真犯人は誰!? 『イチケイのカラス』作者の新作は“冤罪”がテーマのクライム・サスペンス
前作『イチケイのカラス』では、裁判官という職業を軸に裁判所で働く人々をリアルに描いた、浅見理都さん。本作『クジャクのダンス、誰が見た?』のテーマは“冤罪”だ。
元警察官の父を殺した犯人は?なかったことにはできない真実。
「『イチケイ~』でも少し扱った題材ですが、自分のなかで消化しきれた感覚が得られず、気になっていました。冤罪は個人に降りかかる最大級の不幸だと思っているのですが、ある日いきなり警察に捕まったらどうしよう、などと不安に思っている人はまずいないし、自分事として想像しにくいですよね。今回はもっとエンタメに寄せながら、もう一度自分なりに描いてみたいと思いました」
事件が起こるのは、雪がちらつくクリスマスイブの夜。心麦(こむぎ)と父が暮らす一軒家が全焼し、元警察官の父が遺体で発見される。容疑者として逮捕されたのは、父が担当した凶悪事件で死刑囚となった男の息子。
これによって事件は終息したかに思えたが、亡き父が遺した手紙には、その容疑者が犯人ではないことを示す内容が。そして心麦は“遺言”に従って、松風という弁護士のもとへ。
「心麦は理想の妹像です。私は3人姉妹の末っ子で、弟か妹が欲しかったのですが、芯がしっかりある子に叱られたいっていう願望があって(笑)。