2019年2月6日 19:00|ウーマンエキサイト

「子どもの寝相はどうして悪い?」子どもの眠りは疑問だらけ【榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議 第3回】

榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議

榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議

子どものお世話をしていると「子どもの体って不思議だなあ」と思うこと、たくさんありますよね。そうした子どもの体にまつわる疑問を解決してきたのが、小児科医でありお茶の水女子大学名誉教授・榊原洋一先生です…

「子どもの寝相はどうして悪い?」子どもの眠りは疑問だらけ【榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議 第3回】

ⓒmilatas-stock.adobe.com


子育て中は「子どもの体って不思議だなあ」と思うこと、たくさんありますよね。

例えば、世のママたちの多くが口をそろえていうのが「子どもの寝相の悪さ」についてです。枕に頭をのせて寝たはずなのに、朝には足が枕の上に…。毎日のことなので、寝相の悪さについては当たり前のことになっているかもしれませんね。

それから、赤ちゃんがウトウトして眠りにつく前、急に手足がポカポカしてくるように感じますよね。子どもの手足があたたかくなってきたら、「そろそろ寝るかな…」と予想がつくことも。

また、大人と比べて大量にかく寝汗なども、子ども特有の不思議な現象です。

子どもはどうして寝相が悪いのか、どうして眠りにつく前に手足があたたかくなるのか、どうして寝汗が多いのか? 小児科医でありお茶の水女子大学名誉教授・榊原洋一先生に「子どもの睡眠」にまつわる不思議をいろいろと教えてもらいました。





お話をうかがったのは…
「子どもの寝相はどうして悪い?」子どもの眠りは疑問だらけ【榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議 第3回】医師・お茶の水女子大学名誉教授
榊原洋一先生

お茶の水女子大学人間発達教育研究センター教授。東京大学医学部卒業。専門は小児科学、小児神経学、発達神経学など。小児科医として発達障害児の治療にかかわる。著書は『大人が知らない子どもの体の不思議』(講談社)など多数。



■子どもの寝相はどうして悪い?

――どのお母さんも口にすることだと思うのですが、子どもって本当に寝相が悪い! 夜眠ったときと朝起きたときの姿勢がまったく違います。この寝相の悪さ、何か理由があるんでしょうか?

榊原洋一先生(以下、榊原先生):子どもの寝相が悪いのは「睡眠の質」が大人と違うからなんですね。

――質ですか…?

榊原先生:人間には「睡眠パターン」というものがあります。
このパターンは年齢とともに変わっていきます。特に睡眠時間と睡眠リズムに大きな変化が起こるんです。

まず大人になると、乳児のときと比べ睡眠時間が短くなりますよね。それから睡眠中に見られる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の割合も変わります。どう変わるかというと、成長していくにつれてレム睡眠の割合がどんどん少なくなっていくんです。

――先生! レム睡眠とノンレム睡眠とは何でしょう?

榊原先生:レム睡眠とノンレム睡眠はどちらも睡眠状態のことを指しています。ただし、レム睡眠中の脳波は起きているときとよく似ています。眼球がきょろきょろと左右に速く動くこともあるし、体もよく動きます。


睡眠中の様子を脳波とビデオカメラで同時に記録すると、レム睡眠のときに寝がえりや手足を動かす様子が多く見られるんです。

――よく動くのはレム睡眠中だからなんですね。

榊原先生:そうです。一方、ノンレム睡眠は深い眠りなので、こうした動きがほとんど見られません。子どものころはレム睡眠の割合が多いので、寝ている間にたくさん体が動くんですね。

――覚醒状態と似たレム睡眠の割合が多いから、自然と寝相が悪くなるんですね…。ちなみによく動く時間帯などはあるのでしょうか?

榊原先生:レム睡眠は明け方、目が覚める前に多く出る睡眠パターンです。だから夜中は寝相が良かったけれど、起きる時間近くになったら急に寝相が悪くなっていた…なんてことがあるかもしれませんね。


■寝る前、子どもの手足が急にあたたかくなるのはなぜ?

「子どもの寝相はどうして悪い?」子どもの眠りは疑問だらけ【榊原先生、教えて! 子どもの体の不思議 第3回】

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――赤ちゃんを抱っこしていて「あれ、なんだかポカポカしてきたな」と思ったらすやすや眠っていた…ということがよくあったのですが、手足があたたかくなることと眠ることに何か関係はあるのでしょうか?

榊原先生:実際に手足の先の皮膚温度をはかってみると、子どもは眠くなると温度が1.5度くらい上昇することが分かっているんですね。

でも、脇の下の体温をはかっても変化がない。このことから、子どもの手足があたたかくなることには、体の中の血液の流れが関係していると考えられます。

――血液ですか…?

榊原先生:普通、熱が発生するのは筋肉や臓器なんです。でも、手足の先には大きな筋肉も臓器もありませんよね。

では、なぜ皮膚温度が上がるのか。

温度を上昇させる方法としてほかに考えられるのは、血液です。血液は熱を運ぶことができます。
子どもの手足の先があたたかくなったのは、体の中心部からたくさんの血液が流れてきたから、と考えることができます。

――血液が手足のポカポカを生んでいるんですね…! でも、子どもの血管は細そうなイメージがあります。たくさんの血液を手足の先に運ぶことってできるんでしょうか?

榊原先生:血液量が増えるのは、細い血管が広がるからなんです。血管が広がるのは交感神経と、副交感神経といった自律神経が関係しています。

――交感神経と副交感神経?

榊原先生:交感神経は獲物を追う、敵から逃げるといったときに優位になるもので、皮膚の血管を収縮させます。血管を細くすることで、万が一傷を負うことになっても少ない出血ですむんですね。

――生き抜くための反応ですね…!

榊原先生:反対に副交感神経は休息しているときに優位になるもので、血管は広がります。そのため、熱を持ったたくさんの血液が手足の先にまで運ばれて、体がポカポカしてくるというわけです。


眠る前に子どもの手足があたたかくなるのは「休息モード」に入っているからなのです。お母さんに抱っこされて、安心した状態になることで、より眠りやすくなったからでしょうね。

――なるほど。赤ちゃんの手足が急にあたたかくなってくるのはリラックス状態に入った、ということなんですね。


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