「ただの石でも化石に見える」? 自分で新たに生み出す経験が育むイノベーション能力
わたし自身、自分の子どもと砂場で「化石発掘ごっこ」をしたこともあります。砂場から出てくる石を化石に見立てて、恐竜のかたちに並べる遊びです。ただの石も、好奇心、創造性、発想力を持って見てみれば、恐竜の化石に見えるというわけです。
もちろん、子どもの好奇心、創造性、発想力が発揮される場面は、砂場遊びに限りません。たとえば、落ち葉遊びもそうでしょう。大人からすれば落ち葉はただのゴミかもしれません。でも、好奇心、創造性、発想力がある子どもにとっては、色のちがいに興味を持ったり、穴を開けてお面にしたりと格好のおもちゃになります。なにものでもないもので遊ぶ――そういうことの積み重ねが、将来的なイノベーション能力を伸ばすことにつながるのではないでしょうか。
アウトプットしなければイノベーション能力は育たない
じつは、わたしが2019年末に出版した『そうゾウくんとえほんづくり』(KADOKAWA)も、子どもの好奇心や創造性、発想力を伸ばすことをコンセプトにつくった本です。この本は、さまざまなワークをしていくことで、最終的にオリジナルの絵本をつくれるという内容です。もちろん、絵本の内容には正解はありません。だからこそ、子どもの好奇心や自由な創造性、発想力を伸ばすことができるのです。
わたしの娘もこの本を使って自分だけの絵本をつくっています。娘がいまいちばん興味を持っているものがハムスターですから、娘は絵本に登場するキャラクターもハムスターにしました。「1匹だと寂しくてかわいそう」といって、登場キャラクターはハムちゃんとスタちゃんという双子のハムスターです。そこからは、順を追ってストーリーを考え、絵本をつくっていきます。
この絵本づくりのなにがいいかというと、アウトプットそのものだからです。イノベーション能力は、ただ知識や情報をインプットしたからといって育つものではありません。これまでにない新しいものを生み出すのですから、アウトプットの経験を積み重ねることこそが大切なのです。
子どもがアウトプットしたくなるための大前提
でも、親が「アウトプットしなさい」といったところで、子どもがアウトプットするわけでもありませんよね?なによりも、その大前提として、子ども自身が大好きなものを持っている必要がある。わたしの娘の場合はハムスターが大好きだからこそ、ハムスターをキャラクターにした絵本をつくりたい、つまりアウトプットしたいと考えたわけです。