音や文字に「色」を感じる!? 「共感覚」は何がスゴいのか
かつてはモーツァルトや宮沢賢治、現在ではスティービー・ワンダーなどが所持しているといわれる「共感覚」という現象をご存じですか?じつは、共感覚は赤ちゃんなら誰でも持っているものなのだそう。今回は、共感覚の概要や具体例、メリットやデメリットについてご紹介しましょう。
共感覚とは?
共感覚(シナスタジア)とは、ひとつの刺激に対して、1種類の感覚のみでなく、ほかの種類の感覚も覚える知覚現象のことを指します。いくつかの感覚が混合するようなイメージです。
代表的なのは「『大きい』は赤、『小さい』は青」など「文字に対して色を感じる(色字)」、「パトカーのサイレンの音は黒、消防車のサイレンの音は黄色」などと「音が聞こえると色を感じる(色聴)」といった現象です。その他、痛みに対して色を感じたり、数字に対して香りを感じたりと、さまざまなバリエーションがあるのだそう。
自身も共感覚者であり、共感覚に関する論文を多数発表してきた関西学院大学理工学部の長田典子教授は、文字に対する感じ方について次のように述べています。
ひらがなやアルファベット、数字、それから画数が少なければ漢字にも色を感じます。たとえば『あ』は赤で、『い』は白、『う』は白に近いグレーという具合に、それぞれの文字に色を感じるんです。数字だと、1は白、2はオレンジ、3は水色……と、やはり数によって違う色を感じます。(中略)色の見え方や感じ方は、共感覚者によって違います。『目の前にべったり色が見える』という人もいますが、私の場合は、このあたり(言いながら後頭部を両手で覆う)に色が浮かぶんです。目の前にはっきり『見える』というより、頭の中に『感じる』。
(引用元:現代ビジネス|「共感覚」の持ち主には、世界がこんなに違って見えていた)
赤ちゃんは共感覚を持っている!?
視覚と聴覚、嗅覚と味覚など、複数の感覚が作用する共感覚ですが、じつは、赤ちゃんの頃は誰もが共感覚を持っているという説もあります。赤ちゃんの脳は、視覚や嗅覚などの感覚を個別に処理する機能が未熟で、視覚や嗅覚が混在するケースがあるためです。
ワシントン大学心理学部教授のアンドルー・N・メルツォフ氏は、生後1カ月の赤ちゃんを対象に、共感覚にまつわる実験を行ないました。
その内容とは、表面がツルツルのおしゃぶりとボコボコのおしゃぶりのいずれかを、赤ちゃんに見えない状態でくわえさせたあと、赤ちゃんにそれら2つのおしゃぶりを見せるというもの。