ハードな運動をしている子どもに推奨される「とにかく量を食べなさい」の弊害とは?
という先入観を持たないでほしいということです。ただでさえ忙しいのに、がんばり方を間違えて効果的でない食事に労力を使っていたとしたら、こんなにもったいないことはありません。
「料理にかけられる時間、コスト、そもそも料理が得意か苦手かって、本当に人それぞれなんですよね。だからこういうお話をするときは、どこに向けて話をしたらいいのかとても迷うんです。でも、現実的にできることから始めることが大切です。『できるだけ食材を買ってきて自分で調理したい』という人も、『働いているから土、日くらいは手作りしたい』『出来合いの食材を組み合わせて最低限のバランスを取りたい』人も、簡単な栄養知識があれば確実に変えられることがあるんです」
■ガス欠の原因にも!とにかく量を食べなさいは間違い!?
ここからはもう少し話題を絞って、スポーツをする子どもたちの栄養について柳生さんにお話を聞いていきましょう。
一般的に運動をしている子は「とにかく量を食べること」が推奨される傾向にあります。食べることも練習、いまどきの子は食が細いから無理にでも食べさせた方がいいという情報を耳にした人もいるのでは?
柳生さんは、「足りていないのは量ではなく質」だと言い、量を食べることによる弊害もあると言います。
「前提として、小学生くらいの子どもたちは細胞が活発に分裂を繰り返し、それが身体的な成長につながっています。身体が小さいから大人の半分の食事量でいいという考えは間違いです」
だからと言って、柳生さんは「足りていない」ことに対する勘違いを指摘します。
「カロリーと栄養素の違いでも説明しましたが、足りないのはカロリーではなく、栄養です。いまの食事の内容を見ていると、炭水化物、たんぱく質、脂質は十分すぎるほど取れています。でもそれを有効に使うためのビタミンやミネラルが不足しているんです」
相互関係にある栄養素は、特定のものを多くとっても意味がありません。それどころか、弊害さえあると言うのです。
「子どもの肥満が問題になっていますが、これはカロリーや特定の栄養素がオーバ-して、それを使うための栄養が不足している典型です」
運動をしている子どもたちが"スタミナ切れ"の状態になっているのは、食事の絶対量が足りないのではなく、摂った栄養素を効率よくエネルギーにできないためなのです。つまり、「とにかく白米をどんぶり3杯食べよう」