水野英子「それまでの作風を捨て、道具も変えました」 名作『ファイヤー!』誕生秘話
それをベースに描いたのが、『ファイヤー!』という作品です。
同じ仕事をしているのに、どうして男女で差があるの。
『ファイヤー!』は、感化院を出たアロンという青年が、音楽を追い求める物語です。私がこの作品を描きたいと思った理由は、私自身も当時の社会に対して疑問を持っていたからです。一番大きかったのは、男女の差別。マンガ家という同じ仕事なのに、男にはできて、女にはできないことがたくさんあった。また女性作家の原稿料はとても安く、「一桁違った」なんて話もありましたしね。
この作品のために、それまでのロマンティックな作風を捨て、鋭い線を出すために道具も変えました。
そんな強い思いで連載をスタートしたのですが、最初は読者からの反応がまったくない(笑)。日に何通も来ていたファンレターもゼロに…。でもそんなこと全然気になりませんでした。だって私自身は、自分が描いているものは絶対に間違っていないと思っていましたからね。その作品が時を経て、今再び単行本になった。とても嬉しいですね。ぜひ今の若い世代にも読んでほしいです。
みずの・ひでこマンガ家。
1939年生まれ、山口県出身。’55年、15歳でデビュー。’70年に小学館漫画賞を受賞した『ファイヤー!』が、先日『復刻版 ファイヤー!』上・下として文藝春秋より復刊し、話題に。
※『anan』2023年4月26日号より。写真・内山めぐみ
(by anan編集部)
新井恵理那アナ、第2子妊娠を報告「新しい命に向き合う時間に」 出産は来春を予定