子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」
といったことをいう親も多いものです。
でも、考えてみてください。あなたの目の前につねにあなたに駄目出しをする人がいたらどうでしょうか。嫌な気持ちになるし、どんどん自信を失っていくでしょう。「うちの子はなにをやらせても駄目」という親は、自分の子どもに対してそれと同じことをしているわけです。
そうではなく、子どもの長所に目を向けて、その長所を子どもに伝えてあげる。それこそが、親がやるべきことです。わたしが講演会で親御さんたちによくやってもらうのが、「10分間で20個の子どもの長所を書き出す」ということ。
これをやると、子どもの見方がまったく変わります。
最初は、勉強やスポーツに関することなど、わかりやすいところに目が向くのですが、20個を書き出すとなると、「嫌な顔をせずにお手伝いをしてくれる」「友だちと仲良くできる」というふうに、普段はあまり意識していない点についても目を向けることになります。
そして、その長所を子どもに伝えてあげるのです。直接話してもいいですし、書き出したものを子どもの目につくところに貼ってもいいでしょう。それを見た子どもは、それこそ自立して生きていくために必要な自信を身につけてくれるはずです。
『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』
西剛志 著/ダイヤモンド社(2019)
■ 脳科学者・西剛志先生インタビュー一覧
第1回:家のなかに生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること
第2回:お手伝いで子どもの「自制心」が育つ“脳科学的メカニズム”
第3回:集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?
第4回:子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」
【プロフィール】
西剛志(にし・たけゆき)
1975年4月8日、鹿児島県出身。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、(一財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁入庁。
大学非常勤講師を兼任しながら、書籍出版、雑誌掲載、ノーベル賞受賞者との対談、世界旅行、結婚、当時日本に1100人しかいない難病の克服など、多くの夢を実現。その自身の夢をかなえてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、いい人生を歩むための脳科学的ノウハウを企業や個人向けに提供するT&Rセルフイメージデザインを2008年に設立。