ルールを知らなくても楽しめる! 将棋コメディ漫画『花四段といっしょ』
将棋のマンガだが、ルールを知らなくても十分に楽しめるマンガである。作者は、移民社会としての日本をSF的に描いた『バクちゃん』で話題を呼んだ、増村十七さんだ。
「名人を目指す過程に焦点を当てたマンガは、読むのは好きなんですけど、自分が挑戦するようなものではない気がして。先人たちが描いていなくて、かつ気になっていたのが、トップの戦線に行くことのできていないプロの人たち。プロになった時点でみなさん天才といえますが、上には上がいるので一番になれない人はどういうモチベーションでやっているのだろうと思ったのです。そしてそれをコメディで描けたら、だいぶ読みやすいんじゃないかなと」
花四段こと花つみれは、プロのなかではピラミッドの下のほうにいる棋士。将棋にはごく真剣に取り組んでいるものの、対局中にちょくちょく雑念に惑わされてしまう。浮世離れした雰囲気は、たしかに並外れた頭脳を持つプロ棋士っぽいのだが、こちらが“つかめなさ”を感じるのには、実はこんな理由があった。
「この作品は最初にツイッターで発表しているのですが、ストーリーもキャラクターもまずはそこで反応を見て、だんだん固めていきました。第1話で、対局に関係ないことをいっぱい考えてしまう展開も、ギリギリまで勝敗を決めていなくて。