ポジションの意識がない低学年の団子サッカーを解消したい、子どもたちに伝わる言い方を教えて
「何と幼稚な指導をしていたか」
そんなことでは、団子サッカーからは脱却できません。日本では、指導者のみなさんは「広がれ、広がれ」と団子にならないよう声をかけます。一瞬広がりはしますが、チームとして繋がってはいません。それが現状なのです。
■サッカーを理解すると子どもたちの視点が変わる
「この年代の子たちに伝わるような何かいい言葉はありますでしょうか」とあります。例えば「サッカーで大切なのはチームゲームだよ」と言い続けてください。団子になりがちな幼児や1年生からそのことを理解させるのです。
理解すると、子どもたちはこんな視点を持つようになります。
「(小学)2年生の子たちが誰もパスしないんです!」
ある日、高学年の女の子たちが、不満そうな顔で私に訴えてきました。
「そうなの?それは大変やな」と彼女たちに対して共感を示したのち、「ちょっとみんな集まって」と声をかけ、話し合いをしました。
まず、私がこんな問いかけをしました。
「サッカーはチームでやります。みんなにすごいね!って言われたら、誰でも嬉しいよね。楽しくなるためにチームがあります。みんなが楽しめるようにするためにはどうしたらいい?」
すると、私に訴えてきた高学年の女の子が「チームのメンバー全員がボールに触らないとシュートできないっていうルールにしたら?」と言ってきたのです。
これはいい勉強になると思いました。
じゃあ、そうしよう!と言って始めたら、みんながパスをつなぎ始めました。2年生の子どもたちも周りを見始め、パスを出し始めたのです。全体的にとてもダイナミックになりました。
■大事なのは「ひとりでやるトレーニングをしない」こと
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
そんなふうにみんなで勉強できたのは、チームのなかに子どもたち全員が何でも言える雰囲気があったからです。心理的安全性とか、安全基地になるといったことを、指導者が意識して運営していけば、このようなことが起きるのです。
もう一つ大事なことは、絶対ひとりでやるトレーニングをしないこと。2人組なら、いつも違う人としてもらうよう配慮してください。
他者を感じることがとても重要です。そのことをこころとからだに刷り込んでいく。そう言った工夫を意識してください。
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池上正(いけがみ・ただし)