。©️Hédène近年、多くのフレンチシェフが注目しているのが、チーズとのマリアージュ(取り合わせ)。トップモデルも「小腹が空いたらチーズにハチミツをつけて食べる」と雑誌などで言うようになり、一般の大人達も「健康的アイデア!」と取り入れはじめている。
2022年01月22日今年のお正月。日本の子ども達は、お年玉をたくさん貰えたのでしょうか?「お年玉」に似た風習があるのは、中国やベトナム、インドなどアジアが主流。フランスにはなく、それでも10代後半になると、クリスマスプレゼントに祖父母や親戚からお金を貰う子も多々。つまり、日仏問わず、子ども達の懐(ふところ)が潤うのは、年末年始の時期なのかもしれませんね今回はフランスっ子達のお財布事情。主に「お小遣い」について調べてみました(データ:Pixpay 2021 &; Sondage opinion way pour fortuneo2021)。第37回フランスの子ども達のお小遣い事情村の小学生52人のうち、お小遣いをもらっているのは1人だけまずは、私が勤務している村の小学校で、6〜10歳の子ども達52人に尋ねてみたところ、毎月、お小遣いを貰っている子は、たった1人。9歳のイギリス人の男の子だけだった。彼が貰っているのは、毎月5ユーロ(約650円)。主にボンボン(キャンディやチョコ)など駄菓子に使い、残ると貯金箱に入れているそう。でもこれは、村に1軒だけしか駄菓子を売る店がない居住地ならでは、の事情。通学途中も、あちこちに売店やファーストフード店がある都市部になると、状況は全く違う。全国調査では、フランスの小学生(6〜10歳)の25%が親から毎月お小遣いを貰っている。「中学入学の9月」が、お小遣いスタート時期それでも、お小遣いを貰っていない都市在住の小学生もかなりいる。お小遣い開始時期についての全国調査では11歳が最多。ちょうど中学入学の年で、中学生(11〜14歳)になると51%がお小遣いを貰っている。また「高校(15〜17歳)からお小遣いをあげる」という親も多く、「親元を離れ、寮生活になったから」「カフェや映画など、友達との付き合いが始まり、事前に予測できない出費機会も増えるから」というのが主な理由。相場はいくら?都市部では、「毎月のお小遣いの目安や相場は、年齢と比例」という説も強い。7歳ならば7ユーロ(910円)。11歳(中学1年生)ならば11ユーロ(1430円)。15歳(高校1年生)ならば15ユーロ(1950円)。「高校生からは年齢の倍」、15歳(高校1年生)は30ユーロ(3900円)。17歳(高校3年生)は34ユーロ(4420円)という風に、やはり年齢を目処にしている親も多いという。また「ご褒美」や「お駄賃」制度がある家も多く、「ゴミ出しや皿洗い。洗車や庭仕事。暖炉の薪割や雪かきなどの家事手伝い」「学期末の成績が20点満点中、平均14点以上だった場合」などが、その具体例。しかしこれについては、児童教育学者達は「それをすることにより、親は即効性を感じられるかもしれない。しかし長期的データによれば、褒美がなければ手伝わなかったり、ボランティア精神や貢献心も育まず、探究心や好奇心からの自発的勉強をしない思春期を迎えやすい」と、雑誌などで懸念&指摘もしている。国や地域(温暖)による違いヨーロッパ内での国による違いは上の表の通り。別のデータ(AXA IM)では、ヨーロッパ諸国よりもシンガポールや香港の方が、額は高いという(8〜15歳が毎週もらうお小遣い額・平均:フランス1010円スペイン1480円イタリア1540円イギリス1880円シンガポール2050円香港2530円)。フランス国内でも、北部ほどお小遣いの額は低く、南に行くほど高いという傾向が強い。暑い地域ほど、ジュースやアイスクリームなど外で買い食いする機会が多いからだろうか。パリよりもニースやマルセイユなど南の街の方が、お小遣いの額は高くなっている。未成年者向けクレジットカード銀行では一定額以上は使えず、親がネットバンクで使用明細を随時確認&管理できる「未成年者向けのクレジットカード」も発行。それを利用している親子も多い。我が家も小遣い制にしたことは皆無。子ども達が寮生活を始める高校入学時から、カードを持たせ、常に一定額を入金しておくようにしていた。また村の小学生達にも「お小遣いは貰っていないけれど、銀行に自分の口座はあって、そこにパパとママは毎月貯金をしてくれてる」と言う子が多かった。中学からは携帯電話などにお金がかかることは確実なので、子どもが小学生の頃からそれに備え「小遣いではなく貯金」という親も明確に増えている。ネズミがくれる臨時収入日本では乳歯が抜けると、上の歯なら縁の下に。下の歯なら屋根の上に投げるけれど(今もこの風習は続いているのでしょうか?)、フランスには「枕の下や、専用の小箱に入れておくと、夜、ネズミがきて、その歯を運び去り、替わりにコインを置いていってくれる」という言い伝えがある。そのため、給食中に歯が抜けると、子ども達はその歯をナフキンに包み、大事にポケットに入れて家に持ち帰っている。そして翌日「ネズミ、いくらくれた?」と尋ねると、「綺麗な歯だったから2ユーロくれた」「虫歯だったから5サンチームだけだった」などという答えもよく聴く。そんな風に「歯磨き教育」の一環にしている家庭も多いらしい。日本で屋根の上や縁の下に乳歯を投げる古くからの風習も「ネズミのように丈夫な永久歯が生えますように」と願うためだとか。英国などでは妖精がコインに替えてくれるけれど、フランスやスペインは日本と同様にネズミ。 遠く離れた国同士でも、こんな風に意外な共通点があるなんて、なんだか楽しいですよね
2022年01月06日第36回イブの夜は家族みんなでディナー。でも意外! 「出来合い料理を購入」の家が多い。日本のお節料理と同様、フランスも「クリスマス料理は購入」という家が増えていて、スーパーマーケットや冷凍食品会社、街の惣菜店や菓子店の「書き入れ時」とも言われている。料理を手作りしない理由はディナーに参加する人数の多さフランスのクリスマスは、日本のお正月のようなもの。祖父母から孫まで一斉に集まり祝うことが多く、かなりの人数になるため。プレゼントの調達だけで精一杯大人も全員、プレゼントのやりとりをするので、直前まで、その調達に右往左往。料理まで頭も時間もまわらないため。主催する家がすべて用意普段の会食は、料理の持ち寄りで催されることが多いけれど、クリスマスは主催する家がアペリティフ&前菜&メイン&チーズ&デザート、加えてシャンパンやワイン、食後酒&ショコラ&コーヒーやハーブティまで準備することが通常。料理をすべて自家製にするとなると、かなり大変な作業になるため。大手スーパーマーケットの前菜からデザートまでのメニュー例・広告。値段は1人分。X’masといえば「フォアグラ」「牡蠣」エコロジー&動物愛護が加熱しつつあるフランス。市長もエコロジストのリヨン市では、今年「クリスマスと大晦日の料理からフォアグラをなくそう!」と発令も出し、話題になっている。それでもまだフランス人の4人中3人は、クリスマスにフォアグラを食べるという。(左上)牡蠣(左中&左下&右上&右中)フォアグラ(右下)スモークサーモン他に定番の食材といえば、牡蠣。ホタテ貝。サーモン。そして、キンカンやライチ、ホウズキやオクラなど、エキゾティック系の野菜や果物も、12月になると市場やスーパーに大量に並ぶ。オクラは主に南米やアフリカ産。普段はアジア食材店などでしか売っていないので、私は大喜びでこの時期に1年分を購入。冷凍保存しているが、フランス人はどのように食べているのかといえば、煮込み料理に使ったり、グリルして肉料理の付け合わせにしたり。日本人のように「ネバネバ感」を楽しんではいないらしい。メニュー例クリスマス は、とてもプライベート。よその家庭のディナーは覗けないので、ここ数年の我が家の クリスマス メニューだけを載せますね。アペリティフ(食前酒用つまみ)(上)「リース風・盛り合わせ」中央はイチジク&クルミ入りパン・デピス(蜂蜜パン。フランス人はフォアグラを載せて食べる)。周りにアボカド&シュリンプ。サラミ。うずらの卵&イクラ。サーディンペースト詰め乾燥トマト。ホウズキなど(下)モッツアレラ&生ハムやサラミ、オリーブを刺した田舎パン前菜アボカドとフレッシュ・サーモンのタルタルメイン(上)サーモン&ビーツ(赤テンサイ)&温野菜&イクラ(下)サーモン&バジルソース&燻製サーモンうずらのグリル&鳥カゴ・パイ。市販のパイ生地をボールを使って鳥カゴ風に(ボールのまま。あるいはボールから外して、中にアルミホイルやクッキングシートを詰めて、オーブンで焼く)。子どもとも楽しく作れる。市販のチキンを入れても、ちょっとだけ手作り風に演出できるかも?チーズデザートブッシュ・ドゥ・ノエル幼稚園&小学校の給食・X’mas メニュークリスマス・バカンスが始まる、1学期最後の日の給食は クリスマス メニュー。料理は微妙に毎年違うけれど、前菜にはサーモンやホタテ。メインには鶏肉か七面鳥が使われ、デザートはブッシュ・ドゥ・ノエルというのが定番。メインは毎年、鶏肉か七面鳥のグリルやクリーム煮&付け合わせの野菜やキノコ。このメインの前に前菜にサーモンやホタテ入りのサラダを食べる。デザートの定番はブッシュ(丸太型)。この年はブッシュ型アイスケーキ。外側のメレンゲを切り分ける直前にバーナーを使い、炎で焦がす。子ども達もバーナー初体験にドキドキ子どもとも一緒に楽しく作れる、簡単レシピ4点ツリー型パイ市販のパイ生地2枚を用意。1枚目にバジルやトマトなど好みのソースを塗り、ピザ用チーズなどものせ、2枚目を重ねる。ツリー型に切ったら、捻っていき、オーブンで180〜200℃。20分(オーブンによる)。プチトマトなどを飾ってテーブルに。同じ手順でチョコレートペーストなどを塗ればデザートにも。おしゃべりしながら、各自ちぎって食べていくのが楽しい、大人同士のパーティにも便利なレシピ。切り落としたパイ生地にも好みのソースやチーズ、チョコなどを入れ、ミニクロワッサンに。翌日の朝食やおやつにもどんな肉料理とも合うソース醤油を使用。でも、フランス人の猟師が鹿肉と一緒にくれたレシピ。鶏肉や豚肉、牛肉など、どんな肉とも合い、子どもはパンやご飯にもつけてモリモリ食べる、万能ソース。ケチャップ&醤油&オリーブオイルを同量混ぜ、その半量のビネガー(ワインビネガーでもりんご酢や米酢でもOK)も混ぜる。好みでニンニクのすりおろしやタイムを加える。トリュフ・チョコレートトリュフ・チョコレートクリスマスの定番「トリュフ・チョコレート」はフランスが発祥のチョコレート菓子。チョコレート店などで売っているので、高級感もあるけれど、実は簡単。しかも材料も4つだけで作れます。(材料)ブラックチョコ200g・バター100g・グラニュー糖 スープスプーン1杯・無糖ココア1)鍋にお湯をはり、それより小さな鍋かボールに小さくしたチョコとバターを入れ、中火にかけ湯煎する2)木べらで滑らかになるまでかき混ぜ3)グラニュー糖を加える4)湯煎から外し、鍋やボールごと1時間、冷蔵庫で冷やす5)スプーンですくって小さなボール状に丸め6)たっぷりめにココアを置いた皿の上で転がす7)1時間冷蔵庫で冷やせば出来上がり砂場のお団子づくりのように子ども達とも楽しめます。子ども向けにミルクチョコにしたり、また大人用にアルコールを効かせたり、抹茶にしたりとアレンジも多々。ミント・ビスケット(材料)ミントの葉15g・グラニュー糖50g・玉子1/2個・バター50g・小麦粉100g ・ベーキングパウダー6g1)ミントの葉とグラニュー糖、玉子、バターをボールに入れ、ミキサーなどでしっかり混ぜる2)小麦粉とベーキングパウダーを加え混ぜ3)丸めて真ん中を押し、少し平らにし4)180℃で15分
