言葉が増えると感情までも深くなる。「国語辞典を使える力」が子どもの未来を明るくする理由
元号が変わり、言葉に対する興味が高まっています。今年は例年にない「国語ブーム」の予感がします。
こんにちは。ゆか先生です。5回に渡り、国語辞典がなぜ子どもに必要なのかということや、選び方、引き方など、いろいろなお話をして参りました。最終回は、まとめとして、国語辞典を使えるようになった子どもたちのその後、また子ども用辞典から一般の国語辞典への移行についてお話しします。質問もいくつか届いていますので、それにお答えしたいと思います。
国語辞典を使えると
第1回でもお話しましたが、辞書を引くとは「分からないことをどうやって調べるか」の基本動作を身につけることです。辞書が上手に引ける子は、調べ学習の基本動作が身につくのです。この動作に慣れてくると、辞書を引くことがおっくうだと思わなくなり、むしろ楽しむようになってきます。私の生徒の中にも、授業の途中で何回も辞書を引く子がいます。
例えば「これはどういう意味だか分かる?」と聞いた時、辞書を引く習慣がない子は「分からない」とか「知らない」と答えます。そしてそのままで、私が「これはね……」と意味を説明するのを受け身でずっと待っています。「分からない」と答え、まるで任務を果たしたような顔をする子もいます。「分からない」と思った段階で、ではどうしたらいいかという次の行動がとれないのです。
この状態は何も辞書に限ったことではありません。世の中の様々なシーンで見られます。
痛ましい事故が起きたらショックを受けるだけで、ではどうしたらそういう事故が起こらないようにできるかという考えまで発展しない、不利益を被ったら憤るだけで、対応策を練れない、そんな若い人もいます。どうして次の行動を考えないのか聞くと、それさえ「そんなこと知らなかった」と言います。「教えてもらっていない」というどうしようもない回答も。
もちろん、国語辞典がこれら全ての問題を解決するわけではありませんが、「分からない」→「調べる」の反射的な行動がとれるようになると、「問題」→「解決」の基本動作が楽になります。
また、当然ですが、辞書をよく引く子は、語彙が豊富です。知っている言葉を使う機会があると、どんどん使います。
そうして、もやもやとした気持ちやあやふやな考えを言語化して、より相手に伝わりやすくできます。
【例】
1. おもしろかった。
2. どれもこれもおもしろくて、まるで夢を見ているような一日だった。