一人親でも問題ナシ! 子どもの非行と親の離婚が関係しないワケ
その経済状況は過酷であり、幼少年時代は食べるものが足りなくてカマキリの足をかじったり公園の草やタンポポを採って食べたとのこと。
風間さんが小学生になると祖父は認知症を発症し、祖父が部屋の壁に排泄物を塗るたびに風間さんが水で洗い流したそうです。
普通なら中学生くらいからグレて、不良になってしかるべきような生い立ちだと思うのですが、風間さんはおばあちゃんと、認知症を発症してしまう前のおじいちゃんから「愛されている」という確信を持っていたため、反社会的な道に進もうなどと思ったことは一度もなかったそうです。
この例は、家族という身近な大人から愛されていることさえ確認できれば、子どもは極端に問題ある行動へは向かわないという田中伸明医師の説を裏付けているということができるでしょう。
●離婚によって「一人親」になってしまったことが問題なのではなく、「愛してくれる家族の存在を確認できない」ことが問題
筆者には中学1年生の男の子がいます。例にもれず反抗期・思春期の真っただ中で、母親に対しても、父親である筆者に対しても、時折とても反抗的な態度をとります。
とくに筆者の息子は、結婚して家を出た姉が2歳の男の子(息子にとっての甥)を連れてよく遊びに来るため、小さな甥に対しては兄のように接しなければいけませんので、知らず知らずのうちにストレスもたまっているのだろうと思います。サザエさんの家におけるカツオくんがそうですよね。
また、筆者が生まれ育った昭和の戦後期と違い、若者や子どもに対して厳しい今の日本社会で生きて行かなければならない息子に対しては、筆者も妻もついつい将来のことを案じてしまい、口うるさくなってしまう傾向があります。
田中伸明医師は、そういった口うるささが愛情から発せられているものなのか、それとも子どもを疎ましく思う感情に由来するものなのか、子どもには敏感にわかってしまうといいます。
田中先生によると、『この時に家族の愛情を確認することができないと、子どもは失望し問題行動をとるようになります。汚い言葉でののしる、部屋に閉じこもる、暴力をふるうといった反抗は、親からの愛情が十分でないと感じたときに出てくるのです』とのこと。
これがたとえば親の離婚による一人親家庭であったとするならば、一人親であること自体が問題なのでは全くありません。自分を引き取って育てることになった大人の家族(母親にせよ父親にせよ)