2021年12月22日国が違えば文化も違うもの。文化が違えば、その国で暮らす人たちにとっての常識や習慣も違ってきます。フランス人のパートナー、ガイックさんと暮らす、しばひろ(@hirokokokoron)さんは、フランスのマンションで「いいな」と思える貼り紙を目にしました。貼り紙は、しばひろさんとガイックさんが暮らすマンションの、ほかの住人が貼ったもの。貼り紙には、こう記されていたといいます。親愛なる隣人たち今夜、私の誕生日パーティーをするので、うるさくなるけどごめんね!日本では、大家や管理会社からの伝達事項が記された貼り紙こそ見かけるものの、住人が個人的な内容を記して、マンションの共用部に貼り出すことは、ほぼありません。フランスの文化が垣間見える貼り紙に笑顔になった、しばひろさん。…しかし!「いいな」と思えるのはそこまででした。信じられないくらいうるさかった夜 pic.twitter.com/v8fzRPWNjg — 何食わぬ顔のヒロコ(しばひろ) (@hirokokokoron) December 12, 2021 ちょっとやそっとの物音ではなく、もはや騒音レベル。しばひろさんによると、住人の誕生日パーティーは早朝まで続いたといいます。日本ではとうてい考えられない出来事に、漫画を読んだ人からは「限度というものが…」など、さまざまなコメントが寄せられました。・ウソはついてない!ウソはついてないけども……!・住人全員分の耳栓を置いといてほしいぐらい。・お知らせをくれるのは、心の準備ができるし心遣いとしても素敵な文化。だけど、深夜までされるのはつらいね。住人の誕生日パーティーの次の日が休日だったこともあり、「まだよかったです」と語る、しばひろさん。いろいろな意味で、日本との違いを感じる出来事ですね…![文・構成/grape編集部]
2021年12月13日昨年11月、所沢の新名所としてオープンした角川武蔵野ミュージアム。アート、本、博物という異ジャンルをミックスしたこのミュージアムは、図書館の機能も併せ持ち、リアルとバーチャルで人を魅了する異色の存在。そのオープン1周年を記念し始まったのが本展『浮世絵劇場 from Paris』。パリのジャポニスムが360度の体験型コンテンツとして上陸。これはパリを拠点に活動する注目のアーティスト集団ダニーローズ・スタジオの話題作で、デジタル・アート先進国フランスの中でも、2018年~’19年に約200万人を動員した展覧会「Dreamed Japan“Images of the Floating World”」を、バージョンアップさせた作品だ。1100平方メートルを超える展示室は360度スクリーンが取り囲む大空間。足を踏み入れると、浮世絵を題材にした映像が、音楽とともに展示室いっぱいに投影される。第1幕のテーマは「風景」。葛飾北斎「富嶽三十六景」や歌川広重「東海道五十三次之内」などから名作が屏風や扇のように現れては消える。続いて第2幕の「桜」では、桜の木が映し出され、無数の桜の花びらが舞い散り、その風景はやがて神秘的な森へと移り、第3幕「日本の妖怪たち」へと続く。このように第4幕は「海」、第5幕は「魚」、第6幕は「花」…と絶え間なく流れる映像は、全12幕・30分間。伸びやかな音楽とともに現れては消える幻想的な演出が圧巻。特に第4幕の「海」は北斎の絵が臨場感たっぷりで、荒れ狂う海にのみ込まれてしまうような大迫力。終了後は一本の映画を観終えたような充実感に満たされるはず。見どころ1:360度大迫力の浮世絵×映像美!!!カラフルな背景色や浮世絵モチーフの組み合わせの美しさがダニーローズ・スタジオの真骨頂。デジタルアーティストやプログラマー、音楽家といった多領域で活躍する彼らならではの感覚で表現された浮世絵はグラフィカル。©Danny Rose Studio見どころ2:“答え合わせ”も楽しめる。「後室」と呼ばれるエリアでは、映像作品に使用された浮世絵を紹介。吊り下げられた浮世絵の裏には作者と作品名が。また浮世絵にまつわる書籍も展示され、自由に手に取ることができる。見どころ3:進化系・現代の浮世絵師にも注目!大石恵美(BALCOLONY)「桃色四葉乙接吻四人衆大合戦絵巻」UKIYO‐E PROJECT所蔵石川真澄「出火吐暴威変化競 鬼童丸」 UKIYO‐E PROJECT所蔵過去の作品ばかりでなく、フランスや日本で更なる進化を続けているのが浮世絵。会場では日本の現代浮世絵師たちの作品も紹介。演劇ポスター画などで活躍中の若手作品も要チェック。『浮世絵劇場 from Paris』角川武蔵野ミュージアム1Fグランドギャラリー埼玉県所沢市東所沢和田3‐31‐3ところざわサクラタウン内開催中~2022年4月10日10:00~18:00(金・土曜~21:00。入場は閉館の30分前まで)第1・3・5火曜休(祝日の場合は翌日休)一般2400円(当日)ほか TEL:0570・017・396NHK紅白ロケでも話題の本棚劇場。高さ約8m、360度本棚に囲まれた空間は20分ごとに3分プロジェクションマッピングが。※『anan』2021年12月8日号より。写真・土佐麻理子取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年12月06日大人同士でもクリスマスプレゼントを贈り合うフランスでは、この季節、クリスマスプレゼントの調達に忙しい。ところが今年は、コロナの影響で品薄かも? の情報に不安の声も。今回は、フランスのプリスマス・プレゼント事情をご報告!第35回コロナで変化? 今年のクリスマス・プレゼント12月初旬からイブの夜まで、ツリーの下に置かれるプレゼントが徐々に増えていくのも、フランスっ子達には毎年のお楽しみ。毎日、眺めて、時には包みを触ったりしながら「中身は何かな?」と想像。長いお預けを我慢しながらワクワクと過ごす。オモチャの多くは中国産だったため、今年は在庫不足!?フランスのクリスマスは祖父母から孫まで、一同揃って祝うことが多い。そしてプレゼントは子どもにだけではなく、大人同士も贈りあうことが大半なので、誰もが12月はその調達に翻弄&奔走。そのため、気軽に決められる子どもの玩具は11月のうちに購入してしまうことが通常。スーパーも、それを煽るかのように「早期割引」などのプロモーションを11月から仕掛ける。ところが今年は少し様子が違う。スーパーや玩具店は売りたくても品薄なことに悩み、フランス人の3割も「もしかしたら孫や子どもが欲しいものを入手できないのでは?」と在庫不足リスクを不安がっている。オモチャの多くが中国産。コロナで中国での生産&輸出も激減しているからだ。これからはオモチャも国産? 「メイド・イン・フランス」を選ぼう! 傾向。コロナで、国や国民が様々な反省をした国は多い。フランスもマスクから始まり、衣類、家具、雑貨、食品など、「大量&低コスト」生産を望むあまり、中国などに依存しすぎたことを反省。今後は基本に戻って国産を推進。消費者も「国産か、せめて欧州産を選ぶようにし、空輸によるガソリン消費や公害問題も減らそう!」という動きが始まっている。クリスマス・プレゼントについても同様。国産のオモチャを選ぶ人が急増し、お陰で、フランスで唯一となっていたプラスチック玩具の会社は、息を吹き返すことができたという。(左上)「おままごと」も、その大半は中国産。フランス産は1社のみとなっていて、いつ消失するかと懸念されていたが、今年、見事に息を吹き返した。(左中&左下)クリスマスツリーの植樹地としても有名な、森が多いジュラ地方に100年以上続く「木製玩具会社」の良さも、今年になって見直されはじめている。(右下)世界的に有名な「フランス人形」も、近年、ほとんどが中国で生産されていたが、今年は数少ない「フランス産の人形」がオモチャ売り場に並んでいる。(中央)クリスマスプレゼントではないが、このベビー用キリンのオモチャには、見覚えがある人も多いはず。フランスのアルプス地方で作られている大ベストセラー商品。60年以上、世界75カ国で販売され続けている。中国産・類似品も多いが、ベビーが口にするものなので、コロナ以前から「必ず、このSophie社のものかを確認して購入」という人が多い商品でもある。(右上)国産ではないが欧州内。レゴはデンマーク産であるため品薄リスクは少なく、子どもにも常に人気なので重宝がられている。オモチャもジェンダーフリーの時代ここからはコロナとは関係のない余談。私の子ども達は3人ともはすでに成人。まだ孫はいないので、オモチャ売り場に足を運ぶのは実に久しぶりのこと。そこで気づいたのが、オモチャのパッケージの変化。ママゴト商品や人形などに、あえて男児が遊ぶ写真を使っていることだった。洗剤や洗濯機、掃除機や料理など家事関係のテレビCMでは、日仏に限らず多くの国で男性が出ることが当たり前になって久しいが、オモチャ界でもそれが着実に進んでいるとは知らなかった。フランスでも59年間、続いている「サンタさんへの手紙」事務局「緑&赤の服を着たコビト達はサンタクロースの助手。サンタがトナカイと配るオモチャの準備に、コビト達は大忙し」というクリスマス・イメージは欧州では有名。そこで「サンタクロースの秘書事務局」でも50人以上のスタッフが緑&赤の衣装を着用。毎日、何百通もの手紙を解読。返信作業に追われている。フィンランドに「サンタクロースへの手紙」を書くと、返事が来ることは日本郵便(株)との提携などもあり、日本でも有名だが、フランスでも「サンタさんとの手紙のやりとり」は59年間も続いている。フランスで最初に子どもの精神医療を学んだ1人で「ドルト先生の心理相談」(みすず書房)でも有名なフランソワーズ・ドルト。郵政大臣だった彼女の弟は、姉・ドルトの意見も聴き、「サンタクロースの秘書事務局」を開設。1962年。住所を書かなくても「サンタクロースへ」という宛名を書いた手紙をポストに投函すれば、サンタからのハガキが返ってくる「子どもの夢を育む」慈善事業を始めた。投函する際には切手が必要だが、費用はそれのみ。当初は5000通だった子ども達からの手紙は、昨年2020年には、世界132カ国から125万通を越している。アジアからの手紙も多いそう。12月17日まで受付だが、時間と興味ある方は、お子さんと一緒にトライしてみてもいいかも?フランス国内では「サンタクロースへ」と書くだけで届くけれど、日本からは宛先の住所は必須。(宛先)Père Noël33500 LibourneFRANCEAir mail も明記した方が安心。手紙の内容は日本語でも、またイラストだけでもOK。ただし、必ずアルファベットで・お子さんの名前・家の住所・国名を明記しましょう(封筒にではなく、手紙に)。フランスっ子からの手紙の例を紹介すると……。「サンタさんへ。僕は10月からずっといい子にしているけれど、9月まではクリスマスのことを忘れちゃっていました。それでもプレゼントをもらえるでしょうか?」「サンタさんへ。引っ越しをしてしまったけれど、新しい家にも来てもらえますか? 道がわからないといけないので、ここに地図を書きます」「サンタさんへ。今年はママとパパが煙突掃除を頼まなかったので、煙突が汚いです。去年パパが使ったサンタの衣装をツリーの下に置いておくので使ってください」などなど。でもフランスっ子達にもサンタを信じていない子は結構いて、私が勤務している小学校の給食中には、毎年、そのことで「みんながサンタはいないって言うんだけど、本当?」など、半べそをかきながら訊いてくる子が12月は続出する。ちなみに我が家では、長女は小学校卒業まで本気で信じていたけれど、次女と末息子は「信じた方が得な気がしたし、楽しいから信じる派に属した」とシビアに対処していたらしい。立体化傾向? クリスマス・チョコ・カレンダー12月1日からクリスマスまで24日間、毎日、残りの日数を楽しみに数えながら1個ずつ小窓を開け、チョコレートを食べていくアドベント・カレンダー(クリスマス用チョコレートカレンダー)。いわゆる「もう〜、い〜くつ寝ると〜、お正月〜」のヨーロッパ版ですね。11月中旬からスーパーマーケットの入り口は、大々的にそのスペースになり、まさにチョコづくしの世界になる。そんななか、今年の新たな傾向は、立体的カレンダーが増えたこと。チョコレート業界も、毎年楽しいアイデアを生み出している。来年はどうなるのだろう? と、これは少し嬉しい「加熱&白熱」傾向でもあるキンダー&リンツの アドベント・カレンダー も立体化!©️PatricAgnellet Chocolatier/Pâtissier食べるのが惜しくなるアドベント・カレンダーも!
