子育て情報『学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない』

学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない

ところが、経済界からは「欲しい人材が育っていない」という声が以前から相次いでいました。

そこで、大学入試を変えれば、その前にある高校、中学校、小学校の教育も必然的に変わっていく。そうして、実社会で求められる人材を育てようというロジックで大学入試改革が進められることになったのです。でも、当初予定されていた英語民間試験や記述式問題の導入が延期となるなど、現在は大学入試改革がトーンダウンしているのが実情です。

しかし、仮にこのまま大学入試改革が頓挫して、結局かつての入試と同じようなシステムに戻ってしまったら、「日本の未来はない!」というくらいにわたしは考えています。

先にお伝えしたように、大学入試改革に先んじて2020年から、高校、中学校、小学校の教育も変わっていきます(インタビュー第1回参照)。そのベースとなるのが、新たな学習指導要領。それは、これまでの教育とは異なる「生きる力」を伸ばすことを目指したものです。
さらに、現在のコロナ危機で学校が休校に追い込まれ、オンライン化が加速しているなかで、学校教育の意味が問い直されています。もし、学校関係者が、単にコロナ禍の前に戻すことだけを目指すなら、日本は世界の潮流からも完全に遅れを取ることになるでしょう。

さて、文科省によれば、生きる力とは具体的に「学びに向かう力、人間性」「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」とされています。明らかに、これまで重視されてきたような知識をたくわえる力とは異なるものであり、どれもとても重要な力ですよね。その教育が本当にしっかりと定着するのか。そして、その教育で子どもたちが身につけた力を大学がきちんと評価できるのか。そこに大学入試改革が実を結ぶかどうかの鍵があるように思います。

中曽根陽子さんインタビュー_学歴の価値はどう変わるのか03


今後は学歴が持つ価値が変わっていく

大学入試改革にはじまる日本の教育全体の改革が進めば、「これからの社会で求められる人材」が育つことになるでしょう。
ただ、わたし自身は、これからは学歴は万能ではなくなると思っています。もちろん、これからも学歴はある程度の武器にはなるでしょう。でも、「あの大学を出るくらいのポテンシャルを持っている人なんですね」という程度の評価基準になるのではないでしょうか。それよりも問われるようになるのは、先の欧米の大学入試ではないですが、その人自身がなにをしてきたか、なにができるのか、なにをしたいのかといったトータルの人物像でしょう。

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