「あとでね」が続くと、子どもは絶望感に襲われる。ママは私が嫌いなの?
子どもが一生懸命に話しているときに「あとでね」と遮ったり、ほかのことを考えながら気のない返事をしたりしていませんか?宍戸さんは、「子ども自身が『親に話を聞いてもらえていない』と感じることで、『話しても仕方がない』『話すとかえって嫌な思いをする』と受け止め、次第に親と話をしなくなる」と警鐘を鳴らしています。
■「親の代わり」を求めるようになる
児童精神科医の故・佐々木正美さんは著書のなかで、保育園で保育士の関心をひとりじめしようとする子が増えてきたことに言及し、子どもたちが「お母さんの代わりを保育士さんに求めている」ことを指摘しています。「あとでね」と言われたまま放っておかれると、その寂しさや満たされない気持ちを、保育士に埋めてもらおうとするのです。
次第に、保育士に自分のほうだけを向いてもらおうとしていたずらをしたり、わざと困らせるような行動をとったりする「注意獲得行動」につながっていくこともあるそうなので、注意が必要です。
このように、普段なにげなく発してしまっている「あとでね」ですが、この言葉がもたらす弊害は想像以上のようです。とはいえ、「あとでね」を使わずに忙しい日々をやり過ごすことはできませんよね。できれば子どもに悪影響を与えないように、「あとでね」とうまく付き合う方法について考えていきましょう。
「あとでね」と言うより、簡単な方法もある!
「あとでね」を言わざるを得ない状況になったときには、子どもを傷つけないように意識する必要があります。
またどんなに忙しくても、先々のことを考えてその場で対応したほうがいいケースも。詳しく見ていきましょう。
■「いまは無理」の理由を説明する手間を惜しまない
発達心理学と幼児教育が専門の東京学芸大学教授・岩立京子さんは、「面倒くさいという理由で『あとでね!』と言うのはなるべく避けたほうがいい」としたうえで、「要望を少し先送りにする “満足の遅延” というのは、子どもの心の成長においてとても大事」と述べています。親が「いま、対応できない」ことに、子どもなりの納得を導いてあげることで、子どもの「待つ力」が育ちます。
最も重要なのは、子どもの気持ちをしっかりと受け止めて、理由を説明するひと手間を惜しまないこと。たとえば、料理中に「遊ぼう」とせがんできた場合、「お母さんも○○ちゃんと一緒に遊びたいんだけど……」と、子どもの気持ちを受け止めましょう。