2021年12月06日ディズニー映画『白雪姫』で、小人たちが歌う『ハイ・ホー』は、きっと多くの人が一度は耳にしたことがあるでしょう。しばひろ(@hirokokokoron)さんのパートナーであり、フランス人のガイックさんもまた、『ハイ・ホー』を知っており、ある日、フランス語訳で歌っていました。しばひろさんが『ハイ・ホー』の日本語訳を教えると、ガイックさんは衝撃を受けてしまったといいます…!ハイホーの日本語歌詞 #漫画が読めるハッシュタグ pic.twitter.com/RuP6CavrkE — 何食わぬ顔のヒロコ(しばひろ) (@hirokokokoron) November 22, 2021 多くの日本人が、『ハイ・ホー』の歌詞を『仕事が好き』で覚えているはず。しかし、フランス語版や英語版では『仕事から帰る』や『仕事場から家に向かう』という歌詞だといいます。日本では『仕事が好き』と訳されることを知ったガイックさんは、こうつぶやいたとのこと…。さすが、日本人。世界では、勤勉で仕事に対して実直なイメージを持たれている日本人。多くの日本人が実際に仕事を好きかどうかは、迷うところでしょう…。「労働観の違いですかね」「あの歌詞は、おかしいと思ってた」「世界共通の歌詞では、なかったのか」と、日本人からも反響を呼んだ『ハイ・ホー』の歌詞の違い。日本語訳にも、『お国柄』が反映されていて、調べてみると面白い発見がありそうですね![文・構成/grape編集部]
2021年11月24日ここ数年、人気が高まっている「大人の塗り絵」。毎年10万部が世界で販売されている。その発端は、2012年にフランスのアシェット社が作った「アンチ・ストレス。塗り絵100」。日本でも「大人の塗り絵」は、ブームを超えて一ジャンルとして定着している。ただ謳われている目的は少し違って、日本は「脳の活性化」がメイン。そのため高齢者に愛好者が多い。一方、フランスは、もっぱら「アンチ・ストレス」や「リラクゼーション」のため。仕事&子育てに忙しい30〜40代の女性達に人気がある。今回はその「大人の塗り絵」の効果、そして、それとはまったく異なる「子どもにとっての塗り絵の効能」についてリポートします。第34回大人と子どもでは違う「塗り絵」の効能「大人の塗り絵」効果2012年にフランスで発刊されたアシェット社の「アンチ・ストレス塗り絵100」。「フィガロ」や「エル」など多くの女性誌で取り上げられたこともあり、まずはパリで働く女性達の間で話題となり、徐々に全国に浸透。その後、エルメスが高級「大人の塗り絵」本を発売。スカーフのモチーフを自分の好みで色づけできる楽しみが脚光を浴びたこともあり、世界中に「大人の塗り絵」人気が広まっていった。大人が塗り絵をすると、どんな効果があるか。フランスで言われているのは1)「リラクゼーション」集中し、創造神経を刺激することで、人はリラックスできる。2)「オン&オフ効果=瞑想と同じ効果」その間だけ日常から別の小さな世界にワープでき、雑多なことから気持ちを離れさせられたり、遠ざかること、また後ろに一歩、退き、直面している問題や悩みを客観視することができる。これらは瞑想と同じ効果。「瞑想は慣れや訓練が必要で少し難しい」と言う人が多いが、塗り絵に訓練は不要。その気軽さが最大の利点。3)「集中力&忍耐力のアップ」短時間、別の作業に没頭することで、その後の仕事に集中しやすくなる。また忍耐力&持続性も増す。本の購入も不要。無料ダウンロードで、すぐに試せる特にアンチ・ストレスに効果ありと人気なのが「マンダラ」模様。なぜマンダラがいいのか、その理由は「対称性やリズム、透明性が心地よさを与え、精神的な絡まりをゆっくりと解いていってくれる」など、様々。無料でダウンロードできるサイトも多いので、「本当かな?」と気軽に試してみてもいいかもしれない。子どもへの「塗り絵」の効能スーパーにも幼児用(2〜6歳)の塗り絵が数多く売られている。高速道路のサービスエリアにも多く、バカンス中、車の中やキャンプ場で塗り絵をさせる親が多い。「子どもの塗り絵」は、楽しみながら、遊び感覚で、様々なことを身につけさせてくれるとフランスでは強く推奨されている。1)身体機能トレーニング肩・腕・手首・指先までの各部位の繋がりが、幼児はまだバラバラ。滑らかに連動させることができない。それを「運動」ではなく卓上で、クレヨンやペンを使い、疲れや迅速さを問われることなく、遊びながら訓練できる。2)目と手の連動トレーニング手の動きのために目を使う。これも幼児には不慣れなこと。その連動性に塗り絵で慣れていくことができる。3)指の細かな運動技能クレヨンやペンを「震えなしに強く握る」ことや「常に同じ強さで扱える」ことを字を書く前にできるようになっておくと、文字学習が始まる際、書く作業は自然にでき、それに神経を使わずに済む。字を覚えることだけに集中できるので、スムーズに文字学習を進めることができる。4)自信1枚の絵を「仕上げる」ことで達成感を得られたり、自分への自信が宿る。5)「ルールを守る」大切さを身につけられるはみ出さないことなどに気を配ることにより、ルールを守り、勝手さ&わがままさを減少できる。また字をノートの線に沿って書けるようにもなりやすい。6)創造性&意欲を育む自分の好きなものを描くことよりも先に塗り絵をさせることで、「自分だったら何を描きたいか」という想像&創造が生じ、「意欲」につながる。7)集中力8)知識色の種類を自然と知る。また絵により、例えば動物や花、車の種類。山、海、太陽、雨など自然について。中世の城や教会など歴史的なことにも目で触れることにより知識を増やし、世界を広げていける。9)計画性どこから塗っていこう。どの色を使っていこう。空の色と家の壁の色を同じにしないようにしよう、など計画性を育める。9)テレビやタブレットなどから離れる時間をつくれる10)お金がかからないクレヨンや色えんぴつ、ペンさえあればOK。塗り絵の本がなくても、無料ダウンロードのサイトは多種多様。プリンターがない場合は、サイトの絵を大人が写し描いてあげればいい。小学校での「塗り絵」活用法フランスの小学校での授業は、個別方式。ワークブックやプリントに各自、取り組み、できると先生に見せに行き、理解できていない部分を確認。できるようになるまでやり直し続ける……という方法が多く、そのため、授業内の学習速度は個人によりバラバラ。早く終わった子は時間を持て余すことも多い。そのために教室には読書やパズルをできる多目的スペースも設けられていて、静かに一人で遊べば着席していなくてもいいようになっている。なかでも子ども達が好きなのが「塗り絵ファイル」。塗り絵のプリントがファイルされていて、好きなものを選んで自分の席や、多目的スペース・デスクで塗り絵で余った時間を過ごす子どもが多い。その塗り絵プリントには、文字や言葉、算数を覚えさせるものも多く「結局、勉強を早く終えられる子は、遊びでも学習能力を伸ばしていけるのだな」とも感心させられる。このように削ると色が出てくるようなタイプもあって、大人にも子どもにも人気。また子どもには、寝る前に塗った1枚を壁や天井に貼ると、それが真っ暗な中で光るものもあり、就寝前の精神安定に愛用している親もいる。いかがでしたか?「たかが塗り絵」的に思っていた私は、子どもの塗り絵に外遊びと同じくらい身体の機能発達効果までがあるとは知らず、ちょっと驚きでした。また、子どもが塗り絵をしている間、親も大人用の塗り絵をすれば、子どもも「一緒の時間を楽しんでいる」共有感のようなものを得られ、ますます精神的に安らげるかも?お天気の悪い日など、塗り絵ブックがなくても、子ども用と大人用、1枚ずつダウンロードして一緒に塗り絵を楽しんでみても「芸術の秋」風でいいかもしれませんね
2021年11月22日ワインというと、まだまだ「ちょっと贅沢」「おしゃれ」「レストランや特別な日に飲むもの」というイメージもあるかもしれませんが、日本のキッチンにある日本酒と同様、フランス人も調理にワインをよく使います。今回は安いワインや飲み残しワイン、口に合わなかったはずれワインなども無駄にすることなく楽しめる、フランス人達の普段使い&子育てで忙しい時でも作れる簡単レシピを紹介します。第33回残ったワインも捨てないで! 簡単レシピで素敵な一品に!©️vins Mathilde et Florian Beck hartwegボジョレー・ヌーヴォーだけではない「新酒」。「できたてワイン」を味わうのが11月今年のボジョレー・ヌーヴォー「解禁日」は11月18日。商業的にボジョレーのヌーヴォー(新酒)が大成功。世界的にその名が広まっただけで、ボージョレ―地方以外の、ブルゴーニュなど他の地域の新酒の多くも11月に解禁、発売となる(製法の違いから「ヌーヴォー」ではなく「プリムール」と呼ぶものもある)。新酒を製造できる地域も、そして赤・白・ロゼも限定されていて、ボジョレーでは赤の新酒のみ製造可能。そのため、日本では「ヌーヴォーというと赤」というイメージが強いけれど、たとえばブルゴーニュでは白、南仏ではロゼの新酒が多かったりもする。いわゆる「初モノ」。それを「今年の葡萄の出来は、どうだったかな?」と口にし、その年のワインが将来「当たり年」になるかを占ったり見極めたり。新酒の味が気に入ると、「この年のボトルは安いうちに買っておいて、家のカーブで何年か寝かせよう!」と地域と年を記憶。翌年以降に発売されるワイン購入の目安にする人もいる。ただし、ボジョレーをはじめとする「ヌーヴォー」と呼ばれる新酒自体は、熟成には不向き。1カ月ほどで風味が落ちてしまうので、「毎年、11月だけ楽しめるワイン」「この時期しか味わえないもの」。「旬の果物を逃さずに食べる」と同じような気軽さで飲まれている。時差のため、本国フランスよりも8時間早く解禁となることもあって、日本でも人気のボジョレー・ヌーヴォー。今年も多くの人に飲んでもらえるでしょうか?安いワインやはずれワイン、残りワインを使うフランス庶民レシピブッフ・ブルギニヨン(牛肉の赤ワイン煮)やコッコ・オ・ヴァン(鶏の赤ワイン煮込み)なども、フランスでは日本の「肉じゃが」感覚。気軽な家庭料理だけれど、私達外国人にとっては、ちゃんとしたフレンチ。不慣れで面倒、ハードルも高いですよね。そこで今回はもっと簡単に「ワインが余った」「買ってみたけれど、口に合わなかった」という時にも、無駄にしなくてすむ、子育てや仕事で忙しい時でも楽しめる、簡単レシピを紹介します1)バナナ・オ・ヴァン輪切りにしたバナナをコップに入れ、グラニュー糖をふりかけ、ワインを注ぎ、2〜3時間置く(常温でも冷蔵でも)。イチゴで作る人も多く、季節によっては桃やアンズ、サクランボウなどでも。また熟れすぎたり傷みかけた果物、安かったり庭でとれた時期に冷凍保存しておいた果物でも。2)ホットワインフランスではスキー場の定番&冬だけ登場するドリンク。ワインにオレンジ、砂糖、シナモン、丁子(ちょうじ。クローブのこと)、スターアニス、ナツメグなどを加え、弱火で20分ほど煮る。その土地で収穫できる気軽なワインで作るため、場所により白ワインのこともある。3)梨&マスカルポーネ大人の会食で好評なデザート。数日前から作っておけるのも重宝。縦に2つ切りにした洋梨を白ワインで弱火で煮て(串を通せる柔らかさまで。好みでシナモンや丁子、アニスなどスパイスも入れる)、そのまま(鍋ごとでも容器に移し替えても)冷蔵庫で冷やす。梨をワインから取り出し、種&種の周りをくりぬき、皿に盛り、そこにマスカルポーネを載せ、好みでシナモン。全体にグラニュー糖を軽くふりかける。日本の梨でもいいのかもしれない。梨の風味がうつったワインを好む人も多いので、冷やしておいて、それもワイングラスに注いで添えれば、大人のデザート感が高まる。甘党の人や果物自体に甘みが少ない場合は、煮込む時にも砂糖を加えても。4)白ワインケーキしっとり&フワフワ。子どもにも喜ばれるケーキ。泡立ても不要。材料をすべて混ぜて焼くだけ。グラニュー糖250g 小麦粉200g 卵4個 ベーキングパウダー10g バニラ少々を混ぜそこにサラダオイル200ccを加え混ぜ、さらに白ワイン200ccも加えて混ぜる型(この分量は21cm型)にバターを塗るか、クッキングシートを敷き、生地を流し込み180℃で約1時間(オーブンによる。バターではなくオイル&ワインで水分が多いため焼き時間は長くかかる。表面が焦げすぎないように30分以降はアルミホイルを上に被せても)。ナイフを刺して生地がついてこなければでき上がり。できたての温かい状態でも、冷ました常温状態でも、また冷蔵庫で冷やしても、それぞれ違う風味を楽しめる。赤やロゼで作る人もいるが、確実に子どもから大人まで喜ばれるのは白。5)卵料理ワインは卵との相性も良く、赤ワインでポーチドエッグを煮る「ウフ・アン・ムーレット」は、レストランのメニューにもあるブルゴーニュの伝統料理。玉ねぎとベーコンも加えて煮立てた赤ワインに卵を落とし、目玉焼きにしても、夕食の一品や夜食になる。玉ねぎやベーコンも不要。最後に水で蒸し焼きにするところを、水の代わりにワインを注ぐだけというフランス人も多い。日本の半熟卵の醤油漬けと同様、赤ワインに1日漬け置きしても、色がついてサラダの彩りになる。6)硬いパンにワインを浸してグラタンのベースに硬くなってしまったフランスパンにワインを染み込ませ、その上に玉ねぎやトマト、ナス、じゃが芋やカボチャ、ズッキーニ、キノコ類など、好みの野菜をのせ、チーズものせてオーブンで焼けば、ビザやキッシュの生地代わりになる。また、それを何層にもして、ラザニアのようにする人もいる。風味が落ちたり、乾燥してしまった食パンを使ってもいいかもしれない。7)イチジク&フォアグラ最後に手軽とは言えないレシピも1つだけ。フォアグラが苦手な人でも「おいしい!」と食べられる、フランスではクリスマス向けのレシピ。イチジクを一晩、甘口の白ワインに浸して常温で置き、中の果肉を取り除き、広げ、そこにフォアグラを詰める。ラップで包み最低6時間以上、冷蔵。1つずつ、しっかりラップして冷凍すれば長期保存が可能なので、イチジクの季節に作り、クリスマス当日、朝から自然解凍。ディナーの前菜になるので、大忙しのクリスマスには重宝。©️vins Mathilde et Florian Beck hartweg
