“タンパク質不足”に要注意。子どもの頭をよくしてくれる、実は身近な「ブレインフード」
文・レシピ写真/栄養士・幼児食インストラクター笠井奈津子
構成/岩川 悟
乳幼児期に脳はグッと成長していく
身長は思春期にグッと伸びますが、気になる「脳」がグッと成長するのはいつなのでしょうか?実は、脳は3歳にして成人の約80%、6歳で約90%の大きさに達します。つまり、乳幼児期に大きな成長を遂げるということ。ほかの臓器と同じように、脳も食べものの影響を大きく受けますから、この時期になにを食べていたかはとても重要です。
とはいえ、発育曲線がゆるやかになるだけで、脳はその後も成長していきます。ですから、食を改善するのに遅いということはありません。勉強や運動そのものは本人にしかできなくても、食事ならばわたしたち親がしっかりサポートできます。脳の働きをよくする食材や食べ方を、この機会に学んでいきましょう。
近年、注目を集める「ブレインフード」
近年、脳をよくする食べものとして「ブレインフード」が注目されるようになってきました。脳は神経細胞同士がつながって発達していきますが、その働きを担っているのは神経伝達物質です。そして、この神経伝達物質が食べたものからつくられるからこそ、食事をおろそかにはできないのです。
たとえば、「幸せホルモン」とも言われる神経伝達物質「セロトニン」はアミノ酸を材料としますが、記憶力に関わる神経伝達物質「アセチルコリン」は「コリン」というビタミン様物質を材料とします。
アミノ酸はタンパク質の構成成分なので、いわゆる魚や肉などのメインのおかずをしっかり食べていることが大切。「朝は時間がなくてパンだけ」「麺類などお腹を満たす炭水化物がメインになりやすい」という食生活は要注意ということになります。多くの方が、野菜をとることは意識しても、「タンパク質=筋肉」と思いがちで、積極的に摂る方はそう多くないように見受けられます。「タンパク質が不足すると、脳の神経伝達物質の原料も不足する」と認識しておいてください。
では、「コリン」はどうでしょう?実は、コリンはとても身近な食材である卵に多く含まれています。卵の場合、卵黄に含まれるレシチンも記憶力や集中力の向上に役立つので、実に優秀なブレインフードです。
「子どもが卵アレルギーで……」という方も安心してください。卵に続いてコリンを多く含むのは、日本人にはとても身近な食材である大豆です。大豆ならば、納豆、豆腐、豆乳、きな粉など様々な加工がされているので、毎日飽きずに食事に取り入れることができますよね。