国立大生の10%が該当!? “発達障害者”が天才へと育つ環境の作り方
こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。
筆者の中学高校時代の友人で、“絵を描くことが大好きな子”が3人いました。
それぞれ描く絵のモチーフも技法も違うのですが、共通するのは3人とも時間さえあれば(時に、絵を描いていてはいけないときでも)いつでも絵を描いていたこと。 3人とも人とのコミュニケーションはあまり得意でなかったこと。そして3人とも、いってみれば“気が利かない”人間であったことです。
3人が医師の診断を受けたと聞いたわけではないので無責任なことは言えませんが、3人とも陰で「発達障害ではないか」と言われるような個性を持った人たち で、その後1人は“巨匠”と呼ばれる漫画家になり、1人はイタリアに渡って世界的なカーデザイナーになり、もう1人もその世界では知らない人がいないほど有名なメカニックデザイナーになりました。
ちなみにこの3人や筆者が通った中高は、“変わり者”を許容してくれる学校ではありました。
精神科医で小児科医でもある竹川敦先生は自身が院長を務める仁和医院のホームページの中で、『発達障害児から自由人へ、そして天才へと変わっていった ような人たちこそが、現代のこの便利で文化的な世の中を作ってくれた』という主旨のことをおっしゃっています。
今回は、知的な遅れはない“高機能広汎性発達障害”と思われる子が天才へと育っていける環境はどうすれば意識して作ることができるのか、精神科医の見解を参考にしながら考えてみたいと思います。
●国立の大学生の10人に1人は発達障害
竹川先生は仁和医院のホームページで発達障害を、『いわゆる対人コミュニケーション能力、問題解決能力、臨機応変さ、想像力や気を利かせる能力などの低下を認めるものの総称』と定義しています。
そしてそれは『遺伝的な脳の構造の問題なので治るものではない 』とし、『自分の性格傾向を周囲の人に説明できるようになること、生き方の工夫をすることが治療である』と述べています。
障害の程度や重複の有無、生活環境や年齢などによっても症状は違ってくるため、一言で発達障害といっても相当に多様な精神医学的概念であるということができるでしょう。
知的な遅れがなく普通に日常生活が送れるためにあえて専門医の診断を受けることもない“高機能広汎性発達障害と思われる人”も含めると、『発達障害は今の学童の5%、国立の大学生の10%はいる 』と、竹川先生は指摘しています。