「子どもの嘘」の原因は「親の嘘」かも。子どもが親を信用しなくなる怖い嘘
にまつわる調査を実施しました。その内容は次のとおり。
まず、調査対象者に「子どものころに親にどんな嘘をつかれたか」を聞きます。たとえば、なにかをおねだりしたときに「今日はお金を持ってきていないからまた今度ね」と言われたことや、言うことを聞かなかったときに「いい子にしないとおまわりさんを呼ぶよ!」「早く来ないと置いていっちゃうよ!」などと言われたことなど、さまざまなパターンの嘘を例に挙げて、「親に嘘をつかれたことがあるかどうか」を聞き出しました。
そして次に、「大人になった今の自分は親にどのくらい嘘をついているか」をたずねたところ、子どものころに親が多く嘘を言っていた人ほど、大人になった現在、親に対して嘘をつく傾向が高いということが明らかになったのです。さらには、攻撃的で規則を破りやすいなど、社会的に好ましくない問題を抱えるリスクも高まると判明しました。
調査を行なったセトー准教授は、「親が子どもに『正直でいることが一番』と教えているにもかかわらず、嘘をついて正直でないところを見せてしまうと、子どもに矛盾したメッセージを送ることになる」と指摘したうえで、結果として子どもの正直さを欠いてしまうことにつながったのではと結論づけています。
親がつく嘘=「ダブルバインド」
もちろん親は、悪意をもって子どもに嘘をつくことはありません。
親が子どもに対して嘘をつくときは、「良かれと思って」「しつけのためにしょうがなく」などと、子どものためを思うがゆえに仕方がない場合が多いのではないでしょうか。
しかし、心理学に基づいた育児メソッドを提唱している佐藤めぐみさんは「親が良かれと思ってつく嘘であっても、子どもの正直さに影響を及ぼします」と忠告します。悪気があるかないかの判断は子どもには難しく、親の言葉をそのまま素直に受け取ってしまうからこそ、軽い気持ちで嘘をつくことには気をつけなければなりません。
親がつい言ってしまうのは、「おもちゃを片づけないなら全部捨てちゃうからね!」「今度またいたずらしたら、もううちの子じゃないよ!」「好き嫌いばかりするなら、もうごはん作ってあげないからね!」など、決して実行に移さない非現実的な内容なのではないでしょうか。これはすなわち “嘘” であり、「ダブルバインド」とも呼ばれます。
「ダブルバインド」とは、相反するメッセージの間で板挟みになった相手が、最終的には従わざるをえなくなるコミュニケーションパターンのこと。