お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは
意識してほしいのは、そういう場面を「子どもを教え諭すチャンス」だととらえるということ。子どもがなんらかの問題を起こしてしまったときは、子ども自身も「まずい、どうしたらいいんだろう……」と思っています。つまり、学びやすいタイミングなのです。
そのとき、教え諭すのではなく、「子どもを怒るチャンス」だととらえて感情任せに怒りを爆発させては、子どもはほとんどなにも学ぶことができません。「怒る」のではなく、起こしてしまった問題への対処法を「教え諭す」のです。
そのためにも、親自身が冷静になり、「1分以内」くらいの短い時間で叱ることを心がけましょう。お説教が長時間に及ぶと、子どもは途中からなぜ叱られているのかすらわからなくなるものです。結果的に、子どもの行動にはなんの変化も起こらないということになりかねません。
もちろん、理性的に叱るべきだと頭ではわかっていても、子どもが起こした問題によっては、つい感情を爆発させてしまいそうにもなるものです。わたしも、こう語りながらも、自分の子どもに対してはそうなってしまいそうになることもありますけどね……(苦笑)。
そういうときにおすすめしているのが、「一度、その場を離れる」ということ。物理的に距離を取るのです。「一度、見なかったことにする」といってもいいでしょう。さらには、特定の言葉を使うことも効果的です。「ま、いいか」「そういうこともあるよね」と口にする。これらの行動で、感情ではなく理性のほうに脳がスイッチするため、冷静になれるわけです。
子どもをしっかり認めて褒めて、必要なときには怒るのではなく叱る。子どものEQを高めるため、つねに心がけてみてください。
『子どもの未来が輝く「EQ力」』
浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)
■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧
第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?
第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由
第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方
第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは
【プロフィール】
浦谷裕樹(うらたに・ひろき)
1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。