2021年11月06日本来、ハロウィーンはアイルランドやイギリスなどケルト人のお祭り。それがアメリカなどプロテスタント信者が多い国に広まったものなので、カトリックが主流のフランスでは無縁の行事。でも今では日本と同様、すっかり浸透。今回は、フランスでのハロウィーンの楽しみ方をリポート!第32回カトリック国のフランスでもハロウィーンは人気!今年のハロウィーンは、10月31日の夜フランスのハロウィーンと日本との違いは、楽しむのは子ども達のみという点。Toussaint(トゥッサン。キリスト教の祝日。年ごとに日はズレ、今年は11月1日)の前日の夜、子ども達は魔女やお化けなどに仮装。ボンボン(キャンディ)を貰うために近所を練り歩く。子どもだけで夜道を歩けるのは、毎年、この日だけ。小さい子には兄や姉、いとこなど年長の子が親に依頼されて同行することが多く、そのため年齢バリエーションに富んだグループが続々と玄関をノックしにやってくる。治安の良い小村でさえ、普段は昼間でも子ども達は親同伴での行動がほとんど。(友達の家に遊びに行くのも、親が送り迎えすることが一般的)塾もないので、夕方、暗くなってから外を歩くことは皆無。そんなフランスっ子達にとって、ハロウィーンは「1年で唯一、子どもだけで夜道を歩ける超特別な日!」その「非日常感」だけでもドキドキ。しかも仮装や化粧もし、さらにはボンボンもたくさん貰えて、ワクワク感たっぷりの楽しい行事だ。それぞれ、貰ったボンボンをたくさん入れられるカゴや袋を手にしてやってくる。「諸聖人の日Toussaint(トゥッサン)」は、先祖を供養するためにお墓参りをする、日本のお盆のような祝日。墓地にはたくさんの菊の花が供えられる。そしてハロウィーンはその前日の夜。「翌日の学校への登校に悪影響しないから」というよりは「祝日の朝くらいはたっぷり寝坊をしたい。そのためには子ども達にも寝ていて欲しいから、前の晩に夜遊びさせちゃおう!」という親の都合による設定。フランス人は仮装が大好き2月のマルディ・グラというカトリックの祭り(いわゆるカーニバル)では、中世の時代から貧しい人は王様に、男性は女性に仮装。そんな古くからの習慣もあり、もともとフランス人は仮装が大好き。そのため、いつもならアメリカン・ブームには批判的でノリの悪いフランスが、珍しくハロウィーンは歓迎。あっという間に浸透した。10月になると、どのスーパーでも仮装グッズが売られる。ただ、あくまでも子ども用。大人はハローウィンに仮装して祝ったりはしない。でも内心では仮装したいと思っているフランス人も多いらしく、渋谷のハロウィーンは「大人も楽しめるんだぁ」「この時期に日本に行ってみたい」とフランスでも有名。コロナ前はよくテレビのニュースでも取り上げられていた。子どもから大人まで大好物。ボンボン。ハロウィーン用のボンボンをうっかり買い忘れると、その夜、ドアをノックされても居留守を使わなければいけないことになるので要注意。子ども達の襲撃から逃れるために慌てて外出したり、息を潜めて奥の部屋に隠れて過ごすフランス人もいたりする。多めに購入し、こうしてカゴに入れて待機する。フランスでは1秒間に6.8kgものボンボンが食べられているという。年間1人あたりの消費量は3.3kg。それでもヨーロッパでは10位。1位のスエーデンでは1人が1年に7.7kgものボンボンを食べるという(2位デンマーク。3位ドイツ&フィンランド。5位ノルウエー。6位イギリス。7位ベルギー。8位オーストリア。9位スイス。データObisco)。日本の消費量はこれらに比べてどのくらいなのだろう?(検索したけれど見つからなかった)日本のような口の中で長い間、溶かしていく飴よりも、グミやヌガーのように軟らかく、噛むタイプのものが多い。また一口サイズのチョコも「ボンボン」と呼ぶので「キャンディ」よりも広義。「糖菓」すべてがボンボンとよばれる。ボンボンが入っているハロウィーン用パッケージ。窓辺や玄関にも飾れ、翌年以降も使えるので重宝。ハロウイーン時期の窓辺ジェラニウムなど夏の窓辺を彩った花は枯れ、12月のクリスマス用デコまでの間、色合い的にも寂しい窓際を補ってくれるのがハロウィーン! と、近年は高齢者達も楽しんで飾るようになっている。80歳のおばあちゃん(一人暮らし)の家の玄関脇。西洋カボチャの魅力栽培も簡単。水やりは最初の頃だけで手間要らず。ベランダでのプランターでも栽培可能。西洋カボチャが売られていたら1個購入。食べる時、その種を乾燥させて保存。来春蒔けば、来年の今頃には窓辺にオレンジのカボチャが並び、明るい色合いの秋を楽しめるかも?ハローウィンのイラストにも描かれるオレンジ色のカボチャ。日本のカボチャとの一番の違いは「硬さ」。水っぽいので、中をくり抜いて目や口も型取り、キャンドルにするのも簡単。10月末になると村のあちこちの家の窓にはカボチャ・キャンドルが灯る。味は日本のカボチャとはまったく違い、煮物などには不向き。スープにしたり、チーズとの相性はバッチリなのでグラタン向き。フランスではアメリカやイギリス、日本のようにパイやプリンなどデザートにすることは少なく(最近は徐々に伝わり始めてもいる)、もっぱら主食用。水分が多く繊維が豊富なので、大量に食べるほどデトックスになり、クリスマスや大晦日などご馳走続きの12月前の胃休め&体重調整にも重宝。うちで作る簡単なレシピを書きますねピュレ(マッシュポテトのカボチャ版)&スープ1)皮やワタ、種を取り除き、適当な大きさに乱切り。2)オリーブ油で炒める。3)ブレンダーやミキサーでマッシュすればピュレの出来上がり。4)その後、ブイヨンいりの水を好みの量、加えて再度温めればスープに。5)ピュレもスープも、好みで塩胡椒、タイムやローズマリーなどのハーブ、クミンやカレー風味のスパイスを加えると子どもにも喜ばれる。グラタン乱切りや角切りにしたらグラタン皿に並べ(好みでその前にオリーブ油で炒める)、上からチーズや好みでナッツ類(ひまわりの種、クルミなど)をかけ、最後にオリーブ油を回しかけ、オーブンで焼く。※グラタンというと日本ではベシャメル仕立てが多いけれど、フランスではチーズのみの方が主流。ライトでヘルシー。何より簡単でオススメ。ファルシー(詰め料理)くり抜いた中に、くり抜いた果肉と他の野菜や肉、キノコ類、米など好きな具を詰め、チーズも混ぜ、オリーブ油を回しかけ、カボチャの蓋をしてオーブンで低温(100〜150度ほど)で長時間(1時間ほど)焼く。我が家では酵素玄米&チーズを詰めてデトックス料理に。お腹いっぱいになるのに翌日には胃腸がスッキリ
2021年10月22日9月から新年度がスタート。学校給食も始まった。フランスはワクチンの2回目接種終了率81.2%(9月15日時点)。外食もワクチン証明やPCR検査72時間以内の陰性証明があればOK。新規感染者数は、毎日1万人以上。そんななか、まだワクチン接種をしていない小学生達が、どんな風に給食を食べているのかをリポートします。第30回コロナ禍の給食、フランスの今新たな給食ルール©️education.gouv.fr私が勤務している村の小学校では、以前は50〜60名が全員一緒に給食をとっていた。それがコロナ対策で、各テーブル最大6名まで。テーブルごとの距離も置くことになり、全員一緒はスペース的に無理。第1グループと第2グループに時間を分けられた。ただし、フランスの小学校では「昼食は前菜からデザートまで、最低45分をかけて食べさせるように」という決まりもあり、コロナ禍といえどもそれは継続。そのため第1グループは11時45分から12時30分まで。第2グループは12時30分から13時15分までとなり、第2グループの子ども達は、かなり空腹を覚えながら校庭で遊んで待っている。校庭もクラスごとにテリトリー分け村の小学校は3クラスのみ。1つのクラスが給食を食べている間に、残る2クラスは校庭で遊びながら待機。その2クラスも領域を区分。1クラスは屋根もある場所で(写真下)、もう1クラスはサッカーやバスケットができるが、雨の日は逃げ場がない場所なので屋内で読書や工作をして過ごす(写真上)。その校庭での外遊びも、以前とは違いクラスごとに遊ぶ場所を決め、ボールなど遊具も他のクラスの子が触れてはいけないルール。これは感染予防というより、仮に感染者が出た場合そのクラスだけを閉鎖すればいいように、というための決まりだ。陽性者が1人出た場合は即日、学級閉鎖。そのクラスの子どもは全員すぐにテストを受け、7日目に再度受ける。そして1度でも陽性の場合は10日間の隔離。2回のテストとも陰性であれば証明書持参で登校できるが、更に7日間、外遊びの際もマスクは着用(通常の着用義務は屋内のみ)。これが保健省からの通達。1テーブルにつき6人まで。席替えも禁止。給食中もテーブルはクラスごとで、クラスを混ぜることは禁止。(これも学級閉鎖だけで済ませ、学校閉鎖にはしないための対策)席も毎日、同じ場所。席替えは許されない。以前は、故意に学年を混ぜ、高学年の子が低学年の子のステーキを切ってあげたり、コップに水を注ぐなど面倒をみる、給食はそんな教育の場でもあった。マスク・ルールマスクについては、小学1年生(6歳)から義務。校庭ではつけなくてもよく、食堂への移動中のみ着用。授業中は着用が基本だが、フランスの小学校は低学年でも授業1コマが1時間半前後と長い。長時間の着用は息苦しく集中力も損なわれると考え、着用を免除している教師も多い。忘れてきた子や落として汚してしまった子には、随時、使い捨てマスクを渡し着用させる。叱ることは皆無。ただでさえストレスの多いコロナ禍。子どもにこれ以上ストレスを与えたくないと考えてか、それとも本来マスク嫌いなフランス人達だからだろうか? 叱らない理由は、訊いたことはない(あえて訊く勇気もない)ので、正確にはわからない。「黙食」は、子供はもちろん大人も無理。写真からもわかるように、コロナ禍でも同じテーブルで賑やかに食べているし、生徒間の距離もかなり近い。アクリル板の使用など、どの学校でも皆無。レストランやバーですら滅多に見ることはない。費用がかかるし、衛生管理が大変だからだろう。もし使用しようとしても、掃除スタッフが猛反対。そのための賃金値上げを要求するか、ストライキに及ぶ可能性もある。「黙食」も明らかに無理。その発想すらないらしく、国から指導されたこともない。騒ぎ過ぎれば注意されるが、それはコロナ以前も同じ。子ども達への給仕の合い間を縫って食べている私達スタッフですら、スタッフ同士で喋り放題。もし「黙って食べなさい」と言われたら、それへの不満や愚痴の飛沫で溢れることは間違いない。ロックダウンの段階的緩和の際も、会食は6人までなど人数制限はされたが「できるだけ喋らず、静かに食べるように」などと言われることはなかった。そもそも会食は「喋ること」が目的。「黙って食べれば、それは会食ではないでしょう」と一笑されてしまうだろう。とはいえ、毎日給食で子ども達からの元気な飛沫を浴びながら働いていると「これでも感染しなかったら、コロナ(やデルタ株など異変種)の感染原因っていったい何なのだろう?」と思ってしまう。80%以上がワクチン接種を終了しているフランスだが、12歳未満つまり小学生達は全員未接種。また、その親にも断固としてワクチン接種を拒否し続けている人はいるので、学校から親、親から学校への感染もあり得る。新年度が始まって2週間半の9月15日時点。この学校では、子どもにも親にも陽性者は出ていないが、さて、どうなることやら。こんな喋り放題の給食でも感染しなかったか否かは、また後日、報告します。ロックダウン緩和時、会食は「6人まで」にした理由ここからは余談です。ロックダウンの段階的な緩和時、フランスでは会食の人数制限は、まずは「1テーブル6人まで」だった。ではなぜ6人か?それは外食の主流は「家族」。家族の基本は「両親&子ども4人」と考えるからなのだそう。4人の子どもがいる家族が多いわけではない。(1世帯あたりの子どもの数は、1人45%・2人38%・3人13%・4人以上4%。2018年Insee)ただ「外食は主に家族との団欒のため」と考えるので「一応、子どもが4人いる家族までを考慮した人数制限にしなければいけない」となったらしい。また、子どもが2人の家庭でも、その子ども達が成人していれば、家族での会食にはパートナーも同伴することが一般的。両親+2カップルで6人になる。子どもが1人の場合でも、パートナーと孫2人のパターンは多いので、6人。要するに「会食は家族でが基本」「家族は6人を想定」。そこから人数制限の最小単位は6人になったという。(Gouv.Fr2021)さらに余談で、和食器は5客ワンセットが基本だが、洋食器は6客。理由には諸説あるけれど、いずれにしろ、日本に住むフランス人の友人達や、日本に行って和食器の美しさに魅了され、土産に持ち帰ったフランス人達は、揃って「人を招いた時、使えなくて不便!」と嘆く。人を食事に招く際、フランスでは通常、カップル単位で招くことになる。つまり1組だけ招けば4客で済むので5客でも構わないが、2組招くと計6人。1客足りず、和食器セットは使えないことになる。「日本のお茶碗でご飯を。湯呑みで日本茶を出したいと思っても、私だけ別のもので食べたり飲んだりしたらテーブルは台無し。だから結局、出せないことが多いの」ロックダウン中に大好きな和食作りに励んだという友人もそう言い、棚に飾ってある日本出張で買ってきた茶碗や湯呑みを哀し気に見上げていた。コロナでビズ(挨拶のキス)をしなくなって1年半(親しい間柄では、もう我慢できず、し始めている)。でもスキンシップが大好きな子ども達は抱きついてくることをやめないし、大人もそれを拒まない。ソーシャルディタンスもなんのその!? こんな密着しまくりの毎日でも感染拡大しなかったら、なんだかそれも嬉しい結果に思えそう
