子どもの人生は “旅” で幸せになる。いまの時代こそ親子で旅に出るべき理由
お店のお兄ちゃんやお姉ちゃんのことを好きになったり、あるいは口うるさいおじさんがいたりと、親以外のいろいろな大人に関わり、そういう大人に自分の存在を認めてもらったり、時に叱られることもあたりまえでした。
私も母親になってわかりましたが、子どもというのは、自分が住んでいる日常が延々と広がっているものが世界だと思っています。となると、いまの子どもたちが考える世界は、以前と比べて単一的で狭くなっていることは間違いありません。
だからこそ、あえて、もっと広い世界やさまざまな価値観を見せてあげる必要があると思うのです。親子で旅に出ると、親も気づいていなかった子どもの良さを褒めてくれる人にも出会います。そうすると、子どもは「自分にはこんないいところがあるんだ」と自信を持ちますし、「そういう見方もあるんだ」と親にとっても勉強になる。そういう「世界の広さ」「多様性」に気づかせるという意味で、子どもたちにはいまこそ旅育が必要だと思うのです。
子どもに対する親の究極の願いを旅がかなえる
また、世界の広さや価値観の多様性に気づくことは、子どもが幸せな人生を送ることにもつながります。
いま、グローバルな考え方と同様に、これからの子どもたちに必要なものとして挙げられるのが「生きる力」です。新しい学習指導要領では、それを育むために「生きて働く“知識・技能”」「未知の状況にも対応できる“思考力・判断力・表現力等”」「学びを人生や社会に活かそうとする“学びに向かう力・人間性”」の3つを偏りなく育成することが重要だとしています。
これらをすべて持ち合わせていれば、確かに素晴らしく理想的な人間です。でも正直なところ、「では親としてどうすればよいか?」と考えると、戸惑うこともあります。そこで、教育現場とは別に、親として「息子にどう生きてほしいのか」とわたしは考えてみたのです。すると、答えはとてもシンプルでふたつに絞れました。ひとつは「自分らしく、豊かで幸せな人生を送ること」。それから「夢や理想を持ち、それに向かって歩むこと」です。
親が子どもに願うものは、健康に育ってほしいということは当然として、究極にはこのふたつに行き着くのではないでしょうか。まわりからどんなに幸せに見えても、本人が幸せと感じられなければ、幸せな人生とはいえません。
また、現状の幸せに満足してしまうとチャレンジ精神を失うことになりますから、より良い人生を歩むためにも夢を持って進む力も手に入れてほしい。