威嚇するS級コーチのもとに卒業までいさせていいのか問題
■お子さんが「自分がダメだから......」と考えてしまわないよう、心のケアを
(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
そして何より重要なのは息子さんのこころのケアです。
息子さんは何も悪くないこと。暴力や暴言をするコーチから離れるべきであることをぜひ伝えてください。暴力の被害者の多くは「自分がダメな選手だから、代表を怒らせてしまう」と考えがちです。
手法が旧い指導者は激しく怒った後に「お前には期待しているよ」とやさしい言葉をかけ、それを「フォローしているから自分はいいコーチだ」と思い込んでいます。しかし、子どもはどちらのコーチが本当の姿なのか混乱します。混乱し自分を責めてしまい心を病んだりするケースは少なくありません。アメとムチはとても旧いやり方です。
自分だけで悩まず、ほかの保護者やご家族で話し合ってみましょう。よき方向に向かうことを祈っています。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。
『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。