2021年09月22日日本では、子どものいる夫婦の「離婚」というと即「親権争い」が始まるイメージが強い。でも、それは「日本ならでは」のこと。先進首脳国・G7(アメリカ合衆国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本)の中で、離婚後、親権を夫婦のどちらかに決めるのは日本のみ。G20でも「単独親権」なのは、インド、トルコ、サウジアラビア、日本のみだ。では「単独親権」の何が問題なのか?どう「共同親権」と違うのか?そもそも「親権」とは何なのか?日本とフランスの違いという点から観てみましょう。第29回「親権」は「父母に与えられる特権」ではなく「父母に与えられる職務」まず「親権」とは何か?フランスの民法には「子の利益を究極の目的とする権利と義務」と記されている。それは日本の民法でも同様。「親権者は子の利益のために、子の監護および教育をする権利を有し義務を負う」とある。具体的に言えば、両国ともが例に挙げているのは、「親権者が、成人するまで子の教育を保障する義務」「未成年の子が生じさせた損害については、親権を持つ親が(フランスの場合は父母が連帯して)、監督義務を怠ったとして責任を負う義務」「未成年の子の借金については、契約の取り消し手続きを代行できる権利を親権者は持つ。それは言い換えれば“手続きをしなければいけない“義務でもある」「未成年の子の不正な方法による借金の場合は、親権者に返済義務が生じる」つまり「親権=親の権利」と呼びつつ、実際には義務項目の方が多い。そうなると「どうして争ってまで親権を欲しがるのだろう?」とも思えてくるが、そこに絡んでくるのが、日本の「親権」と「養育権」との奇妙な関係性だ。フランスでは中学&;高校の成績表は生徒に渡さず親に郵送。離婚家庭の場合は父親と母親用に2通、学校から発送される。「成人までの子どもの教育保護は離婚後も、親2人共への義務」とされる共同親権だからだ。もしかしたらココが日本の難点かも!? 「親権」=「養育権」「養育権」とは監護権。つまり「子どもを監督・育成・保護する権利&義務」そして日本は長い間「親権と養育権は一致させ、別々にするのは薦められない」と、裁判所や弁護士など法律関係が唱え続けてきた。しかも離婚後、養育権は親権よりも早く決まる。そのため養育権を得た親がそのまま親権を得るケースが大半。つまり、片方の親だけが親権も養育権も得、もう1人の親はなにもかもを失うことが一般的となっていて、それを恐れて多くの「親権争い」が起こるのかもしれない。でもそれは、子どもにとっては「自分を守ってくれる親」を失った上に「共に暮らせる親」も失い「完全な片親になってしまう」ことでもある。「親権」の「子の利益のため……」からズレてしまってはいないだろうか?「子どもの利益」への概念の違い両親の離婚後、終日は学校の近くに住む母親の家で、週末は父親の家で。バカンスは母親と父親と半々で過ごしているエレナ(9歳)。週末かバカンスを一緒に過ごす父親とは、スポーツやキャンプを楽しみ、母親には平日、学校の宿題を手伝ってもらい、バカンスは両親それぞれと海や山、遊園地に行っている。そもそも「子どもの利益」への考え方が日仏では大きく異なる。まずフランスでは「子どもの利益=子どもとそれぞれの親との関係の継続性」。そのため「親子の“切り離し“や“消去“は、決してあってはならない」とされている。一方、日本では「子どもの利益=子どもの生活状況の継続性」。そのため、戦後からの専業主婦主流・時代に「監護の継続性が可能」な母親に優先的に養育権が与えられ、「親権と養育権は一致させた方がいい」と親権も母親が得る形が定着した。「親権」の歴史(上)平日を過ごすママの家にあるエレナの部屋。宿題をするための勉強スペースがある。(下)一方、週末用のパパの家にある部屋は遊びの空間。中学からは週末も宿題があるので、来年は模様替えをする予定。DV対策日本のメディアなどでは「共同親権の場合、DV(家庭内暴力)があっても大丈夫なのだろうか?」という声もよく聴く。フランスについていえば、DVに限らず、親の精神障害、アルコール中毒など「子の利益」を尊重できないケースでは、裁判官により「単独親権」行使もされている。ただし、その場合も子どもから親への訪問・宿泊の権利を完全に奪うものではなく、心理学者同席による「面会センター」での面会などは可能。「子どもの安全は守りつつ、子どもの利益を守る」を念頭に、親子の「切り離し」や「消去」を回避し続ける。そして、ここでも注目すべきはDV対処への日仏の基本的な違い。日本は「被害者が逃げる」が基本。フランスは「加害者を退去させる」が基本。もちろん被害者の逃げ場であるシェルター施設も全国各地に設置されている。なによりの違いは、フランスにある「DV対策制度」が日本にはまだない点だ。国際結婚ではなくても知っておくべき『ハーグ条約』大使館や領事館に常備されている冊子。円満婚姻中や日本人同士のカップルであっても、うっかり、渡航証明書(もう片方の親の承諾書)を持たずに片親だけで子どもを連れて日本に帰国したり他国に旅行したりすると、空港で検閲&監理。最悪の場合、逮捕されてしまうこともある。「子の利益」に関して「共同親権と単独親権の違い」の他にもう1つ、日本ではあまり知られていない、でも実は島国である日本の国民こそ知っておきべき国際条約がある。それが「ハーグ条約」。「世界的に増加した国際結婚&離婚での片方の親による一方的な連れ去りから、子の幸せや権利を守るための条約」で、1980年オランダのハーグで締結。わかりやすく言えば「子どもを連れて国境を越える際のルール」。つまり、国際結婚や離婚問題に限らず、日本から片親だけで子どもを連れて海外旅行をする際にも心得ておかなければいけない条約。2020年時点では101カ国が加盟。日本も2013年に条約にサインをした。しかし「日本人はこの条約を守らない!」との悪評も高く、日本人と結婚する外国人やその家族達には「なにかあればアラブやトルコ人と同様、子どもを勝手に日本に連れ帰るかもしれない」と恐れている人もいるという。それというのも日本国内に在住の国際カップルの場合には日本の法律が優先。ハーグ条約は有効性を失う。つまり日本やサウジアラビア、トルコの場合は単独親権のため、離婚により日本人に親権が決まった場合、外国人である親は日本では母国の「共同親権」を主張できず、「連れ去り」も訴えられない。©️Vincent Fichot東京オリンピックのメインスタジアム国立競技場前で「子どもの連れ去り問題」で21日間のハンガーストライキを行ったフランス男性・Vincent Fichot(ヴァンサン・フィショ)氏。フランスではなく日本在住だったため、妻が子どもを連れて出て行っても日本国内にいる限りは「連れ去り」にはならない(ハーグ条約は子どもの居住国以外に連れ出した時のみ対象となるため)。詳細はこちら「G7の一員である日本が、まさか単独親権の国とは」という世界の視線をどう受け止めるのか?日本が世界でも珍しい「単独親権の国」であることは、「なによりも子どもの利益を尊重したから」ではない。離婚も国際結婚も少なかった「かつての日本」では、政府も多くの国民も単独親権に疑問を抱く機会がなく、共同親権への興味すらも感じなかった。つまり単に昔からの継続。放置されてきただけに過ぎない。しかし、夫婦共働きで子育ても共有しあう男女が増えた近年。そして離婚も増え、国際結婚も珍しくない時代に、日本がサウジアラビアやトルコと共に「単独親権の国」であり続ければ、苦悩する男女や子どもは確実に増え続ける。なにより「親と子どもが望んでも、共同親権にはできない」ことは大問題。親権の「子どもの利益を守る」理念からは明らかに逸れている。またDV対策同様、よくTVで「子どもの学校選びなどについても、共同親権の場合は離婚後も話し合って決めたり、相手の了承が必須。その辺が面倒&厄介」などと唱えられていたりするが、それこそ親サイドの勝手な発想。離婚で夫婦ではなくなっても、子どもにとっての親であることは変わらず、子どものための話し合いや調整をし続けるのは、親になった者の義務。面倒&厄介&苦痛であろうと耐えなければいけない職務。その点で「単独親権は“捨て子“を奨励するようなもの」と考える多くの国からは「まさかG7の一員でもある日本が単独親権とは!」と非常に驚かれている。前記した年表にあるように、2018年に「共同親権制度導入の検討を発表」したはずなのに、また今年の3月にも「導入の検討を開始」に戻っている政府。「迅速な対応や決断力」はここでも求められている。
2021年09月06日発達障害という用語は1963年にアメリカ合衆国(以下U.S.A.)でつくられ、日本でよく耳にするようになったのは2005年に「発達障害者支援法」が制定されてからのこと。2012年、U.S.A.では9%、日本では6.5%のADHD(発達障害の1種。注意欠陥&多動症)が申告されていたが、フランスでは僅か0.5%(Psychology Today)。フランスにADHDの児童が少なかったのではなく、単に認識度が低かっただけのこと。発達障害にも様々な種類や症状がありますが、今回は主にADHDについて、フランス事情のごく一部分をリポートします。第28回効果あるかな? ADHDの子ども達が集中しやすいスポーツフランスでの認知が遅れた理由なぜフランスが「発達障害」への認知に遅れたか。それには大きな3つの要因がある。「皆それぞれ違って当たり前」の国よく「国産チーズだけでも365種以上」とフランス人は誇るが、厳密に365種あるということではなく、毎日違うチーズを食べられるほど数えきれないほど種類が多いという意味。そしてそれは「チーズと同様。人もそれぞれ違って当たり前」という形容にもよく使われる。世間一般のいわば“常識“がそうだと「うちの子は他の子と違う」「成長速度が遅い」と感じても、まず「基準なんてないのだから、それで当たり前なのかも」と親は思う。そして保母や教員、祖父母など親族や近所の人達にも「私達大人と同じで子どももバラバラ。それぞれ違って当たり前」と言われ、むしろ気にする親は「神経質」「子どもを型にハメようとしている」と非難される傾向も強かった。「最初から完璧なんてあり得ない」国新車を購入しても、完璧に整備され納車されるとは限らない。「乗りながら修理していけばいい。不備が見つかったら連絡ください」とディーラーが公然と言う国だ。これには私も移住当時、かなり驚かされた。子どもについても同様。初等教育で「記憶能力に欠けるかも?」「吃りや発音発声に問題があるかも?」「いつまでたっても鏡文字を書き続ける」など諸問題を教師が見つけると、授業時間内に抜け出しての通院を教育委員会から認められ、数年かけて専門家のもとで治療や訓練をする(この場合の費用は教師からの申請なので国費で賄われる)。つまり、同級生と同じ教育内容やスピードを必ずしも全員が強いられない。「個々に修正や調整をしながら大きくなっていくのが“成長“であり“教育“」という論理が基本にあるため、他と学習能力や速度が異なることを「発達上の障害」と捉えることへの違和感が、社会全般においても強すぎた。乳幼児時期から「集団検診」がない国日本では1歳児半や3歳児検診での発達障害の判明率が高いというが、フランスには子どもの集団検診制度がない(大人の場合は、職場により集団検診がある)。定期検診は小児科医や内科医、また更には歯科や婦人科などについては20歳まで無償で受けられる。しかし、それらはすべて個人が自分のかかりつけの医院に行くもの。集団検診ではないので親には他の子どもとの比較を健診時にする機会がない。「何か違う」とは感じながらも「何が違う」のかまでは分からず、グレーなまま見守るか、自己判断するしかなかった。これらが大きなネックとなり、日米から情報は入ってきていたものの、社会全体が聞き流し、見過ごしていた。その「無知」による悪影響も以前は強く、とりわけ今の70歳以上の舅&姑世代には「躾のせい」つまり「親のせい」と嫁や婿を咎める風潮もあり、育児ノイローゼに陥る親達も多かった。2019年発達障害(ADHDを含む全般)に国は予算3000億円2015年。ようやく国の保健機関が発達障害に注目。力を入れ始め、それまで0.5%しかいないとされていたADHDは3.5〜5.6%と調査結果を変え「やはり認知&認識されていなかっただけ。日米と同じレベルでADHDはフランスにもいた」ことが判明。そして病気として認知・認定されると、たちまち「精神ケアも大切だが、まず必須なのはお金!」とシビア&;迅速に動きだすのが、フランスならでは!2019年には発達障害児への予算3000億円を組み、今も日常上、さまざまな方策を試みている(education.gouv.fr。日本は令和3年時点で7億円弱/厚生労働省)。例えば……、1)初等教育(幼稚園&小学校)までは、必要な児童がいる場合は、クラス内に専門の補助教員を教育委員会から派遣。仮に1名のみであっても授業中、教室内で、その児童の速度や能力に則した個別指導を行う(「人はそれぞれ違って当たり前」の“常識“は子ども達にも浸透しているため、このことで他の子どもが劣等感を与えたりという差別やイジメは生じない)。2)そのための補助教員も各教育委員会が育成。3)上記のように専門家や専門医での治療&訓練は国費で推奨。平日の日中であるため親が仕事などで子どもの送り迎えができない場合は、申告すればタクシーも無償で手配可能。親や家庭の事情による子どもの治療不可は、可能な限り行政が防ぐ。4)それら個々への指導をしても治癒できない場合、子どもはどうしても学業の遅れから自己肯定感が低くなる。それは、いわゆる「発達障害の2次障害」であり、学年が上がるほど強まってしまう傾向が強いので、中学校からは専用クラスを全国の各公立校に設置。5)専門医やその専門医から処方される薬も国保&任意保険でカバー。6)3週間連続滞在による「温泉療法」も国保&任意保険でカバー(次で詳細を説明します)。ADHD向け「温泉療法」©️Chaîne Thermale du Soleil-Molitg-les-BainsADHDには「筋肉や関節が巧く噛み合って機能せず、そこから多動になったり、思うように身体が動かずイライラして集中できず不注意になっている場合も多々」であることから、整体の効果は大きいともいわれている。また最低3週間という長期療養の間、飲泉療法や食事療法により糖分や添加物の摂取改善もされ、それを同行する親も共に体験し学ぶため、帰宅後の食生活改善にもつながることが多い。フランスは「肥満」や「心臓病」「喫煙による呼吸器疾患」、「アトピーなどのアレルギー体質改善」や「不妊治療」などにも保健省が「テルマリズム(温泉療法)」を推奨。全国にある指定温泉地に連続3週間滞在して療養することが勧められている。費用は国保で65%、任意保険で35%が払い戻されるが、それには「発達障害」も適用。知的教育面だけではなく、精神面と身体面への治療にも有効ということで、全国に6箇所「発達障害治療」に適した温泉地を指定している。ただし最低3週間連続で同じ温泉地で療養しなければ補償は受けられないため、多くのファミリーが夏休みを利用。3週間、自然豊かな温泉地で共に過ごし親子の信頼関係を育むという精神面だけではなく、整体師の施術による「身体バランスの調整」や栄養士指導による「食生活の改善」、また飲泉による「身体の7割を占める水分の入れ替え&ミネラル浄化」などにより、効果を認める親子が多い。AHDH向きかもしれない? 遊びやスポーツここからは裏付けになる資料やデータはなく、単に「参考になるかもしれない」アイデアであることをご了承ください夏休みの間、アルプスのリゾート地で子ども向けスポーツクラブ(8〜18歳)のコーチをしている息子(20歳)が、去年は3名、今年も既に今のところ2名、計5名の親から「うちの子は多動症であることで悩んできたのだけれど、ここで初めてこんなに長時間集中している姿を見た!」と喜ばれた。5名中、2名はアーチェリーの最中に。1名はアスレチック。2名はクライミングの時に言われたという。パリ在住の10歳のルイのママは、それまであらゆることにトライ。「専門医には3年以上、毎週1回通っている。医師のアドバイスでヨガや瞑想をさせたり、日本人に柔道や習字も教わったりしてみた。静かにしないと落ちてしまう乗馬も試したけれど、数回後にはよそ見をはじめて“危険“と言われ諦めた」それが今回、1時間以上もの間、アーチェリーにずっと集中。驚いたという。「静かにさせようするのではなく、集中しないとできないから必然的に静かになる。その方向の方がいいのかも?」