子育て情報『子どもの脳は周りの環境に適応しながら変化していく脳研究から見えてくるバイリンガル環境づくりのポイント』

2022年2月28日 13:00

子どもの脳は周りの環境に適応しながら変化していく脳研究から見えてくるバイリンガル環境づくりのポイント

でも生後6カ月くらい経つと、日本語だけを聞いて育っている子どもはLとRの違いには反応しなくなってきて、14カ月くらい経つとだいぶ違いがわからなくなってしまうことがわかっています。」とのこと。「もちろん、そのあとでも脳は変化するので、この段階で音韻を聞き分ける能力が決まってしまうわけではありませんが、最初の2年間で大きな差がつくと言えます。」と話します。

二つの言語が耳から入ってくる子どもがそれぞれの言語を身につけていくということは、ごく自然なことなのでしょうか?「子どものバイリンガル環境」について、池谷教授に伺いました。

■ バイリンガル環境は、子どもの脳にとって負担にならない

例えば、「英語は、日本語と違って、文字にすると単語と単語の間にスペースが入ります。音声を聞いているだけだとそれはわからないのに、英語の音声を聞いて単語を切り取る力が身につく。これは、とてもすごい能力です。」と池谷教授。なぜ脳がこのような芸当ができるのかは、いまだにわかっていないそうです。

また、「子どもが二つの言語を獲得することは、脳にとって負担にはなりません。」と話します。
「小さいころに英語を学んでも、小学生になるころには忘れてしまう、ということも言われますが、私は英語を聞く耳や発音する力が育てばいい、というくらいの気持ちで子どもを英語保育園に入れていました。でも、上の子はもうすぐ9歳になりますが、いまだに学校外での英語学習は続けているので、そろそろ忘れないころかなと思います。普段は人見知りなのに、英語の先生に対しては人一倍話すみたいですね。」とお子様の英語教育のご経験からもお話しいただきました。

バイリンガル環境での子育ては、子どもの脳への負担ということは心配する必要はないようですが、バイリンガル環境が日本語の発達に悪い影響を与える、と考える人もいます。池谷教授はどのように考えていらっしゃいますか?

■ 語彙の「遅れ」は、バイリンガル特有の発達過程・劣等感を抱く必要はない

池谷教授によると、「言語に関するテストをすると、モノリンガルよりもバイリンガルのほうが、成績が低いという結果を出した研究もあります。このような結果を見ると、『やっぱりバイリンガルは二言語とも習得が遅れる』と結論づけたくなってしまうかもしれません。でも、この研究によると、このような結果はボキャブラリーの少なさに起因しています。」

新着子育てまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.