運動神経は成功体験で伸びる! 運動が「得意な子」と「苦手な子」の違い
その要因を僕なりに考えてみると、いまの子どもたちが体を動かす遊びをあまりしていないということにいき着きます。むかしはいまのように娯楽があふれていたわけではありません。だから子どもたちは、学校のグラウンドや公園を走り回り、木に登り、野球やサッカーなどのスポーツをする、あるいはベーゴマ、メンコといったもので遊んでいました。そういう遊びを通じて、子どもは基礎的な体力をつけ、体のメカニズムをうまく利用した体の動かし方も身につけたわけです。
メンコ遊びをするには、指先に体重をしっかり乗せて下に向けてたたきつけなければなりません。ベーゴマを回すには、手首のスナップといったかなり高度な運動が求められます。それらができなければ子どもは遊びの輪に入れないのですから、それこそ必死に練習をする。そうして、自然と運動能力を高めていったのです。
でも、いまはというと、公園では野球などの球技は禁止されていますし、ベーゴマも「現代版ベーゴマ」といえるような、誰でも簡単に回せるものになりました。また、遊びの輪に入ろうと思えば、ゲーム機を親に買ってもらうだけ済んでしまう。そのなかで頑張ることというと、いかにお金をかけるかというだけです。僕自身もゲームは大好きですが、子どもたちのためになっているかというと、そこは否定せざるを得ません。
一方で、子育てに関しては「習い事至上主義」ともいえる状況ですから、野球やサッカーのチームに所属している子どももいます。すると、チームに所属していて運動ができる子どもはどんどんできるようになり、そうではない子どもとの格差が開いていく。これが、子どもの運動能力をめぐる現状といえます。
でも、僕自身がそうであったように、とくに運動が苦手だと思い込んでいるような子どもたちには運動を通じて自分自身が変わるという体験をしてほしい。
子どもたちが遊びを通じて日常的に運動ができるという時代ではないのですから、それこそ親のリードやサポートの重要性が増しているように思います。
『『うんどうの絵本 全4巻セット(ボールなげ・かけっこ・すいえい・なわとび)』』
西薗一也 著/あかね書房(2015)
■スポーツひろば代表・西薗一也さん インタビュー一覧
第1回:運動神経は成功体験で伸びる!運動が「得意な子」と「苦手な子」の違い
第2回:どんな運動も“細かく分解”できる。子どもの運動能力を高めるために親ができること(※近日公開)