と息子は思い、クラブが終わってから試しにルイをスラックラインに誘ったところ、日が暮れるまで挑戦。さらに両親を驚かせた。スラックラインは一瞬でも集中力が切れると落ちてしまう「遊び」だ。「そういえばスキージャンプのチームにも、小さい頃は多動症だったっていう仲間が数名いた」スキージャンプはスタートしたらレールから外れられない。さらにはレールが終わる瞬間に踏み切って跳ぶのみ。選択の余地がない。「そこからは逃げられないし、集中しなければ落ちて怪我をする。言われなくても静かにせざるを得ない。そんな強烈な『制約』『リスク』を子ども自ら感じられるスポーツを選ぶのも一つの手かも?」というのが息子の見解だ。そこで運動教育学の大学講師でもあるスポーツクラブのチーフに「静かに集中せざるを得ない多動症の子ども向けかもしれないスポーツ」をいくつか挙げてもらった。アーチェリー「アーチェリー」には、子ども用スポーツクラブに参加した多動症の親達のほとんどが「これほど長時間、集中した我が子をみたことはない」と感嘆するという。バイアスロンやレーザーゲームなど射撃でもいいのかもしれない。ただアーチェリーの場合、腕力も使用。引いたポジションで息を止めるという、その静と動の連動が、とりわけいいらしい。アスレチックハーネスを使っての「空中系アスレチック」。安全は確保されながらも、子どもにとっては足元の不安定さから集中せざるを得なくなる遊び。クライミング「トップロープ・クライミング」は壁と向かい合うことで、大人にとっても「集中することで頭脳の疲労回復になるスポーツのひとつ」と言われている。ロープは安全を確保するだけではなく、多動症の子どもには「繋がれることによる制約訓練」も与えてくれる。そして「ただ、ひたすら上へ上へと頂点を目指して昇る」というシンプルさも「散漫さの軽減」に繋がるという。スラックライン平衡感覚や脚の筋肉を発達させるため、近年、さまざまな競技のトレーニングにも愛用されている「スラックライン」。子ども達も夢中になりやすい、集中力育成には最適な遊び。スケートボードオリンピックで人気が急増した「スケートボード」も、ちょっとでも気を抜くとバランスを失う「集中できる遊び」のひとつ。しかもどの国のスケートパークでも、ボーダー同士は互いにリスペクトし合い、それこそ「空気を読む」感じで各々スタートを決める。「協調性」でも悩むことが多い発達障害児の自然療法につながるかもしれない。最初は難しいので、このような初心者用スケートボードで慣れるのもいい。スキー・ジャンプフランスよりも日本の方が盛んな「スキー・ジャンプ」。あまり知られていないが、冬だけではなく夏も盛んでほぼ一年中、長野や東北、北海道では練習。幅広く選手を集めるために、他府県の子ども達に気軽に体験もさせてくれるクラブも多い。「感情の起伏を抑えられない」部分を補正できるスポーツとも言われている。キッズバイク補助輪つき自転車から自転車を覚えるのではなく、近年はペダルなしの「ストライダー(=キッズバイク)」から始める子どもがフランスでも増えている。バランス感覚や脚力をつけるのに良いとも言われているが、脚を動かし続けないといけないので、近所に住む多動症の子どもをもつ親はコレを活用。放り出してどこかに走っていってしまうこともあるけれど、補助輪つき自転車よりかなり長い時間、乗り続けるそう。習い事に限らず、例えば少し高さのある丸太の上や道端のガードレールや塀(へい)、体育館にある平均台などを歩かせるのもいい。余談だが、息子は多動症ではなかったものの勉強のスピードが遅く、よく休み時間まで教室に残って問題を解いていた。「頭の回転がゆっくりなのか、じっくり考えるタイプなのだろう」と私は楽観していたが、ある時、担任教師に「それは違う。集中力に欠けているからよ」と厳しい口調で指摘された。とはいえ、どうやったら集中力をつけられるのかがわからず放置していたところ、11歳でスキージャンプを始めると、途端に居残り勉強が不要になった。教師から指摘されながらも、内心どこかで「集中力と勉強速度の関係」を信じていなかった私はとても驚いたものだった。
2021年08月22日フランスに移住して良かったことのひとつに「歳をとることが怖くなくなった」がある。フランス女性の場合、若者よりも中高年の方が美しく、素敵に見えることが多いからだ。化粧の仕方や髪型も、身につける服やアクセサリーも、年齢が上なほど、しっくりと似合い、洗練した装いの人をよく見かける。そしてそれはファッションに限らず、暮らし方についても同様。春から夏にかけての窓辺の花の飾り方はその良い例で、思わず足を留めて見惚れるような窓辺の家には、大抵が高齢の女性が住んでいる。今回は、そのおばあちゃん達の腕前を「年の功っていうのも、いいものだなぁ」と眺め、楽しんでみてください第27回歳をとればとるほど巧くなる? 窓辺の花の飾り方窓辺から、住んでいる人の年齢や収入を予測できる?スイスやドイツなどヨーロッパには、地域により「窓辺やバルコニーに花を飾ること」が法令で義務づけれている国もあるが、フランスの場合はそれはない。コロナ・ワクチンですら、義務化した途端に反対デモ運動が全国各地で起こったほど、義務が嫌いな自由尊重の国民性だ。もし花を飾ることを義務にしたら、途端に歯向かい、飾らない人が増え、逆効果となるに違いない。その自由のなか、窓辺やベランダに花を飾るフランス人は54%(以下、データは2018年KANTAR)。そのうち40%を65歳以上が占め、50〜64歳は31%。35〜49歳は19%。35歳以下になると10%しか飾らないという。花を飾るか飾らないかの大きな要因は「余裕」。時間的、精神的、金銭的「余裕」による違いで、「子どもが中学生以上になってから飾りはじめた」という人も多く、そのため50歳以上の率が高くなるらしい。平均経費は約7800円。月収によるデータもあり、若くても月収40万円以上の世帯では46%が花を飾り、逆に月収20万円以下の世帯では50代であっても12%しか花を飾らない。ただし65歳以上の場合は「花を冬越しさせ、翌春に再び開花させる」技術を持っている女性も多い。つまり「経費ゼロでも見事な花を飾っている」ことも多いので、高齢者の家については経済的な裕福度を窓辺から予測するのは不可となる。一番人気はジェラニウム飾る花の一番人気は、ジェラニウム。2位のペチュニアに大差をつけ、毎年トップなのは、手入れの簡単さ、華やかさ、開花期間の長さ、そして「同じジェラニウムでも様々なバリエーションがあり、好みにより楽しめること」からだという。おばあちゃん達のアレンジ・センス何より私がいまだに上手くできないのが、ジェラニウムの花玉の位置。どう植えれば、このような良い塩梅での散らばらせ方をできるのだろう?色の混ぜ方、他の種類の草花の混ぜ方などアレンジの仕方が絶妙な窓辺も、大抵の場合、その作り手は高齢者だ。つまり花の飾り方のセンスは、経験年数で磨かれていくということ? 毎年やっていれば、私もいつかはこんな窓辺を演出できるようになるのだろうか。家の石垣を作る際にも、いくつか石をワザと棚のように前に突出させ、そこに植木鉢を置く家が多い。「花いっぱいの村&町」コンテスト個人に与えられる義務には猛反対。でも、国や行政に課す義務には文句を言わないのもフランス人の特徴の一つ。そこで「全国各地の村や街を、花を飾ることで美しい景観にしていこう!」というアイデアから1959年にスタートしたのが「花いっぱいの村&町」コンテストだ。ミシュランの星によるレストランの格付けのように、村や町にも1ツ花から4ツ花まで格付け表示をするようにしたため、各市町村は園芸予算や人員を確保。花による景観アップに励むようになり、フランス全土に美しい市町村が増えた。住民の幸福度や郷土愛もアップ。園芸業に従事する若者も増え、無名の小村にも観光客が訪れるなど、様々な相乗効果もあるという。競争心にはあまり煽られないフランスでも、これだけ効果が出るのだから、日本でも全国規模でやってみたら、地方活性に繋がるかもしれませんねパラソルのセンスがいいのは若手!?前のパラソルを捨てず、新しいものと2、3脚、組み合わせて使用。買い替えではなく、買い足しをする人も多い。花の飾り方の達人は高齢者に多い一方で、パラソルのセンスの良さで軍配が上がるのは圧倒的に60歳以下。花を冬越しさせるのと同様、60歳以上は物を長く使う。しかもパラソルは意外に頑丈。風雨にも強く壊れにくい。新しい形や色、様々なシステムのパラソルが売られるようになっているが、高齢者はなかなか買い換えないのがネックなのかもしれない。近年増えているのは、帆スタイル。一度張れば、パラソルのように開け閉め不要なこと。また小さい子どもがいても倒れる心配がなく安心。広範囲での日除けになることでも人気。道端の小川に座るかかしにもパラソルムッシュー達は「郵便受け」をアレンジ屋根の斜度まで、かなり真面目に設計図が描かれていたりもする。(右下)あとはこの空間に市販の郵便受けをハメれば完成。最後に余談で、玄関脇にある郵便受けの箱をアレンジ、手作りを楽しむムッシュー達の作品もお楽しみください。日本だったら、このためのキットが販売されそうですが、フランスにはそういう便利商品はなく、大抵は家の補修など、日曜大工に使った余り木や石材などを利用。あまりにも精巧で、すぐに投函口が見つからず、配達に手間取る郵便屋さんもいるという。投函口がどこにあるか、皆さんも探してみてください。山なので山小屋風が多いなか、こんなアレンジも。(左)ワインの産地の地域には、こんな郵便受けも多い。(右)古い家具に埋め込むアイデア。中はホウキや長靴など庭道具の収納にも使っているそう。
2021年08月06日読者の方からこんな質問をいただきました。「日本では『子どもが小さいうちは、ママ友は必要不可欠』なんて言われることもあります。でも問題も多く、私は面倒だし持たなければダメ?と内心で思っていますが、断ち切れずに宙ぶらりん。悩みの種になっています。最近では不要派と必須派に分かれてきつつもありますが、フランスではどうですか?」ということで、調べてみました第26回フレンチママは「ママ友」を作らない?子育て中の日本女性の82.8%には「ママ友」がいて、「新しいママ友を欲しい」と考えている女性も7割に及ぶという(2021年(株)Timers)。フランスでは? と調べてみたが見つけられず、そこでパリの女性誌3社の編集者たちに尋ねたところ、2人からは「フランスでは『ママ友』なるものを持つ人の割合が低いから、どこもデータを作ろうとはしないのでは?」という答え。もう1人には「子どもが小さい頃だけ必要だったり便利だったりする関係。それは、つまり活用し合ったり助け合ったりする『知り合い』に過ぎず、私達は『友』にはカウントしないかも」と言われた。それでも少し粘ってネットで探してみたら「私も子どもの母親達と友達にならなければいけない?」「幼稚園や小学校への送り迎えで、他のママ達と会う時間すら苦痛な私って非社交的? 異常?」といった内容のフォーラム記事をいくつか見つけた。(magicmaman,parents,lexpress)「ママ友」について否定的なものばかりですが、常に率直な分、辛辣なフランス女性達の意見を楽しんでみてくださいお迎え時間が16時30分ならば、16時29分に着き、16時32分には立ち去るフランスの初等教育は公立の幼稚園と小学校が併設されていることが大半で、幼稚園までは親の送迎が義務(スクールバス利用の場合もバスの昇降時に親同伴が義務)。小学生になっても親が車で送迎。駐車場での事故を防ぐため、校門まで付き添ったり、下校時もピックアップしに来たりする親が多い。親は教師の許可なしには敷地内に入れないため(誘拐やテロ防止)、下校時間になると、門の前にはポツリポツリと親が立ち始める。「ボンジュール」「サ ヴァ?(元気?)」「ウイ、サ ヴァ。エ トワ(えぇ、元気よ。あなたは?)」毎日お決まりの挨拶を交わすのだが、実はこれが「面倒だし苦痛」と感じているママ達も多く、それで送り迎え役にはパパがよく任命されている。「朝晩は秒刻みの戦争タイム。挨拶の11単語を交わすだけで目一杯。それすら面倒っていうのが本音」(ルーシー・28歳)「できるだけ会話したくないから、開門の1分前に着くようにして、2分後には立ち去るようにしている」(ナタリー・33歳)「善良そうで無難な笑みと声。この2つを準備するだけでも結構なエネルギー消耗。早く送り迎えの要らない中学生になって欲しい」(エロディ・36歳)「他のママとの交流」は自分に罪悪感を与えがち夕刻の迎えの校門前はパパが立っていることが多いのは、育児分担のためというよりも、挨拶が面倒&苦痛というママが派遣するから?「子どもが同年齢だと、つい子どもを見比べてしまうように、親の質や能力まで比べてしまう。そして優越感よりも劣等感や罪悪感を抱いたりする。そんな落ち込むことを増やす交流に、自ら足を踏み入れることは避けたい」(シルヴィー・34歳)「ちゃんのママのカップケーキは最高に美味しいんだよ! なんて言われても、大して気にはならない。でも同じように子育てに追われながら、いつも小綺麗だったり優雅だったりする人と付き合えば、どうしても競争心や嫉妬心を煽られるはず。なんで私だけ、こんなに髪を振り乱して家事や育児に追われているの? と夫にも八つ当たりしそう。嫌な自分になりたくないから付き合わない」(アマンディーヌ・39歳)「ママ友」はトラブルの元凶!?「校門前のママ達は、2タイプに分かれる。友達を作りたがっている人と全く興味がない人。私は後者だから前者の人がいると極力、離れた位置に立つようにして、目が合ってもボンジュールだけ。元気? すら言わないようにしている。その後の会話で入り込んでこられると厄介だから、その意思表示&態度表明ははっきりするようにしている。オープン(社交的)な人こそ要注意。交友範囲を必要以上に広くしたり重くして、結局は負担になったり煩わしくなるのもあっという間だからね」(ソフィー・40歳)「初等教育の子どもの親同士の交際の1番のネックは、同じ地域に住んでいること。近所同士だと朝夕の付き合いだけではなく、時には週末まで付き合うハメになる。それに、気まずいことがあったり、子どもが中学生になって交流を解消してからも、パン屋や郵便局で不意に遭遇。苦痛が続いて不便」(セシル・42歳)「子どもが喧嘩をすると、どうしても親はそれぞれ自分の子どもを守ろうとしがちだから、親同士が友達の場合、その関係にまで影響する。しかも子どもより親の方が後腐れなくできなくて、子どもにも悪影響を与える。些細な問題だったはずが親のせいで発展したりも。私は1度体験して、もうコリゴリ」(エレーヌ・35歳)「『mères (メール・フランス語でママ)』は『Commères (コメール・フランス語でゴシップ)』と響きが似てる。絶対ヤバいと思うから、私は付き合わない(笑)」(アリックス・31歳)友達づくりの適齢期は23歳!?学生時代や若い頃から長年付き合っている仲間を持っている女性が多く、それを最優先。