ボールを奪われない距離感が日本と海外では違う、相手に奪われない適切な距離の取り方を教えて
の正体です。
例えば小学生の指導者からよく聞こえるのは「体をあてろ」「体を入れろ」「(押されても)負けるな」といった声です。そうなるとアタックというものが子どもたちにとって、体を張って、相手を押さえ込んで行うイメージになりかねません。体を接触させることを良しとするコーチングになってしまいます。
もちろん上の年齢になってくれば競り合わなくてはいけない場面も出てきます。が、小中学生ではそういったことを指導する必要はありません。私の知る限り、海外では「体を」という表現はしません。指導者は「足を出せ」と教えます。
子どもたちが足を出す距離感を知っているのを踏まえてのことです。見ていると、子どもたちはそこまで近づきません。
■体を当てるのではなく、足を出す
京都サンガで育成部長などの仕事をしていたころ、15歳以下の香港代表がやってきました。サンガの中学生たちと試合をすると、香港の子どもたちは欧州の子どもと似ていました。相手の足を踏むファウルが多いのです。体を当てるのではなく、うまく間合いを計りながら足を出す。サンガの子たちとは違うボールの取り方をしていました。
試合ではサンガが苦戦していました。
サンガの中学生は相手に足を踏まれるとファウルをアピールします。しかし「それはボールに行ってるからファウルじゃないよ」と度々審判から説明を受けていました。試合をジャッジしてくれたのはサンガにいた国際審判の方でした。正しく指摘してもらえたのは非常に運が良かったです。
ごく普通の審判であれば、足を踏んだらファウルとしてしまったかもしれません。ボールに当たった後、足を踏んでしまうからです。守備をする側(この場合はサンガの中学生)も、相手がボールにきているのだという意図を理解していなくてはいけません。
■相手の足が届かないところでプレーすること
(写真は少年サッカーのイメージです。
ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
また後ろからのチャージもありました。危険なプレーでもあり、そのあたりは判断が難しいところではありますが、すべて止めてしまうとサッカーの戦いの部分が消えてしまいます。日本の子どもたちは簡単に「ファウル!」と言わず、プレーを続けなくてはいけません。
サッカーはチームゲームなので、そこでパスの選択肢を増やしていけば相手との接触プレーは減らせるのです。そのあたりを子どもたちに伝えつつ、相手との距離感について正しい理解がされるよう指導してください。