2021年8月6日 13:31
「可変式」は難しすぎる? 海外の戦術トレンドを小学生に紹介してもいいか教えて
今やっている11人制への移行の中で混乱させてしまうことを心配しています。
池上さんのお考えをお聞かせいただけると幸いです。
<池上さんのアドバイス>
ご相談いただき、ありがとうございます。
私としては、小学生の段階で覚える必要はないと考えています。
■守備の人数は変えられない、と子どもたちが思い込まないように指導しよう
例えば、4バックで守っているゲームのなかで、状況を見てベンチから「ひとり前に出ていいよ」とアドバイスするのは、決して悪いことではありません。相手が3人で攻めてくる状況であれば、ディフェンダーがひとり余っている。もしくは相手のフォワードが1トップなら、守備は2人いればいい。その両方とも、ひとり前に上げればいいわけです。
守備が余っているほかには、試合運びのなかであまりパスが回らないといった状況が見られれば、試合中であっても守備の人数を減らせばいいと思います。逆に、4人で守っているときに5人で攻めてきたら、中盤からひとり下がってもらわなくてはいけません。
いずれにしても、4バックや3バックなど、守備の人数が決まっていたら変えられないんだと子どもが思い込まないよう、指導してほしいと思います。自分たちで自由に考えてプレーすることが重要だと伝えてください。
攻撃にしても、守備にしても、基本的なことを学ぶのが小学生年代です。言葉にとらわれず、原理原則を小学生の間に理解させることが、この年代の指導者には求められます。
マークするというのはどういうことなのか。サポートするというのは、いったいどんな動きなのか。
何を意味するのか。そして、カバーするとはどんなものか。そんなことを自分たちで考えられるよう、指導してあげてください。
■3-3-1か、2-3-2かなどのシステムより重要なこと
日本の小学生年代は現在8人制です。11人制から8人に転換した際「どんなシステムが一番最適なのか」といったシステム論が盛んに取りざたされました。3-3-1がいい。いや、2-3-2だ、といった具合です。当時は、3-3-1をしいたJリーグの下部チームが強かったため、全国大会に出場するチームはほぼ3-3-1を選択していたと記憶しています。
私はそれらを受けて、子どもたちがどんなシステムで戦うかということが問題ではなく、全員で攻めて守ることが重要であることを口酸っぱく言い続けました。