“ほぼ無意味” な復習をしていませんか? 学習内容をすべて記憶する「正しい復習方法」
「個々人の経験則ではなく、統計データなどの科学的根拠に基づいた知見を入れて教育をとらえ直そう」という「エビデンス・ベースド」の考え方を手がかりに、さまざまな視点から算数教育を見つめてきた本連載。今回からは2回にわたって、データから見えてきた正しい学習法のヒントをご紹介したいと思います。
自宅での学習は、大きく分けて「予習」と「復習」のふたつに分類できます。みなさんは、どちらに力を入れていますか?勉強しているのに成績が伸びない……と悩む人は、じつは「復習」を軽視しているケースが多いことがデータからわかりました。逆に言えば、復習を上手に日々の勉強に取り入れれば、伸び悩んでいた成績をグッと成長させることができるかもしれません。
今回は、データに基づいた「正しい復習方法」についてお話しします。
学習内容をすべて記憶する「復習のタイミング」
まずはこちらのグラフをご覧ください。
※画像はRISU Japanにて作成
これは、「エビングハウスの忘却曲線」と呼ばれるグラフ。いままでの経験と関係ないことを記憶したときに、人間がどれくらいの期間でそれを忘れてしまうかを表しています。このグラフからわかるのは、「人間は、物事を記憶した1日後にはその74%を忘れてしまう」という事実(本来はもっと複雑なデータなのですが、ここではこれくらいの理解で大丈夫です)。私と同じ40代で、「最近物忘れがひどくって……」と嘆いている人がいますが(笑)、もともと人間の記憶力は、私たちが想像している以上に頼りないものなのです。
次に、こちらのグラフをご覧ください。
※画像はRISU Japanにて作成
グラフの青い線は通常の記憶の定着率、オレンジの線は復習をした場合の記憶の定着率を表しています。このグラフは、「学習から2日目に10分」・「学習から7日目に5分」・「学習から30日目に2〜4分」の復習を行なうことで、学習内容のほとんどを覚えておけることを示しています。
適切なタイミングの復習が、記憶の定着率をアップさせるのです。
逆に言えば、復習を適切に行なわなければ、せっかく学習した内容もどんどん忘れてしまうのです。これらのグラフから、正しい復習の重要性がおわかりいただけたと思います。
やり方によっては「ほぼ無意味」の復習とは?
たしかな算数の力を身につけるために欠かせない復習ですが、やり方によっては「ほぼ無意味」