子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら“格好悪い親”であれ
「非認知能力」とは、テストの点数や偏差値など数字で測れる認知能力に対して、数字では測れない力のこと。そこには、回復力、やり抜く力、自信、自己肯定感、リーダーシップ、主体性、社会性、共感力……など、さまざまな力が含まれます。
その非認知能力との出会いによって自身の人生を変えたのが、ライフコーチとして日米で講演会やワークショップを展開する、アメリカ・ワシントンDC在住のボーク重子さん。全米の女子高生が知性や才能、リーダーシップを競う大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」で娘のスカイさんが優勝したことでも注目を集め、出版された本は軒並みベストセラーになっています。
もちろん、ボーク重子さんの子育ての軸となったのも、子どもの非認知能力を伸ばすことでした。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/櫻井健司(インタビューカットのみ)
はじめての失敗で心が折れた子ども時代
子どもの非認知能力の有無によってどんなちがいが生まれるのか――。親であればとても気になるところですよね。
ここでは、わたし自身を例にしてお伝えしましょう。
子どもの頃のわたしは、「いい高校、大学、会社に入って、いい結婚をすれば一生安泰だから、とにかく勉強をしなさい」といわれて育ちました。わたしの親は少し教育熱心だったかもしれませんが、当時の「幸せへ向かうレール」に子どもを乗せようとする、ごく普通の家庭だったと思います。
わたしはいわれるままに勉強をしましたから、最初は学校の成績も優秀でした。ところが、中学生のある日、急に数学ができなくなったのです。いつも100点だったテストがいきなり70点になってしまった。そして心が折れた。いまならその理由がわかります。
それは、わたしの非認知能力がまったく育っていなかったからです。
当時のわたしは、「やりなさい」といわれたことになんの疑問も持たずに従っていました。いわゆる「いい子」です。だからこそ、自分で考えるということをまったくしたことがありませんでした。勉強も親や先生にいわれたことをやって、とにかく暗記を繰り返すだけ。学習内容の本質を理解していませんから、学習レベルが上がると一気に成績が落ちてしまったのです。
そこでわたしがどうしたかというと……勉強をやめてしまいました。というのも、賢くないと思われるのがすごく嫌だったからです。
「勉強をしなければ、『やればできるのに』と思ってもらえる……」。