選手の情熱を掻き立てるのが指導者の務め、全国制覇複数回の元流経柏・本田裕一郎監督が語る目標達成への「早道」とは
千葉県の市原緑高校、習志野高校、流通経済大学付属柏高校をサッカー強豪にし、高校サッカー選手権や高校総体で複数回の全国制覇を達成した本田裕一郎さん。
これまで45年にわたって高校サッカー部の監督として育成に携わり、今年からは国士舘高校でテクニカルアドバイザーに就任するなど今なお新たな挑戦に挑んでいる名将に、今だからこそ若い指導者に伝えたいことを伺いました。
(取材・文:元川悦子)
国士館高校サッカー部(2020年3月19日撮影)
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■SNSツールの弊害がサッカーの現場にも
千葉県の市原緑、習志野、流通経済柏で45年間にわたってユース年代の指導に携わり、高校サッカー選手権や高校総体で複数回の全国制覇を達成しているのが、本田裕一郎先生です。2006年ドイツワールドカップ日本代表の玉田圭司(長崎)らを数多くのプロ選手を育てた名将は、2020年1月から国士舘高校でテクニカルアドバイザーに転身。新たなチャレンジに打って出ています。
新天地ではトップチーム約30人を主に指導していますが、「笑ってグラウンドに立つ」と新たな目標を設定。明るく接しやすいイメージを作ろうと心掛けています。
「練習前からしかめっ面だとチームのモチベーションは上がりません。
そう気づいて、『今日は元気?』『目標は何?』とまず笑顔で選手に話しかけ、彼らの考えを聞くところからスタートするようになりました。
昨年まで指導していた流経柏はAチームの9割方が『プロを目指す』という目標をハッキリと持っていましたが、国士舘の場合は『全国大会に行きたい』という子がほとんどで、プロを目指しているのは1~2割程度。それはそれでもちろんいいのですが、全国に行くためにやらなければいけない具体的なビジョンをうまく描けないのかなと感じます。それを自分から言葉にして説明できればいいんですけど、今の子どもはコミュニケーション不足なのか、何か聞いても一言二言で終わってしまう。それも目標達成の足かせになっていると思いますね」
本田先生がコミュニケーション不足の最大要因だと考えるのがスマートフォンの普及。昨今は『LINE』などの通信アプリで簡単にやり取りできるので、子どもたちが言葉を発しなくていい環境になっています。それがサッカーの現場にも影響しているというのです。