狭いところでも「止める」「蹴る」ができるようになる方法を教えて
は強いのに、大人になると弱くなる傾向があることも知ってほしいと思います。
ほかにも、オリンピックに出場する選手を見渡すと、20~30代が出てくる米国などのスポーツ先進国と比べると年齢層が低いです。彼らは高校や大学になって、自分の専門種目を決めます。日本のような全国大会もないため「ここで勝たなくては」「他人より秀でなくては」と焦らなくて済みます。
対する日本は「小学生で勝てるように」と目の前の勝利や成果を追って、小さいときから教え込んでしまいます。
■日本の子に足りないのは技術より「認知力」
私は足元の技術よりも、日本の子どもに足らないのはサッカーの認知力だと考えています。
この連載のアーカイブを見ていただけると「認知・判断・行動」の指導について書いていますので、良かったら読んでみてください。
それはどういうことかと言えば、例えば今行われている欧州チャンピオンズリーグを見てみましょう。
そのスピード、パスの精度。選手たち皆凄いです。ところが彼らが10歳の頃、どうだったかといえば、足元の技術は高くありませんでした。10歳の彼らが何をやっていたかと言えば、サッカーの成り立ちを学んでいるのです。
どうしたら相手の逆をとれるか。
どこにボール運ぶのか。
どこで受けるのか。
そういうことを小学生の間にやっています。
これらのことがジュニアの指導では大事だと私も言い続けています。
これらのことを探究したいので、私は小学生、中学生、高校生すべてのカテゴリーを教えています。例えば、外部コーチをしている府立高校の選手たちは、足元の技術は劣っているけれど、周りの高校と徐々に戦えるようになってきました。
強豪校に追いつくために足元の技術をすぐに引き上げるのは難しいですが、頭のなかを変えることはできます。サッカーはどう点をとるのか。そんなことを伝えるだけです。
■日本の選手たちは足元の技術はあるのに周りを使えない
一度子どもの成長をイメージしてみましょう。子どもは大きくなっていくと、やれることが増えていきます。
それが技術を身に付けるということですね。柔らかいタッチ、足に吸い付くようなドリブル。
ところがそこに指導者が執着しすぎると、その年代でやらなくてはいけないことを忘れてしまいます。
よって、日本の高校生は足元の技術を持っているのに、周りが使えない選手が非常に多いです。