「日本にいた頃はピッチサイドで圧を......」ドイツ在住サッカーママが現地に行って気づいた子どもを伸ばす大人のスタンス
ドイツでサッカーママをしているNさん。息子さんは3歳からサッカーを始めていて、小学校1年生の途中でご家族の都合で渡独。
ドイツで感じたサッカーの環境、指導者や親など大人の態度の違いなどを率直に教えていただきました。
サッカーをする子を持つ日本の保護者の皆さんにも知ってほしいこと満載です。
(取材・文:前田陽子)
写真は少年サッカーのイメージです
■日本にいたときはピッチサイドで圧をかけていた
「私はサッカー経験者ではないので、ピッチサイドでは指示をするような声は出していませんでした」と言うNさん。
それでも、プレーの指示はしないものの「もっといける!取れるよ!いけいけ!」など、圧をかけるような声は出していたそうです。
昨年末に今までの写真や動画を整理していた際に、ちょうどドイツに来た年の試合の動画を見たそうですが、当時の声のかけ方のひどさを実感したとも教えてくれました。
罵倒するような声かけではないですが、決してポジティブになるものではなく、「そこじゃないよー。
今の取れるだろう。シュート打てよ」といった声をかけていたのだとか。
「一緒に見ていた息子からも『お母さんもお父さんもひどいね』って言われました」と苦笑いを見せます。
■「できて欲しい」という理想が目の前の子どもを褒められない原因
その動画を見て、当時6歳か7歳の子どもたちのプレーが上手だなと思い「うまいなー」とボソッと言ったら、息子さんに「このビデオの中でお父さんとお母さんが言っている言葉はそうは感じないけど」と返されたのだそうです。
当時のNさんは目の前の子どもたちをうまいと思っていなかったと振り返ります。
「それはおそらく子どもに対する前提が今と以前では違っているからだと感じます。以前は"できる"が前提だったので、ミスに目が行くし上手だと感じられなかった。6歳7歳がやっているサッカーだという認識が頭の中になかったのだと思います」
他の選手やお友達ができることは、自分の子どもも"できるはず"という目で見てしまう親御さんは多いですね。
できていて欲しいという理想と子どもができる現実の区別ができないと、プレー中にかける声の内容が変わります。
お子さんがサッカーを楽しむために保護者に心得ていてほしいサカイク10か条でも【子どもは小さな大人ではないことを理解しよう】と提唱していますが、子どもそれぞれの成長を見守ることの大切さへの理解が、ドイツの方が進んでいるようです。