親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?
「時代の変化が激しい」「先行きは誰にも見えない」――。いまという時代を指してよく形容される言葉です。では、いまから30年後の2050年はどんな時代になっているのでしょうか?少々無茶なお願いと知りながら、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんに予測してもらいました。そして、そんな時代に必要な力とはどんな力なのでしょう。併せて中曽根さんに答えてもらいます。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人
子どもたちの65%は、いまは存在しない職業に就く
みなさんは、1990年に、その30年後であるいまの社会を想像できたでしょうか?時代の流れが加速度的に速くなっていることを思えば、いまから30年後の2050年の社会となると、それこそ誰にも予測できないはずです。それどころか、新型コロナウイルスの影響で、数カ月先の見通しを立てることさえ難しい事態に陥っています。
ただ、このことで、人は国境を越えてつながっているということをなおさら実感するようになっています。もしかしたら、30年後には、宇宙空間までも含めて、遠く離れた場所にいる人やものがつながっていくという世界になっているのかもしれません。
そして、社会の変化に伴って変わるのが仕事です。1990年に、30年後にはユーチューバーという仕事があるなんて誰にもわからなかったはずです。よくいわれる話ですが、AIの進化によって、いまの子どもたちが大人になったとき、その65%はいまはない職業に就く可能性が高いという研究もあるほどです。
しかし、予測よりもっと早く、「アフターコロナ」には社会は一変するかもしれません。実際、外出が禁止されたことで、リモートワークが予測より早く広まり、働き方も大きく変わっていきそうです。学校教育もオンライン教育が普及するでしょう。
私たちはいま、歴史的な大きな転換期に遭遇していて、社会はもちろん、働き方、そして生き方も含めて、もっと多様な時代になっていくのではないかと感じています。
これまでの教育で培われる力だけでは、今後は生きていけない
では、そんな時代を生きていくいまの子どもたちには、どんな力が必要とされるのでしょうか?それは、「21世紀型能力」と呼ばれる力です。2020年から施行された新しい学習指導要領では「生きる力」と表現されています。それについて、わたしなりの解釈をお伝えします。
これまでの教育では、いかに知識をたくわえるか、そしてその知識を決まった手順に沿ってアウトプットできるかという能力が重視されてきました。