家庭での学びが「アクティブ」で「プレイフル」になる、いちばんの方法
先行きが見えないといわれるいまの時代に子育てをしていると、親はこれまで以上に子どもの将来を心配しているかもしれません。そのため、親の注目を集める新しい教育手法が次々に生まれています。アクティブ・ラーニングやプレイフル・ラーニングと呼ばれるものもそれらのひとつです。人の学習について研究をしている慶應義塾大学環境情報学部教授の今井むつみ先生に、アクティブ・ラーニングやプレイフル・ラーニングの要素を家庭教育に取り入れるためのアドバイスをしてもらいました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
学びは夢中になる行為の副産物
皆さんは、人がいちばん学べるときはどんなときだと思いますか?それは、自分で「楽しい」と感じていて、それをもっと「知りたい」「やりたい」と思っているときです。もしかしたら、本人は学んでいるつもりがないかもしれません。でも、楽しくて夢中になる行為の副産物として「学び」が残るのです。
そういう過程で得た学びがいちばん深く定着する学びになるという考えから、いま教育界には「プレイフル・ラーニング」というものが広まりつつあります。
簡単にいえば、遊びと学びが連動していて、「遊びながら学ぶ」というものです。
遊びというと、たとえばアウトドアで体を動かすような遊びなどをイメージしがちだと思いますが、じつは学校での授業も内容によってはプレイフル・ラーニングと呼べるものになり得ます。本当に生き生きしている学級では、学び自体が完全に楽しく、ワクワクするものになっているのです。
その内容は、先生が睡眠時間を惜しんでひたすら考えてお膳立てをしたというようなものではありません。大切なのは、子どもになにをしたいのかを尋ねて子どもに決めさせること。同じものを学ぶにしても、子どもに主体を持たせるというわけですね。
知識は他人が入れようとして入るものではない
これまでの教育のほとんどは、学習指導要領をいかに解釈して、どれだけ効率的に子どものなかに知識を入れられるかという視点でおこなわれていました。そして、そういった授業こそがいいものとして評価されてきたのです。
でも、じつは、「生きた知識」は外から「入れ込む」ことはできないものです。とくに、子どもが興味を持っていないことに関しては、外から入れようと一生懸命に教師が頑張っても、それは子どもを素通りしてしまいます。