「だからママ同士や仕事の同僚と交流するまでの時間は、子育て中にはない」という人も多い。アメリカで発表されたデータによれば・友達になるには50時間・本当の友達になるには90時間・親友になるには200時間を共に過ごす必要があるという(2018年Jounal of Social and Personal Relationship)。フランスの女性誌各社でも取り上げ「これだけの時間を多忙な子育て中には費やせない」と描かれていた。そして、だからこそ「すでに昔からの仲間がいるから、新しい友達をわざわざ作る必要性は感じない」という意見をよく聴く。ではその昔からの仲間とは、いつ頃、出会っているのだろうか?女性が心を許せ、将来的にも長く付き合える「友達」をつくるのにも「適齢期」があり、フランス人の場合、それは学業を終えた頃や働き始めた頃である23歳前後だという。(2019年L’ADN France)もちろん個人差はあるし、歳をとってからの出会いもある。でも「23歳というのは各自の性格や個性への自覚が確立し、生き方や考え方も明白になっている時期。その頃、選んだ友達との関係には間違いが少なく継続しやすい」という分析には、自分や娘達の過去を振り返ると納得がいく部分がある。子育てに悩んだら誰に相談?心理学雑誌の愛読者も多い。この「Psychologies/プシコロジー」も、サッカーの元フランス選手 ジダン氏の妻、ヴェロニック・ジダンも毎月愛読しているという人気長寿雑誌では、情報収集や習い事の送り迎えの助け合いなどに、ママ友は必要ではないのだろうか?試しに近所の8人のママに訊いてみたところ、8人とも「それは立ち話で事足りる」「そのために交流する必要まではない」との答え。確かに私も必要な時だけ近寄って行って知りたいことを尋ねたり、柔道やホッケーの送り迎え分担に加わったりした記憶がある。そして子育てについて悩んだ時に相談するのは、1位「パートナー」2位「自分の親や兄弟」3位「友達」深刻度が増したり、誰も相談相手を見出せない場合は「専門の精神科医を頼る」という。(2018年Psycho)「パートナーとの信頼関係が強い」ように聴こえるが、そうとは限らない。カップル間の対話量については、確かに日本より圧倒的に多い。でもその分、意見の食い違いによる言い合いやトラブル、いわゆる夫婦喧嘩も日常茶飯事。だからこそ「家庭内の揉め事だけで精一杯。職場や近所の人とは当たり障りのない関係や距離を保ちたい」となるらしい。もちろん仲良く交流しているママ達もいる。ただ割合的にはかなり少なく、それは「ママ友」苦手派の私には有り難いことだった。また、よく見渡してみると、なにか問題があって憂鬱だったり、人と喋りたくない気分の時だったり、体調が悪い時などは「近寄るなオーラ」を発するママも結構いて、皆、すぐに察して近づかない。そしてそういう態度をとっても誰も嫌悪することなく、むしろ「それぞれ色々あるよね」という暗黙の了解ムードが微かに漂う。そんな距離感や大人力ある環境のおかげで、私も苦手な送迎時期を難なく切り抜けられた気がしている。
2021年07月22日人生ってのはわからんもんで、なんと四十すぎにしてパリファッションウィークの撮影で単身パリに行ってきました。それも憧れの美しきブランド「ルメール」の撮影。シンプルで美しいルメールのコレクション。今や多様性があらゆる面で求められる時代。私も含め様々な人種、そして年齢、バックグラウンドのモデルが起用されているのを見ると、ファッション界も変化しつつあるのかな、と思いました。ショーはコロナによって観客を招いてのコレクションではなく、撮影をしたものを流すというのが主流になっていて、私もランウェイを歩いたのは歩いたけどそれはカメラの前。観客がいないのでそこまで緊張しないからいいな、と思ったのだけど、実はこの方が大変だと後々気づいたのでありました。今回選ばれたモデルも多様。整然と並んだコレクションの数々、ここで着替えて撮影します。というのも、撮り直し、撮り直し、と延々同じ道を歩くこと何十回。ライティングが、アングルがと、いろいろあって洋服を綺麗に見せつつストーリーを持たせつつ映像に収めるって結構大変みたいです。コレクションにたくさんでているモデルの子に聞いてみたら、撮影より現場で歩いておしまいの方がうんと楽よ! とおっしゃっておりました。確かに、待ち時間も長いし撮影時間も長い。ふむ。結構みんな苦労してるんですね。本番までの体調管理には梅干し、三年番茶、生醤油は欠かさず!ランウェイのセット。ライティングが結構暑い。とはいえ、デザイナーのクリストフ氏とサラリントン氏の穏やかな雰囲気は撮影現場を始終和やかにしておりました。さすがですね。デザイナーのクリストフ氏と。色々お喋りもして楽しかった。実は娘はすでに、このコロナ禍で何度かパリコレに出ていたのだけど、17歳の娘がどれだけ頑張っていたのか、と今回改めて気がつきました。同じEU内とはいえ、外国でたくさんの人に囲まれて、知らない街、知らない人の中でプロとして仕事をする。体調も肌のコンディションも気をつけながら、しかも学業も両立させている。娘の賛辞になってしまいましたが、若いモデルの子達頑張っているのだなぁ、そしてかつての私のモデル仲間たちも、今よりもっと不便な時代に海外ですごく大変だったのだろうなぁと色々なことに思いを馳せてしまいました。仕事後にはパリ在住の旧友と束の間の観光まで楽しみました。そして、こんなふうに数日を母業から離れて一人パリの街でモデルとして過ごし、その間の家事育児の一切をバッチリこなしてくれた夫に感謝。コロナで不自由な面もある世の中だけど、水面下では様々な価値観やブロックが外れて、世界がよりよく新たな方向へ動いているのも感じた数日でした。
2021年07月10日少子化対策を成功させ、先進諸国の中では高い出生率を誇ってきたフランス。しかし、そのフランスもコロナで少子化に拍車が!危機感を覚えた政府は、早急に少子化対策強化に乗り出しました。今回は、妊娠&出産に対する、フランスの手厚い国の政策についてリポートします。第25回国がここまでしなければ産まなくなる!妊娠&出産サポート日本の場合、出産をすると健康保険(自営業の場合は国民健康保険)から出産一時金が一律42万円もらえるが、出産は病気ではないので健康保険の適応外。検診費用や、42万円を超えた場合の入院費の差額は自己負担。居住地や病院、出産方法などによって費用は異なり、差額負担が大きくなることも。しかし、フランスは出産にかかる費用は全国一律、健康保険(国保)がカバーし実質タダ。妊娠中の健診や、産後ケアも国が負担している。これがフランスが高い出生率をキープしてきた一因であることは明らか。今回は、日本政府にも参考にしてほしい、フランスでの妊娠から出産までの主に「無料」部分をピックアップ!たとえ財布が空っぽでも検診に行ける!フランスでは妊娠&出産は全国一律「健康保険の適用内」。遅くとも妊娠4カ月になる前までに医師(内科医・産婦人科医)または助産師の診断書を国保に送付(診断書は、妊娠に限らず全て無料。別料金は不要)。この申請さえしておけば、妊娠5カ月までの検診料は国保が65%カバー。残り35%についても国民の9割が加盟している任意保険がカバー。ICカード式保険証(写真)でオンラインにより病院も薬局も精算。支払いは不要となる。妊娠6カ月以降は国保が100%カバー。毎月の検診の他、トキソプラズマなどの血液検査や3度の超音波検査(3&5&8カ月)、医師から処方される薬も国保により支払われるので、例えば学生やまだ貯蓄のない若者、生活に余裕のない人なども心配なく通院はできる。また妊娠7カ月には出産準備金として約12万5000円が母親の口座に振り込まれる。公的医療受給のためのICカード式保険証。フランス在住者(移民や留学生も含む)のほとんどが所有。病院でも薬局でも国保とのオンライン精算ができるシステム。妊娠6カ月以降はほぼこのカード1枚で精算処理され、支払いは不要(高級クリニックや特別な薬など使用する場合は差額を支払う)。公立病院での出産ならば、100%国保がカバー妊娠中の禁煙治療なども国保が65%を保障(残額は加入している任意保険による)。1人でもカップルでも参加できる出産準備講習会(全7回)も無料。臨月まで産婦人科医に通い、出産は公立の総合病院の産科でというフランス人が8割。問題がなければ、分娩はほとんどの場合、助産師によって行われる。また、9割以上のフランス人が無痛分娩を希望(国保保障)。妊娠8カ月に麻酔医との事前打ち合わせ(アレルギーや既往症など)はするが、公立病院でも麻酔医は24時間365日交代で勤務しているので、あらかじめ出産日を決めることは不要。陣痛が起こったら予約なしに病院に直行すればいい。出産&入院費は帝王切開の場合も含め、公立病院は全て国保がカバー。臨月まで通う産婦人科医や病院の医師が分娩するのではなく、助産師が行うのが一般的。シャワー&トイレ付き病室を1人で使用が基本100%国保が支払う公立病院でも、ほとんどの場合2人部屋を1人で使用。私も3回の出産いずれも1人での入院生活。産後に他人への気兼ねなく、好きな時間に好きなだけシャワーやトイレを使えるのは、やはりとても気楽で快適だった。基本は親子同室。でも預けたければ新生児室に預けることも可能。私は安眠したいので夜だけ預けたが、「退院後のためにたっぷり充電」「泣き声を聴くと疲れる」「帰宅すれば上の子どもたちの面倒もしなければいけないから、今は静かに一人でいたい」と昼間も預ける人は多く、授乳のたびに看護師が気軽に部屋にベビーを運んできてくれる。また、母乳については「ずっと禁煙していたから、すぐに吸いたい!」と最初からピルでホルモン調整し、母乳を止めてしまうことも自由(ピルも国保カバー)。各室についているバルコニーで嬉しそうにタバコを吸っている人も多かった。(上)©️CH Annecy Genevois.(下) ©️l’Hopital Saint Joseph de Marseille(France)入院期間は現在は産後96時間(3−4日)。帝王切開の場合は120時間(5日)が基本。私が第3子を出産した2000年頃までは入院は1週間だったが、財政困難で日数は減ってきている。ただし出産後12日間までは助産師が自宅訪問する母子観察期間が設けられている。入院中の食事食事の質は病院による。公立病院でもおいしいところもあれば、私立でもまずいところもある。概して給食センターに外注している病院はまずく、病院内で調理しているところはおいしいらしい。驚いたのは朝食で、初日に「朝食は何を希望?」と尋ねられ、そこで咄嗟に答えたものが後日、ずっと続く。一般的にフランス人は朝食に重きを置かないからというのもあるし、さらには「朝食はこれ」と普段から365日変わらぬものを食べている人が多いため、誰も不満には思わないらしい。例えば「今日はコーヒー。明日はレモンティ。明後日はミルクティ」などという人は少なく「朝食はエスプレッソとタルティーヌ(バゲットにバターとジャム)」を飽きずに食べ続けることが当たり前。第1子の時、初日にうっかり「コーヒーとタルティーヌ」を頼んでしまい、それが7日間続いたことに参った私は、第2子では「コーヒーとミューズリー。リンゴ」を所望。第3子の時には「コーヒーとクロワッサン。ヨーグルト。リンゴとオレンジ」と品数を増やしてみたが、まったく気にされず受理された。同じ公立病院で3回、出産したが、食事は毎回おいしかった。前菜にサラダ。メインが肉料理か魚料理に温野菜。チーズ。デザートは果物かケーキ。+バゲット&水。希望により食後にハーブティ、が昼食と夕食の基本産後の無料整体も、有効な少子化対策のひとつ出産による骨盤底筋へのダメージは、たとえ安産であっても皆無ではない。それが元で後々、尿失禁症や腰痛、性交痛に悩まされる人も多いもの。また、次の不妊や難産の原因にもなりうるとも考えられ、既に30年以上前から出産後の整体を国は推奨。10回(1回約30分)を国保が全額保障している。自分のケア、自分だけの時間をもてることも出産後、育児におわれる女性にとってはとても有難いこと。また産後すぐの骨盤底筋の調整は体型の早期修復にも効果があり、それは肥満や糖尿病防止にもなり国保負担の予防にもなる、と国は考えている。コロナが大きく影響「ベビー・クラッシュ」の危機!?これまで先進諸国の中では少子化対策を成功させ、高い出生率を誇ってきたフランス。それがコロナの影響で2021年の出生は大幅に減少。今も18〜34歳の51%が「まだしばらくは様子見。妊娠を控える」と答えている(Demographic Reserch)。このままではベビー・ラッシュの反対「ベビー・クラッシュ」が起こるのではないかと政府は懸念。それでも「様子見のための延期」ではなく「もう子どもは生まない!」と決めた人が急増したイタリアやスペインよりは希望が持てるとも考え、政府は早急に少子化対策の強化をはじめている。例えば生後2カ月から支給されていた育児支援金(1カ月1万1000〜2万3000円/収入による)を、妊娠7カ月から支給することに変更。また第2子以降の妊娠の場合は、上の子どものベビーシッターなど妊娠中の保育料への補助金を増額。そして、7月1日からは、父親の産休(有給)を14日間から28日間に延長(双子以上は32日間)。しかも、母親と調整して生後6か月以内に取れることにした。前述の無料整体と同様、産むことを躊躇する人を相手に推奨や説得するよりも「すでに子どもがいる人」や「すぐに子を持ちたい人」を助成する方向に力を入れはじめている(そのため不妊治療や養子縁組への補助金も増額。同性カップルの生殖医療などへの制度も改正)。©️CH Annecy Genevois公立病院の産科にも分娩前の陣痛緩和のための水中ケア設備新設などを増やしている。少しでも心身への負担を減らし、次の妊娠を早めようという試み。特別料金は不要コロナとメディアに振り回される日本政府の脆さを晒してしまったこの1年。異国の良さを羨ましがっているばかりの時代は終了。伸びしろ(やれること。まだやっていないこと)はあり過ぎるほどたっぷりあるので、まずは「現金がなくても大丈夫!」な妊娠&出産を全国一律でできる制度を作って欲しいですよね。続いて「お金がなくても大丈夫!」な育児&学費制度も考える。漠然とした「少子化対策」ではなく一歩一歩、着実確実、順序を追ってのステップアップ。 「とにかく真面目な国」と他国からイメージされる日本ならば、できるのではないでしょうか
