お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは
子どものEQを高める褒め方のコツ
さて、子どもの存在を認めたら、今度はしっかり褒めてあげましょう。ただ、褒めて伸ばすことが大切とはいえ、やたらに褒めればいいというものではありません。たとえば、いわゆる「能力褒め」は子どもの成長にとってマイナスにも働きます。もともと持っている能力を褒めると、やる気を失ってしまうことにもなるのです。
このことは、ある実験の結果ではっきりと示されています。その実験では、まず小学生を対象に知能テストをおこないました。そして、同じくらいの点数だった子どもたちをふたつのグループにわけ、ひとつのグループに対しては「能力」を褒めた。「頭がいいね、かしこいね、天才だね」といった具合です。
一方、もうひとつのグループに対しては、「よく頑張ったね、最後までやり抜いたね」といったふうに「努力」を褒めました。
その後、2回目のテストではわざと難しい問題を出しました。どちらのグループも能力は同じくらいの子どもたちですから、全員の点数ががくんと落ちます。続いて、3回目のテストでは1回目と同じくらいの難易度のテストを出しました。すると、能力を褒められたグループは1回目より点数が下がったのに、努力を褒められたグループは1回目より点数が上がったのです。
これはどういうことなのでしょうか?ポイントは2回目のテストで「点数が下がった」ということです。その要因を、能力を褒められた子どもたちは、「これは自分に能力がないからだ」と考えてしまう。「自分には能力がない、だからこれ以上勉強をしても仕方がない」と勉強をやめてしまった。
そして、3回目のテストでは1回目より点数が下がるという結果になったのです。
一方の努力を褒められたグループはどう考えるかというと、2回目のテストで点数が下がった要因を「努力が足りなかったからだ」と考える。努力が足りなかっただけなのですから、子どもたちは「もっと頑張ろう!」と思い、いっそう努力をします。そうして、3回目のテストでは点数が上がったというわけです。
やり抜く力やチャレンジ精神といったEQの伸びに関して、褒め方のちがいが大きく左右したことの証といえるでしょう。
叱るときは子どもを「教え諭すチャンス」
もちろん、「褒めて伸ばす」とはいっても、子どもが約束を破った、他人を傷つけたといった問題を起こした場合にはきちんと叱る必要もあります。