親子で絵を語ろう! おうちで楽しめる「対話型鑑賞」のやり方とアート素材の入手方法5選
私「これは太陽?」
A君「お日さまだよ」
私「あぁ、お日さまなんだ、なんでお日さまなの?」
A君「目や口があるからだよ」
私「なるほど、目や口があるからお日さまなんだね」
A君「そうだよ、でも太陽って呼んでもいいよ」
これは先日、未就学児のA君が描いた絵についての、A君と私との対話です。短い中に、子どもとの対話のヒントが得られると思います。
ここで私はA君の言葉を訂正せずに復唱し、「お日さま」と名づけた根拠を尋ねました。それによってA君が「太陽」を擬人化することで呼び方を変えているのだと知り、同時にA君も私の「太陽」という名づけ方を受容してくれました。
こうした短い対話の中でも、作品を媒介に子どもの発言の論理的な思考の芽生えを理解し、刺激しながら、お互いを受容し、理解し合うという信頼関係が結ばれていきます。
印象深かったのは、私たち2人の対話をA君のお兄さん(小学1年生)が優しく見守っていたことです。お互いを認め合うコミュニケーションの場の空気感は、周囲にも伝播してゆくものなのですね。
子どもの7つの力を育てる「対話型鑑賞」を、家庭で実践してみよう
前回記事『人間の知の基本フレームは、小学生のときに形成される!?新たな美術鑑賞法「対話型鑑賞」が育む7つの力』では、アメリカ発の新しい美術鑑賞教育法「対話型鑑賞」によって、子どもの7つの力が育つのだとお話ししました。
では、7つの力である「観察力」「推論する力」「他者を受容して理解する力」「再考する力」「表現力」「自ら学ぶ力」「コミュニケーション能力」を育てるには、具体的に何をすればいいのでしょう?
近年、「対話型鑑賞」ワークショップを実施する美術館もなかにはありますが、地理的・時間的な問題から、誰もが参加できるものではありませんね。しかし、心配はいりません。
対話型鑑賞は、家庭で、親御さんと一緒に取り組むこともできるのです。今回から、親子が対話しながら芸術鑑賞をするうえでの実際の進め方や、子どもへの声かけのコツについてお話ししていきましょう。
素材選びのポイント:子どもの能力に限界を設けない
対話型鑑賞を始めるにはまず、素材が必要です。では、子どもと作品を鑑賞するにあたって、どのような素材を選んだら良いのでしょうか?素材を選ぶうえで、親御さんに必ず覚えておいていただきたい、大切なことがあります。