“心が折れる” 子どもが増えた? ストレスを回避する「エゴ・レジリエンス」の鍛え方
に加えて、一時期話題になった「ほめる子育て」「叱らない子育て」も、折れやすい心をつくる一因になっているのだそう。心理学博士の榎本博明氏は、次のように指摘しています。
わが子の気持ちを傷つけないように言葉づかいに気をつけたり、ひたすらほめてわが子をポジティブな気分にさせるように気をつかう親が増えてきてから、子どもや若者の心はたくましくなっただろうか。嫌なことがあっても、思い通りにならないことがあっても、傷ついたり落ち込んだりせずに、前向きにがんばり続けられるようになっただろうか。むしろ逆に、心が折れやすい子どもや若者が増えたのではないか。
(引用元:Business Journal|「ほめる子育て」「心を傷つけない子育て」が、我が子の将来を不幸にする)
わが子を傷つけないようにと配慮しすぎることで、逆に傷つきやすい心が育ってしまうというのは、なんとも皮肉ですね。しかしこれは時代の流れという点で仕方がないのかもしれません。
次のデータを見てください。
20歳前後の大学生と30代以上の社会人を対象に榎本氏が独自に実施した調査では、以下の結果が出たそうです。
「小学校時代に先生からよくほめられた」
ー大学生:53%30代以上:37%
「父親からよくほめられた」
ー大学生:34%30代以上:20%
「母親からよくほめられた」
ー大学生:61%30代以上:36%
いずれの質問も数字に大きな差が見られます。このように、いまの若者たちは小さい頃から頻繁にほめられて育ってきているのです。
さらに、指示待ちで自分から動けないという学生たちに、子ども時代のことをたずねたところ、「親が先回りして自分が困らないように教えてくれたり手伝ってくれたりした」「親が口うるさくあれこれ指図するのでうっとうしかったが、いつの間にか親を頼るようになっていた」というケースが目立ったのだそう。
子どもが幼いうちはそれほど大きな問題にはなりませんが、成長するにしたがって、現実の社会の厳しさに直面するようになります。思い通りにいかなかったり、努力が報われなかったりすることも山ほどあるでしょう。そのたびに深く落ち込み、前を向くことができなくなってしまったら、何事にも対処することはできません。
そこで求められるのは「傷つかないこと」ではなく、「傷ついても気持ちを立て直せる力」、いわゆる「エゴ・レジリエンス」