5歳児が市場調査から販売まで! ビジネスの基礎を学ぶイギリスの「エンタープライズ教育」
夏休み前の数週間、イギリスの小学校は楽しい行事が目白押しになります。6年生は全国統一の学力テストSATSを終え、再び体験型の学習が始まります。お天気に恵まれ、遠足や地元の自然観察が盛んになるのもこの時期です。
ある朝、学校にいくと4年生がみんなスーツケースを持っていました。
「どうしたの?」
「ニューヨークにいくの!」
教室のドアを開けたのは、フライトアテンダントさんの格好をした先生たち。前日からガイドブックを読んで観光名所を調べたり、歴史を調べたり……。飛行機での旅行を疑似体験する学習だったようです。あとで聞いたところ、授業中に「お飲み物はいかがですか?」と先生方がジュースを配ってくれたとか。
こんなふうに体験学習を得意とする下の子の小学校で、学年末に学校中の子供たちが参加するのが「エンタープライズ・ウィーク」。一週間丸々かけて、金曜日のエンタープライズデイのために準備をします。子供たちがとても張り切るエンタープライズデイは、一学年の終わりを飾るとても大切な行事です。
さて、一体どのようなことをするのでしょう?
子供がビジネスの基礎を学ぶ「エンタープライズ教育」
エンタープライズ教育は、子供にビジネスの基礎を学ばせるための教育です。国で定められているコア・カリキュラム(日本の学習指導要領のようなもの)には入っていませんから、どの程度重要視するかは学校によって違いがありますが、多くの学校で取り入れられています。
公民(シティズンシップ)の授業と絡めている学校や、お金のやり取りをすることで伸びる算数の能力を重視している学校もあるようですが、下の子供の学校では、様々な技能を組み合わせた総合的な学習の時間として、かなり重要な位置を占めているように思います。
一週間かけて、班ごとに事業計画を立て、売り物を準備し、当日の仕事の手分けを決めます。当日は2ポンド(約300円)分の小銭を持って買い物を楽しみ、決められた時間には自分の班に戻って売り子をするのです。
時計が読める年齢ですから、時計を見ながら時間配分を考えなくてはなりません。校庭まで含めた学校中に小さなお店が出ているのですから、時間管理ができないとあっという間に1日が過ぎてしまいます。
事業計画をたて、ものを作り、そして売る子供たち
週の終わりの金曜日にお祭りになるエンタープライズウィークですが、週のはじめの月曜日は事業計画作りから始まります。