アルバム『記憶の図書館』をリリースした坂本真綾さん。前作『今日だけの音楽』からは約3年半ぶり。コロナ禍や自身の出産など公私ともに大きな変化を経ての制作となった。
歌へのエネルギーの源を、内側から感じて。
「この3年半の間に世の中も大きく変わったし、私の生活環境も大きく変わりました。それはもちろん音楽活動にも影響があり、コロナ禍では明るく優しい音楽を皆さんにお届けしたいという気持ちがありました。今回のアルバム制作でもその延長線上にあるものを作りたかったんですけど、いざ制作が始まってみると一曲一曲の中で自問自答するような重みのあるものが多くなって。聴いてくれる人に、未来はそんなに悪くないよねって言いたい気持ちと同時に、抑圧されていたフラストレーションを吐露したい気持ちもあったみたいで。
自分でもちょっと意外でした」
そんな今作は“記憶”というキーワードをもとにオリジナルストーリーを書き下ろし、多彩なクリエイターたちと共有しながら作っていった。
「私も40歳を過ぎて、人生の折り返し地点なのかなと思う年齢に差し掛かりました。忘れてしまった記憶もたくさんあるし、不思議なほど忘れられない鮮明な記憶もたくさんあります。