「つまらない本」を知ることも大事。図書館での“3千冊の乱読”から子どもが養う大事なもの
高学年になると図鑑は卒業?
小学4年生くらいで図鑑に見向きもしなくなる子どもが増えはじめます。その頃になると前頭葉が発達してくるからです。前頭葉は感情をつかさどる部分なので、徐々に人の気持ちがわかるようになり、そちらに関心が向くのです。「自分とは違うけれど、こういう暮らしや生き方をしている人がいる」ということを理解できるようになると、物語や伝記などが読めるようになってきます。そうすると、読む本ややりたいことが変わってくるというわけです。
子どもたちは成長の過程で本能的に、「この時期にはこれをして、これを会得しなければならない」と知っているかのように振る舞います。そして能力も変化していきます。赤ちゃんのころの驚異的な記憶力(これがあるから言語を習得できるわけです)や共感能力、耳から聞いたことで理解できるといった能力はだんだんと落ちていき、そのかわりに文字を読んで理解する能力、人の気持ちがわかる能力、客観的に見る能力などに取って代わります。
低学年で耕した頭に、高学年から種をまきはじめて、実の収穫ができるようになるのは高校卒業くらいでしょうか。大きな実が収穫できるように、小さな頃に子どもの脳を知識と本でしっかりと耕してあげたいですね。
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豊かな読書経験は子どもの将来への糧となることがわかりました。図書館をうまく利用して、日常的に本を手に取るようにしたいですね。子どもの読書量は親の読書量と比例するという調査結果が出ています。ぜひ親子一緒に図書館に出かけてはいかがでしょうか。
『改訂版調べ学習の基礎の基礎』
赤木かん子 著/ポプラ社(2011)
■ 児童文学評論家・赤木かん子さん インタビュー一覧
第1回:自由研究のテーマが簡単に見つかる「3つのキーワード」手法~調べ学習のコツ・前編
第2回:自由研究の“正しい”調べ方とまとめ方。絶対に守るべき「体裁の基本」~調べ学習のコツ・後編
第3回:図書館の本の9割は○○系!子どもに物語をすすめる親が図書館を活用しきれていない理由
第4回:「つまらない本」を知ることも大事。図書館での“3千冊の乱読”から子どもが養う大事なもの
【プロフィール】
赤木かん子(あかぎ・かんこ)
児童文学評論家。
長野県松本市生まれ。法政大学英文学科卒業。
子どもの頃に読んだけれどタイトルや作者名が分からなくなってしまった本を探し出す「本の探偵」