困難に立ち向かえる自信のある子の育て方。何より大切なのは親子間の「アタッチメント」
が重要なことについては、想像しやすいものでしょう。自分の感情をコントロールできず、場や相手を考えずに喜怒哀楽を周囲にぶつけていては、いい人間関係を築くことはできません。
人間には、「他者とうまくつき合う力」が欠かせません。どんなに一匹狼に見える人でも、人間は社会のなかでしか生きられない生き物だからです。そして、他者とうまくつき合うためにも、「感情をコントロールする力」をしっかりと身につけなければならないのです。
この「感情をコントロールする力」が育っていない子どもは、駄々をこねたりかんしゃくを起こしたりするようなことが増えます。もちろん、イヤイヤ期の影響もありますが、一般的なイヤイヤ期を過ぎてもかんしゃくを起こすようだと、アタッチメントの形成が不十分であることのほか、子どもが日常的にストレスを感じていることを疑ってもいいかもしれません。
ついさっきまで機嫌がよかったのに、突然かんしゃくを起こすなど感情をコントロールできなくなる子どもには、ストレスに弱いという特徴があります。
そして、どういう子がストレスに弱いかというと、日常的にストレスを受けている、虐待や体罰を受けているような子どもです。
虐待や体罰などによって強いストレスを受け続けると、ストレスに強くなるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、実態は真逆。ストレスを受け続けた子どもは、ストレスに対して敏感になり、ちょっとした嫌なことに対してもストレスを感じてしまうのです。もし子どもが頻繁に感情をコントロールできなくなるというなら、「しつけのつもりで虐待をしてしまっていないか」というふうに、自身の子育てを冷静に振り返ってみてください。
子どもの成長の鍵を握る「親の子離れ」
また、子どもがしっかりと自分自身で感情をコントロールできるようになるには、「親の子離れ」も欠かせない要素だということも、加えてお伝えします。いつまでたっても親が子どもを慰めるように、子どもの感情をコントロールしていては、子どもは自分の感情をコントロールする実践の場を経験できません。この子離れについては、いまの親は大きな問題を抱えているように思います。たとえば、わたしが勤める京大の卒業式を見ても、学生の親がついてくるケースが本当に多いのです。
わたしが学生だった頃は、大学の体育館で卒業式をしたものですが、いまは同席する親があまりに多いために、大きなイベント会場を借りて行わなければならなくなっているくらいです。