「月謝を払っているんだから上手くして」かけたお金=上達ではないのにサッカーでもコスパを求める保護者にどう説明したらいい?
■親世代が受けた指導と180度違うので「教えてくれない」と解釈してしまう
ところが、親御さん世代が受けた教育やスポーツ指導とは180度違う性質のものなので、彼らからすると、「コーチは子どもに何も言ってくれない」「ほったらかしで教えてくれない」と解釈してしまうようです。
ここは、指導者自らが親御さんたちに向けて「こんな理由で、こんな方針をたて、このような指導をしている」ときちんと説明しましょう。
■トレーニングがアジャストしていない可能性も
もうひとつのチェック項目は、トレーニングの質です。トレーニングそのものがアジャストしていなくて子どもたちが上達しない、という側面があることも忘れてはいけません。
コーチとして、自らの指導を省みることはなかなか難しいことですが、サッカー経験のない親たちが「上手くなっていない」と言うのであれば、余程のことかもしれません。
例えば、私のトレーニングは毎回メニューが変わります。そのうえ、同じメニューを長々とやりません。これができたから次に移る、という考え方ではないのです。同じことを長くやってしまうと、子どもは飽きます。短い時間で目先を変えてどんどんやるほうが、子どもたちは楽しくやれます。
■ミニゲームでは練習のテーマを思い出させる声掛けを
ご存知のように、練習は「マッチ‐トレーニング‐マッチ(М・T・М)」といって、最初にミニゲームをして、そこで足らないものを練習し、最後にまたミニゲームをしてその日練習したことにトライしてもらいます。ミニゲームの質が、最初と最後で変わっていることが目に見えてわかる。それが理想です。
例えば、最初のゲームでワンツーをもっと使おうという目標を定めます。それに付随した練習を行った後、最後にミニゲームでワンツーをどんどんやってもらいます。そうすると、ミニゲームでの勝敗などに懸命になってしまい、どんなテーマでその日練習したのかを子どもたちは忘れがちです。そういうときこそコーチの出番です。
「今日は何を練習したかな?」
「今のところ、サイドでワンツーができたよね」
そんなふうに声掛けをします。
できているチームや選手をほめたり、できないときに「どうしたらできるかな?」と尋ね、自分で考えてもらいます。
このあたりは決して親受けを狙うわけではありません。必要な指導を、必要な場面で行う。これが重要です。このようにいつも質問を投げかけながらトレーニングをする方法は、フィードバックと言われています。