子育て情報『記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」』

記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」

目次

・「記憶力がある」ということは「記憶の仕方を知っている」ということ
・記憶すべきことではなく、記憶の「手順」を教える
記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」

これからの時代には「考える力」が必要とされ、学校の教育内容も以前の詰め込み型から変化していきます。ただ、学習していくためには「記憶力」は欠かせないもの。子どもの記憶力を伸ばしてあげたいと思う親御さんが多いなかで、そのためにはどんな教育が必要なのでしょうか。脳科学を専門とする篠原菊紀先生は、「まず記憶の仕組みを知らないことにははじまらない」と語ります。

構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)

「記憶力がある」ということは「記憶の仕方を知っている」ということ

当然ながら、子どもの能力には遺伝が大きく関係しています。IQでいえば、じつは7〜8割くらいは遺伝で説明できてしまうほどです。残念ながら、努力でIQを上げるということはなかなかできるものではありません。
ところが、学力となると話は別。遺伝で説明できるのは5割程度に落ちてくるのです。記憶力も同様。記憶力こそ遺伝が大きく影響しそうなものじゃないですか?でも、じつはそうではない。記憶力は、環境、教育による影響を大きく受けるものなのです。

つまり、「記憶力がある」ということは、「記憶の仕方を知っている」ということが大きい。なにかを覚えようとするとき、覚えるべきものをただ眺めているのか、そうではなくて記憶するためのスキルを使うのか。復習のタイミングは適切か。
これこそ記憶力の本体と考えてもいい。

となると、親御さんが気になるのは「記憶の仕方」でしょう。まず、それ以前のスタート地点として、「見れば覚えると思っている」という誤解を排除してあげることからはじめてほしい。人間は、ただ見ただけでものごとを覚えられるようにはできていません。

記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」


記憶の仕組みをごく簡単に説明しましょう。記憶には大きくわけて2種類の記憶があります。一時的に必要な情報が保持される「短期記憶」。そして、この短期記憶のうち、強い刺激を伴ったり、重要だとされたりした情報が長時間にわたって保持される「長期記憶」となる。
勉強における記憶とは、長期記憶でなければ意味がありません。

では、そうするためにはどうすればいいか。記憶は繰り返して情報を使わないと脳に定着しません。繰り返しチェックテスト、つまり、復習をする必要があるということです。ただ年がら年中するわけにはいきませんから、どういうタイミングでチェックテストをするのがいいのかということを知る必要もあります。

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