子育て情報『コミュ力だけで世間は渡れない?“コミュ力自慢”の子の「適性」と「落とし穴」』

2017年10月17日 19:18

コミュ力だけで世間は渡れない?“コミュ力自慢”の子の「適性」と「落とし穴」

●コミュ力自慢の子どもたちに共通する“落とし穴”

コミュ力自慢の子どもたちのママのみなさんによく注意していただきたいのはむしろここからの話です。

お子さんたちが目指しているような世界には経済社会学的にみるとある特徴があり、その点の認識が甘いと思わぬところで足元をすくわれる怖れがあるからです。どういうことでしょうか。

わが国の地域経済の世界は強固な地縁・血縁で結ばれた共同体である場合が多く、大半のケースで“世襲”の後継者たちが地元経済圏にある個別企業を経営しています。

こういう経営者やリーダーの人たちは概して面倒見がよく親切ですので、お子さんたちが現状にこれといった疑問を持たずに目の前の仕事に専念している限りにおいては彼らから可愛がられ、円滑な関係が期待できるでしょう。

地域経済に限らず全国規模の経済界も体質的には大体同じです。

『ヤンキー化する日本』の著者で精神科医の斉藤環先生はこの体質のことを“ヤンキー体質 ”という言葉で表現しています。

斉藤先生によればわが国の経済社会は『統治する側とされる側が同じ体質』(ヤンキー体質といってもいいし、コミュ力第一主義といってもいい)であるため基本的に「安泰」な社会ではあるけれど、そのかわりに大きな発展もなく閉塞的な社会でもあると指摘しています。


つまり、コミュ力自慢の子どもたちにとっての落とし穴は、いったん社会人になったあとで「もっと上の世界を目指したい」という気持ちに目覚めてしまったときに、日本の国内にはなかなかそれを受け入れてくれる体質がない ため苦労しがちである、ということなのです。

具体的な例を挙げるなら実際にこのような話があります。

『小学生の頃からコミュ力抜群だった同級生のSさんは専門学校を卒業した後、地元のC市で幅広い事業を営む地域有力企業であるK社という同族会社に就職。地元での顔を生かして30代で部長になった彼はサラリーマンに飽き足らずC市の市会議員選挙に立候補して見事に当選。C市では最年少の市会議員になりました。ところが議員になってからC市のエネルギー政策の遅れに気づいてしまったSさんは自然エネルギー化の推進を訴えて後援会長でもあったK社の3代目社長と対立。執拗ないじめと“村八分”に遭い、再選を期した市議選では落選してしまったのです』(30代女性/都内C市在住、主婦)
Sさんがもし自然エネルギーの研究者との交流や研究内容そのものへの造詣、そして自然エネルギー化を願う市民との対話をもっと持っていたなら、再選されていたのかもしれません。

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