努力もしないのに「プロになりたい」なんて気軽に言わないで! 自主練もしないのに「上手くなりたい」などと言って欲しくない問題
■子どもに難題を強いて上手くできない姿にイライラしているようなもの8歳ならムラがあって当然
つまり、子どもに大人の靴を履いて早く歩けと急かしても歩けない。それなのに、お母さんは息子さんがうまく歩けない姿を見てイライラしているようです。大人用の物差しを手に、息子さんをジャッジしてしまうからではないでしょうか。
なぜなら、ご相談文には「チームやスクールではそれなりな評価はもらえているものの、息子より上手い子は普通にいます」とか「気分屋な性格のようで、やったりやらなかったりなので、結局上達していません」などと、わが子をお母さんの主観でジャッジする表現が多く見受けられます。
まずは、この物差しを捨てましょう。ありのままを受け止めること。
「まだ8歳だからね。気分にはムラがあって当然だよね」と子どもの姿を受け止めましょう。
■「本人の価値観だから」と言いつつ「それなら上手くなりたいと言って欲しくない」など相反する発言はやめよう
2つめは、「ダブルバインド」(二重拘束)をやめること。
ダブルバインドとは、二つの相反する価値観を同時に子どもに発信してしまう状態を指します。
皆さん、子どもには自由な環境でのびのび育てたいと言います。よって「自分の好きなことを好きなようにやってごらん」と伝えますが、子どもが水泳教室をやめると言い出すと急に「中学、高校とスポーツを続けていく上で大事な土台になるからやめないで」と説得したりします。
そうなると子どもは「え?お母さん、どっちなの?」と迷います。戸惑うだけでなく、一貫性のない意見を言う親に対し、子どものなかに不信感が生まれます。親は子育ての軸を変えてはいけません。
お母さんのご相談文を振り返りましょう。
「極力私は口出しはしたくないのですが、一週間程何も言わないと結局何もせず、YouTubeばかり見ていて、最近イライラしてしまいます」
「本人の価値観なのでそれでもいいと思っているのですが、それなら上手くなりたいなどと言って欲しくもない」
口出ししたくない。本人の価値観でいい。でも......と相反する価値観は、大人同士であれば「頭ではわかってるんだけどねえ」と慰め合えます。しかし、子どもは、大人の言葉を額面通り受け取る素直な生き物です。
スポーツの指導現場で暴言を浴びせて子どもを自死に追い込んだ事件をいくつも取材しましたが、大人たちはそこを理解していなかったと考えられます。