2021年07月06日フランスは「空前の〇〇ブーム!」というような「熱しやすく冷めやすい」一時的な流行が起こる国ではない。ジワジワと静かに浸透し、深く根づき、末長く愛され続けることが多い。寿司や抹茶、指圧や盆栽などは、そのいい例。そして、それらの発音がそのまま、例えば「Kaki(柿)」「Nashi(梨)」などアルファベットでつづられ「フランス語になる日本語」が、次々と増えてきている。「Shinrin-Yoku(森林浴)」や「Kaizen(改善)」など、思いもかけない言葉がフランス語になることもあり、これからどんな言葉がフランス語になっていくのか予想もつかない。今回は「フランスで活躍している日本語」についてリポートします第24回どんどん増えている「フランス語になった日本語」畳、着物、抹茶、あずきやユズもフランス語に!私が移住した27年前は、まだ「侍」「芸者」「腹切」……そんな日本語ばかりがフランスには伝わっていた。やがて「畳」「着物」「禅」という言葉もあちこちで見聞きするようになり、これは柔道教室が全国に広まったためだと思う。そして寿司ブームが起こり、今では「Sushi」という単語を知らないフランス人は田舎の子どもにもいないほど。また多くのシェフやパティシエが日本にも出店。日本に旅もし、日本食材に魅了され、フランス料理やフランス菓子にも取り入れるようになったので、「抹茶」や「ユズ」、今では「うまみ」「弁当」なども、そのままフランス語になっている。「あずき」「しそ」「ユズ」「柿」は訳されることなく、そのままの発音がアルファベットで書かれるようになっている。「ランチボックス」ではなく「Bento」と言われることも増えてきていて、さらには「昆布茶」までが「私、健康のために毎日Kombuchaを飲んでいるのよ」などと親しまれている。ただし日本の昆布茶とは少し違う味。食べ物や物だけではない。「ZEN(禅)」も既にフランス辞書に載っている禅が「ZEN」と書かれ、高速道路の電光掲示板にも「ゆっくりゆったり、ZENの精神で走りましょう!」などと表示される。そして「森林浴」や「香道」。さらには「改善」までが今やフランス語。「可愛い」「おいしい」「楽しい」などの形容詞も次々と商品名になっている。様々なメディアに見られる「Kaizen(改善)」「Koh-dho(香道)」などの日本語。写真右上の「Shirin-Yoku」は森林浴のミスプリントと思われるが、本文では「Shinrinは森や林のこと」と書かれている。日本語学習は「憧れ」「誇り」!?「漫画(Manga)」も既に誰もが知っているフランス語。日本漫画の外国人読者数はアメリカに次ぎフランスが世界第2位なのだそう。そして日本語学習はパリなど都心部では15年以上前から人気となっているけれど、その波は徐々に田舎にも及んできていて、私も近所の小学生数名に懇願され教えはじめている。大人が日本語を学んでみたいと思う理由は、「日本の文化に惹かれて」「日本に行ってみたいから」など『憧れ的要素』が強いが、子どもの場合は「ポケモンやドラゴンボールが好きだから」「お寿司が大好きだから」「親戚が日本人と結婚。イトコが日本にいてフランスに来ると一緒に遊ぶから、その子達と日本語でも喋ってみたい」そんな『実質的な動機』が多い。そして子どもが日本語を学ぶことを親もとても喜ぶ。その理由も聞いてみたところ「難しそうだから、小さい頃こそ遊びでいいので親しんでほしい」「語学というより芸術性を感じる」「高尚な習い事のようで誇れる」「いつか家族で日本を旅する時が来るのかも?そんな小さな夢を抱けるのは楽しい」など。つまり「日本語=難しい」というイメージの方が強く、英語のように「マスターして将来に生かして欲しい」という願望や目標を親が抱くことは少ない。そのため、子ども達も気軽に楽しく学べるのかもしれない。ちなみに「フランス人にとって習得が難しい言語」では日本語は5位にランキング(1位中国語・2位ギリシャ語・3位アラビア語・4位アイスランド語・Alltradis 2019 )。逆に「習得しやすい言語」は1位英語・2位スペイン語・3位イタリア語・4位スワヒリ語・5位ポルトガル語となっている(Babbel2019)。村の小学生達と交換日記のようにノートをやりとりしての日本語学習。「あいうえお」学習は退屈そうなので、ひらがな・カタカナ・漢字に同時進行で慣れていくことを試行。どの子も漢字を書くのが一番楽しいという。親も「美しい。芸術だ!」とよろこぶところが面白い。まったく日本語の読み書きを教えなかった我が子達には「いいなぁ。どうして、私達にはやってくれなかったの?」と嘆かれ「それどころじゃなかったのよ」と応えたところ「つまり今は『それどころ』なんだ」と真顔で言われる。「それどころ」とは何なのだろう?日本語は難しい。我が家の子ども達(現在26歳、22歳、20歳)が小さい頃から今に至るまで好きな日本語は、擬声語や擬音語。「ドキドキ」「ヒヤヒヤ」「キョロキョロ」「そわそわ」「ビクビク」「ちくちく」「ズキズキ」「アツアツ」「ふかふか」「プヨプヨ」「ベタベタ」「ねばねば」「ドロドロ」「イライラ」「やれやれ」「クヨクヨ」「きらきら」「ピカピカ」「だらだら」「ブツブツ」「チヤホヤ」など。リズミカルなので聴いて楽しく、ニュアンスも伝わりやすく「様子や気持ちがよくわかる」「日本語って面白い!」とワクワク度が増し、口にもしやすいそう。 もしかしたら、これらの日本語もそのうちフランス語になるのかもしれませんね!
2021年06月22日世界文化社は、書籍『パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間』を2021年5月29日(土)に発売します。■うちのマンションは狭いから…なんてあきらめていませんか?パリっ子に学ぶシンプルライフ長期にわたって外出自粛を求められるこのコロナ禍において、注目を集めたのが「おうちでの過ごし方」。一方、狭いワンルームマンションで物がごちゃごちゃ、理想のおうちライフを過ごすのは難しい、と思う人も多いのではないでしょうか。本書は、日本以上に家賃の高いパリで18年生活するフォトエッセイスト・とのまりこさんが、狭い空間でもハイセンスで心地よく暮らすフランスのライフスタイルを紹介する1冊。発売前からAmazon売れ筋ランキングで1位を獲得(「住まい・インテリアのエッセー・随筆」部門/2021年5⽉21⽇調べ)した注⽬のライフスタイルブックです。AmazonおよびAmazon.co.jpは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。■狭い部屋でも自分らしく!パリ流素敵な空間のつくり方とおうち時間の過ごし方。とのまりこさんが家族3人+犬1匹で生活しているパリのお宅は、なんと35㎡という小さなアパルトマン。けれど、パリ流の工夫が満載で、狭さを感じることがありません。本書では、とのさんのお宅を中心に、小さなアパルトマンで心地よく暮らすパリっ子たちのインテリアコーディネート術や、おうち時間の過ごし方を余すところなく紹介します。■無印良品、イケア、ZARAHOME!実際に真似できるグッズを紹介パリのオシャレなおうちの共通点は、シンプルなベースに、これでもかというほど自分たちの趣味や嗜好に合わせた好きなものを取り入れて、自分たちだけの空間をつくり出していること。本書では、フランスでおなじみのグッズや人気商品など、とのさんセレクトの雑貨が満載。掲載されているインテリア雑貨の多くは、無印良品、イケア、ZARAHOMEなどオンラインでも購入が可能です。また、素敵な生活雑貨やキッチン用品などを取り扱うパリのお店マップは、再び海外旅行ができるようになった際に役立つパリショッピングガイドとしても楽しめます。<著者プロフィール>とのまりこパリ在住19年目、東京出身のフォトエッセイスト。出版社に勤めたのち2003年単身渡仏。パリを拠点にフォトエッセイ、ガイドブック執筆、コーディネーターなどの活動を続ける。2014年に東京・西荻窪にフランス雑貨店「Boîte(ぼわっと)」をオープン。全国各地の百貨店や書店などで期間限定のポップアップイベントやトークショーなども行なう。ほぼ日刊イトイ新聞の「バブー&とのまりこのパリこれ!」、パリマグの「とのまりこのパリライフ!」、雑誌「サンキュ!」のパリのパンコラムなど連載多数。Boîte(ぼわっと)Twitter…@boite_tvInstagram…boite.tv<目次>1.パリスタイルで心地よい空間をつくる2.限られたスペースを明るく広く見せる3.暮らしをセンスアップするインテリア雑貨4.家事が楽しくなるパリのキッチン5.食卓を彩るカジュアルフレンチ6.気分を上げるファッション7.おうち時間を楽しむ手作りのもの<刊行概要>『パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間』■発売日:2021年5月29日(土)■定価:1,628円(税込)■発行:株式会社世界文化ブックス■発行・発売:株式会社世界文化社※一部書店により発売日が異なります『パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間』企業プレスリリース詳細へ TIMESトップへ
2021年06月09日モネ、セザンヌ、ルノワールなど多くの画家を生み、ピカソ、ゴッホ、シャガールなど異国の画家達からも深く愛されてきたフランス。今も世界中から多くの人々がルーブル美術館やオルセー美術館などを訪れ、美術を学びにもやってきている。そんなアート大国で子ども達はどのように絵画を学んで育っているのか。今回は小学校での美術教育についてレポートします。第23回芸術大国フランスの「小学校での美術教育」鑑賞などの「受け身」ではなく、有名絵画も、まずはいじらせてしまう「主体的」美術教育有名絵画というと、まずは「鑑賞」。次には「これは誰の絵?」「それはどこの国の画家?」「いつの時代の作品?」そんな風に、どちらかというと知識重視で学んだ記憶が強い私には、フランスの小学校での美術教育は本当に驚きだった。例えば、この「モナ・リザ」についての学習。子ども達は「どんな風にしてもいい。自分の好みやイメージのモナ・リザにアレンジしよう」と絵画写真のコピーを渡され、それに取り組む。「怖い顔だよね。吸血鬼みたい」という子もいれば「体格がいいから、きっとスキーに向いている人だな」「食いしん坊っぽい。ワインも好きそうだよね」という子もいたりする。鑑賞したり覚えたりという「受動的」ではない「能動的」教育。どんな偉大な作品も、自ら手を加えれば「自分のもの」になり距離感はグンと縮まる。もしかしたら記憶にも長く残るかもしれない。エッフェル塔もアレンジフランスの首都パリの象徴的な名所エッフェル塔についても同様。この村にはエッフェル塔がパリにあることは知っているけれど、まだパリに行ったことがない子どもも多い。「どんなところに建っていると思う?」「どんなところに建っていたらいいなと思う?」そんな先生からの問いかけに、まずは周囲へのイメージを想い、そして描く。さらには「これってなにでできているのかな?」という疑問が出て、「何でできていると思う?何でできていたらいいと思う?」鉄製であることは答えず、そう問うと、数人の子ども達はエッフェル塔の写真を貼るのをやめて、自分で好きな色で描き始めたという。「正解は大人になってから知ることができる。それよりも、まずは興味を持つこと。想像や創造の脳機能を動かすこと。それが初等教育の重要ポイント」なのだそう。ストリート&ポップアートもストリート&ポップアートの先駆者キース・ヘリングの絵についても同様。まずは「自分でも描いてみよう!」から取り組み、近づく。ニューヨークの地下鉄やベルリンの壁、パリやアムステルダムの公共空間、最後はイタリアの教会の壁にも描き、エイズ撲滅や恵まれない子どもへの社会貢献活動でも知られているアメリカ人画家だが、そういった知識も後で自分で興味を抱いた時に学べばよいこと。旅行中に見かけたり、社会貢献を学んだりした際に「この人の絵、知ってる!」と思い出せればいい。つまり、あくまでも初等教育での美術は「きっかけ」の根っこづくり。触れた痕跡(記憶)を残し、後の様々なこと(好奇心、知識、経験、学業、事業、社会貢献など)へのきっかけになれば、それで十分と考えられている。葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の学び方そしてフランス全土の小学校の高学年(9&10歳)への共通課題とされているのが葛飾北斎のこの名作。表題は「La Vague(波)」と訳されている。どんな風にこの絵をフランスっ子達が学んでいるのかを覗いてみよう。1)まず、絵をよく見て、気づいたことを言う。「すごい波!大きい!」「まるで津波みたいだ」「あの山はモンブランと同じくらい有名な日本の高い山だよね。それより波の方が高いんだぁ!」「それは違うよ。山はずっと遠くにあるから波より低く見えるだけなんだよ」「本当にあそこに山があるのかな?波が高いことを表現したいから描いただけなんじゃないのかな?」「船に乗っている人達は、どうしてあんな姿勢でいるの?」「なんで皆、同じ場所に固まっているんだろう?」「日本だからKimono(着物。※Kimonoはフランス語になっている)を着てるよね。濡れても大丈夫なのかな?」「僕は柔道をしてるけれど、Kimonoは洗うとすごく重くなって、干してもなかなか乾かないんだよね」「この船はなにでできているの?」「アヴィロン(ボート競技スイープのフランス語)なのかな?」「だったら、これはサーフィンみたいな日本の競技?」これらが子ども達の発言で、面白かったのは「白い粒々は雪?」と言う子が多かったことだという。山育ちの子どもには、白い粒からは水しぶきよりも雪への連想の方が強いらしい。2)その後「La Vague(波)」という言葉から連想する絵を各自、自由に描く。3)さらに「波」「大波」「津波」「波のうねり」「水しぶき」「潮」「山」「船」「着物」「オール(船を漕ぐための櫂)」といった単語を語彙力を増やすために学び、読み取り&書き取り。つまり最後はフランス語の勉強につなげる。ココがフランス初等教育の特徴。「読み書き&そろばん(母国語&算数)」を最優先。「小学校の間、すべての教科は国語と算数を強化し、より充実させるための枝葉」という理念に基づいている。感嘆詞を絵で表現する学びさらにコレもその国語&美術教育の繋がりの一例。「素晴らしい!」「ゴージャス!」「なんて素敵な景色なんだ!」「それら感嘆詞や感動した時に呟くセリフからイメージする絵を描きましょう」という課題でも絵を描き、感嘆詞を自分の感性と密接にさせる。評価はしない。花丸もつけない。©️Dorothee Ben Artこれらが優れた美術やアート教育なのかどうかは解らない。ただ一切、小学校では点数も成績も、そして「トレビアン(よくできました)」いわゆる花丸をつける判定さえもしないところは、とてもいいなと思う。評価は、下手をすれば苦手意識を芽生えさせ、劣等感を与える「余計な早期教育」になりかねない。美術教育こそ「自由」や「伸び伸び」を尊重して良きものなのかもしれない。それがアートに溢れる国フランスで私が気づかされたことの一つだった。
2021年06月06日