加害者家族をめぐる人々の悪意の暴走と再生への希望…衝撃の社会派コミック
ショッキングな事件の裏にある社会の歪みを浮かび上がらせ、深い余韻を残す無二の作風。ウチヤマユージさんのマンガを、ずっと紹介したかった。最新刊『もろびとこぞりて』も期待を裏切らない衝撃作!
エスカレートする加害者バッシング。正義の欺瞞を暴く令和版「罪と罰」。
「もともと実在の事件などをモチーフにした作品も描くので、事件ルポなどをよく読みます。ただ、何が起きたかや犯罪者自身については扱われても、周りの家族に目を向けたものは少ない印象があって。加害者家族はその後どんなふうに生きているのか、以前から興味がありました」
描かれるのは、加害者家族をめぐる、市井の人々の悪意の暴走と、再生への希望だ。実社会でもSNSでも、加害者のみならずその家族や友人、同情を示した人にまで容赦ないバッシングが起こるのは見慣れた光景。
だが、その際限のなさを含めフィクションとして眺めると、大義名分を振りかざした“ふつうの人”の愚かさがはっきりと伝わってくる。
「人生のいろいろで少し認識が狂ってしまった、という感じの人たちを描くのが好きなんです。もちろん本人にとってはおかしくなっている意識があまりない。何かの劇的なきっかけでその人が急に変わるわけではなくて、少しずつ曲がった方向に誘導されていくのではないかなと。