キャンプに「せっかくだから」は不要! 子どもが自ら学ぶ、自然のなかでの“シンプルな”過ごし方
そこで、「だったら、自ら開こう」と決意したのです。そうして、1982年に今度はアメリカのコロラドにあるOBSに入学しました。約3カ月半のインストラクター養成コースを終えたあと、同じOBSでインストラクターのアシスタントを2カ月間務めて帰国し、ようやく国際自然大学校の設立にこぎつけたのです。
活動の柱は「キャンプ」「スキー」「通年型自然体験プログラム」
国際自然大学校の設立からすでに30年以上となりますが、その活動の柱は変わっていません。まずは「夏のキャンプ」と「冬のスキー」。これは、主に夏休みや冬休みなど長期休暇の時期に提供している、わかりやすくいえば体験つきのパッケージ旅行です。対象も年中さんから中学生まで幅広く、期間も日帰りのものもあれば最長で10泊といったものもありますし、場所もさまざまなところで開催しています。
それから、もうひとつの柱といえるのが「子ども体験教室」というもの。
こちらは、先のキャンプやスキーとは対照的に、通年型の自然体験プログラムです。年中さんから中学生まで年齢ごとに4つのコースを設け、毎回異なるプログラムをだいたい月に1回のペースで週末に行なっています。
たとえば、小学1年、2年を対象にしたビギナーコースにおけるテーマは「できる力UP!」。それをベースに、川遊びやアウトドアクッキング、地図を持っての探検、10kmのチャレンジハイクといったプログラムを用意しています。
「活動」より「体験」に重きが置かれるように変化
そういったわたしたちの活動を通じても感じるのは、教育という観点から「野外活動」「自然体験」への注目度が増しているということです。ですが、教育において野外活動という言葉は決して新しいものではありません。心身の健全な育成のためには野外活動が重要だとして、1961年に施行されたスポーツ振興法のなかですでに「野外活動」という言葉が使われているのです。
ただ、近年になると「野外活動」という表現は「自然体験」というふうに変わってきました。
2000年代に入って学校教育法が改正された際に、子どもたちに生活体験や自然体験などの体験活動の機会を豊かにすることは極めて重要な課題だとして、「自然体験」という言葉が登場するようになったのです。このように、「野外活動」から「自然体験」というふうに表現が変わってきたことを思えば、近年は「体験」ということにより重きを置く方向にシフトしていきているのかもしれませんね。